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2008年9月24日 (水)
「選挙の時だけ国民目線」政策に要注意
9月24日に召集された臨時国会で参議院本会議は内閣総理大臣の指名選挙を行い、民主党の小沢一郎代表を内閣総理大臣に指名した。一方、衆議院は自民党の麻生太郎氏を内閣総理大臣に指名した。その後、両院協議会が開催されたが意見が一致せず、日本国憲法題67条第2項の規定に従い、麻生太郎氏を内閣総理大臣に指名することが国会の議決とされた。
麻生首相は直ちに内閣を組織し、麻生内閣は9月24日に発足した。麻生氏は自公政権が1年間に2度、政権を無責任に放り出したことに伴い自民党総裁に選出され、首相に就任したが、衆議院選挙によって国民の審判を受けるべきとの世論が高まっており、早期に衆議院の解散総選挙を実施すると見られる。選挙管理内閣の性格を持つ政権が発足した。
「kobaちゃんの徒然なるままに」様、「飄(つむじ風)」様、「こわれたおもちゃをだきあげて」様、「Japonesian Trans-Apocalypse:Trans-Modern New Platonic Trans-Creation, or philosopractical chaosmos」様、「へびのように賢く、はとのように素直であれ」様、「目からウロコの、ホンモノ探し」様、「気がついたことを、感情の任せるままに」様、「_〜山のあなたの空遠く幸い住むと人のいう〜」様、「こづかい帳」様、いつもご支援のお言葉を賜り、ありがとうございます。有益なブログ記事をいつもありがたく拝読させていただいております。これからもよろしくお願いいたします。
かつての衆議院選挙で麻生太郎氏は支援者を前に「下々の皆さん」と呼び掛けたそうだが、記者会見で発言するときに、なぜ、もっと柔和に丁寧に話すことができないのだろうか。会見を聞いているだけで不快指数が上昇するのは私だけではないと思う。
「国民の幸福」よりも「自民党が民主党に負けないこと」を優先する本音が節々に表れてしまうのだろう。補正予算審議について、民主党が補正予算成立と解散総選挙を話し合いで決める「話し合い解散」の建設的な提案を示しているのに、「民主党に何度も裏切られてきた」ことだけをカメラの前で強調する「たたずまい」は、首相にふさわしくない。「民主党が裏切った」のではない。自民党が参議院で野党に多数を与えた有権者の意向を無視したために、国会運営が停滞したのだ。
政治は国民のために存在する。自民党のためでも民主党のためでもない。政治家は自らの信念と哲学に従い、正々堂々と自らの主張を述べ、反対意見に謙虚に耳を傾けるべきだ。「建設的な論争」が必要なのであって、敵対勢力を口汚くののしる姿勢で敵対勢力と対峙しても、論争による大きな果実を得ることはできない。麻生氏は「政治家としての品格」を欠いていると感じられる。
発足した麻生内閣では、麻生氏と親しい中川昭一氏が財務相、金融相を兼務した。中川氏も財政出動を主張しており、麻生政権は「財政バラマキ」で有権者の支持を取り付けようとしている。札束で頬をなでて、票を集めようとしているように感じられる。
米国の金融不安が拡大し、日本経済の悪化が進行しているから、多くの国民が「景気を良くして欲しい」と考えている。「景気回復を最優先する」政策方針を適正だと考える有権者は多いと思う。
しかし、早晩実施される総選挙において「景気対策」が「目くらまし」効果を発揮することに、十分な警戒が求められる。有権者は目先の「札束」だけに目を奪われてはならない。
小泉政権が発足してから7年半の時間が経過した。麻生氏は小泉政権の最高幹部の一人だった。小泉政権が実行した政策によって日本社会は、ぼろぼろに崩壊した。民主党の小沢代表が指摘するように、日本は中国、ロシア、米国に次いで、世界で第4位の「格差大国」になった。
国民は「悪政」に苦しんでいる。この「苦しみ」の原因をよく考えなければならない。「不況」によって景気が悪いのは「循環的」な原因による。景気は良くなったり、悪くなったりする。もちろん、不景気の時には景気を良くするための政策が必要だ。しかし、麻生氏が主張する景気対策を打って、国民の生活が本当に良くなるのかをよく考えなければならない。
少し前、昨年の年末まで日本経済は景気回復を続けてきたと言われている。景気回復の期間は戦後最長で、「いざなぎ景気」を超えたと言われた。しかし、国民に「景気回復」の実感はあるだろうか。ほとんどの国民に景気回復の実感は無い。実感の無い景気回復だから「感無景気」(住友生命創作四字熟語入選作)と命名するのが適切だ。「感無」は「桓武天皇」にかけている。これまでの景気回復にはない、一般国民に景気回復の実感がまるでない「景気回復」なのだ。
9月12日付記事「意味不明の「心の通った改革路線」」に記述したように、2002年から2007年までの「景気回復」で、一般国民の懐はまったく温かくなっていない。1998年度から2006年度にかけて、
法人企業統計における法人企業経常利益は21.2兆円から54.4兆円へ156.6%増加したが、
雇用者報酬は274.1兆円から263.0兆円へ4.0%減少した。
景気回復の時期においても、一般の国民の生活はまったく改善しなかった。史上空前の利益に沸き返ったのは、一握りの大企業だけだった。
一般国民の「苦しみ」の原因を考えなければならない。「苦しみ」の原因は小泉政権以来の自公政権が推進した経済政策にある。総選挙では、この点を踏まえて「政権を選択」しなければならない。
「苦しみ」の原因は、「市場万能主義=弱肉強食奨励=格差拡大=大企業優遇=セーフティーネット破壊」の経済政策にある。労働行政の大転換が、「非正規雇用労働者」や「働く貧困層」を激増させる原因になった。「障害者自立支援法」、「後期高齢者医療制度」など、障害者や高齢者をいじめる、冷酷な制度が強行採決で導入されてきた。国民の老後の生活の生命線である年金の記録が杜撰(ずさん)に取り扱われてきたのに、政府は問題を長く放置した。年金記録が改ざんされた問題にも適切に対応していない。「猛毒米」が学校給食や高齢者施設で食事として提供された根本の責任は政府にある。
国民の「苦しみ」は「循環的」な「不況」によって生じているのではなく、小泉政権以来の自公政権が実行した「市場万能主義=弱肉強食奨励=格差拡大=大企業優遇=セーフティーネット破壊」の経済政策によってもたらされているのだ。したがって、いま求められているのは「単なる景気対策」ではなく、「世の中の仕組み」、「政治の仕組み」、「経済運営の考え方」の「転換」=「刷新」である。
9月21日の民主党臨時党大会で、小沢一郎代表が無投票で代表に三選された。小沢代表は民主党の政権構想を明確に示す「所信表明演説」を行った。
「カナダde日本語」の美爾依さんが小沢代表の演説、民主党と麻生氏の政策の比較などを分かりやすく解説してくださっている。また、「生き抜く力」様、「晴天とら日和」様も貴重な情報を提供してくださっている。
日本経済が不況に陥り、景気回復の政策が求められていることは確かだ。問題は、どのような政策対応を示すのかだ。小沢代表が示した民主党の政策と麻生太郎氏が提示した政権公約とを比較してみよう。
まず、民主党の小沢代表が示した9項目からなる「新しい政権の基本政策案」の骨子(一部抜粋)を示す。
1.国民が安定した生活を送れる仕組み
・「消えた年金記録」問題の解決
・年金制度一元化、基礎(最低保障)年金部分の全額税財源化
・後期高齢者医療制度の廃止、医療保険制度の一元化
2.安心して子育てと教育ができる仕組み
・子供1人当たり月額2万6000円の「子供手当て」支給
・公立高校の授業料無料化、大学などの奨学金制度拡充
3.まじめに働く人が報われる雇用の仕組み
4.農業社会を守り再生させる仕組み
・農業者への「個別所得補償制度」創設
5.国民の生活コストを安くする仕組み
・全国の高速道路無料化
・ガソリン、軽油の暫定税率廃止
6.税金を役人から国民の手に取り戻す仕組み
・特殊法人、独立行政法人、特別会計の原則廃止
・役人の天下りを全面的に禁止し、税気の無駄遣いを根絶する
7.地域のことは地域で決める仕組み
・国の行政は国家の根幹に係わる分野に限定
・国の補助金は全て廃止し、地方に自主財源として一括交付
8.国民自身が政治を行う仕組み
・与党議員を100人以上、副大臣・政務官などとして政府に配置
9.日本が地球のためにがんばる仕組み
・強固で対等な日米関係、アジア諸国と信頼関係の構築
一方、麻生氏が示した「日本の底力─強くて明るい日本を作る」と題する基本政策の骨子(一部抜粋)は以下の通りだ。
基本政策
1.経済政策
・政策減税・規制改革による日本の潜在力を活かす成長政策
・財政再建路線を守りつつ、弾力的に対応
・歳出の徹底削減と景気回復を経て、未来を準備する税制整備。
2.社会保障
・安定的な年金財源確保のための国民的議論
3.教育改革
・教員が一人ひとりの子供と向き合う環境整備
4.地域再生
・守るだけの農業から外で戦う農業に転換
・食料自給率引き上げ、日本の優れた農産品輸出
5.外交
・日米同盟を強化、アジアの安定
・拉致問題の解決
6.持続可能な環境
・成長と両立する低炭素社会
政治改革:
1.徹底的な行政改革、国の出先機関の地方自治体に移管
2.地方分権推進、道州制を目指す
3.与野党間協議を一層促進、国会審議を効率化
4.自民党が内閣を支える機能強化
麻生氏は、民主党の政策の財源が明確でないと批判するが、小沢代表は「一般会計と特別会計の純支出合計212兆円」の約一割にあたる22兆円を段階的に主要政策の実行財源に組み替えてゆくことを表明した。
「天下り」機関への政府資金投入だけでも年間12.6兆円に達しており、「政府の無駄」を抜本的に排除することによって、財源を捻出することは不可能でないと考えられる。「国民の生活が第一」と訴える民主党の主張が、具体的かつ明確に示されている。
民主党が示す施策は、「子育て支援」、「年金一元化」、「医療保険制度支援」、「高速道路無料化」、「教育費助成」、「雇用者支援」など、透明で、公正な「セーフティーネット強化」策である。
「景気回復」を目的とする財政支出政策を、「国民の生活を第一に考える」、「制度変更を伴う支出」=「プログラム支出」の拡充に充てることが求められる。民主党の政策は、この考え方を実行に移すものである。
これまでの財政政策発動の問題は、「財政政策」が「バラマキ政策」に堕してしまうことだった。麻生氏は「景気回復」、「財政出動」を訴えるが、具体的な方法を明確に示していない。経済政策の基本理念を変えずに、単なる「バラマキ財政」を実行しても、一般国民の生活は改善されない。「いざなぎ景気」を期間で超えた「感無景気」での、一般国民の生活の「苦しみ」持続が、このことを証明している。
これまでの自公政権は、「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」の利益だけを追求してきた。メディアが総力をあげて自公政権を支援するのは、「メディア」も「政官業外電の利権互助会」=「悪徳のペンタゴン」に組み込まれているからだ。「利権互助会のための政治」を実行してきた与党が、「選挙の時だけ国民目線」の政策を「付け焼き刃」で陳礼しても、すぐに底が割れてしまう。
「景気対策」の言葉は、「景気対策」の恩恵が広く国民に行き渡るかのような錯覚を生み出しやすいが、「世の中の仕組み」、「政治の仕組み」、「経済運営の考え方」を根本から変えない限り、国民生活の「苦しみ」は消えない。
新たに発足した麻生政権は「官僚機構」が支配する政治の仕組みを強化する側面を併せ持っており、この問題については、改めて記述する。総選挙では、まったく異なる「政治の仕組み」、「経済政策の考え方」を提示する政治勢力が、与党と野党に分かれて激突する。国民はどちらの考え方が政権を担う政治勢力として望ましいかを熟慮して、「政権選択の総選挙」に臨まなければならない。
自民党は現在の政権与党として、低次元の誹謗(ひぼう)中傷中心の選挙戦術を卒業し、自らの政治理念、政権構想、政策構想を堂々と開陳して総選挙に臨むべきだ。主役である有権者が熟慮して「政権を選択」するための情報を提供することが、政権を目指す政党の責務である。
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