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2008年9月20日 (土)
舛添厚労相は即刻辞任すべし
舛添要一厚労相が後期高齢者医療制度の抜本見直しの私案について発言した問題につき、舛添氏は9月20日朝のTBS番組で、「麻生太郎自民党幹事長が首相になれば政策としてきちっとやる。(臨時国会冒頭の)所信表明演説で言うことになる」との見通しを明らかにした。
後期高齢者医療制度は「姥捨て山制度」の悪評を持つ制度だ。私は制度を廃止したうえで、新しい制度を創設すべきであると主張してきた。国会では野党が制度の白紙還元を主張してきた。舛添厚労相は制度を強引に導入して発足させた政府の責任者として、制度の意義を訴え、制度の存続を主張し続けてきた。
後期高齢者医療制度の問題点は6月9日付記事「沖縄県議選与党惨敗と後期高齢者医療制度」に概略を記述したが、簡単に整理しておく。
後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者だけを対象とする医療保険制度だが、そもそも疾病の罹患率の高い年齢層だけによる医療保険制度が、「保険」としての機能を果たさない点に根本的な問題がある。
この制度では、高齢者の医療機関窓口での負担以外の費用の、5割を公費、4割を現役世代、1割を高齢者に負担させる。高齢者は医療機関窓口で1割以上の負担を強いられるから、保険料負担と医療費負担の合計は極めて高水準になる。
問題は今後、高齢者の医療費全体が急増すると見込まれることだ。そうなると、高齢者の窓口負担と保険料負担は激増し、高齢者の生活を著しく圧迫することが予想される。その結果、高齢者に対する医療の水準を引き下げる論議が生じることになる。
現実に厚労省が発表している試算では、高齢者の保険料負担の増加率は2015年までで比較しても、現役世代の約2倍になる。この制度設計全体が「姥捨て山制度」と呼ばれる所以(ゆえん)である。
また、高齢者の子の世代の被扶養家族となっている高齢者は、これまで、子が加入している医療保険制度を利用することができたため、追加的な保険料を支払う必要がなかった。後期高齢者医療制度では、新たに保険料負担が発生するため、子世代との同居を子の世代が敬遠する傾向が生まれる懸念がある。家族関係に大きなひびを入れる可能性があるのだ。
制度の名称、制度設計、終末期医療についての意思確認に対する医師への報酬制度、など、高齢者の尊厳を無視した冷酷無情な制度設計者の精神構造も批判の対象になっている。戦後の混乱期に努力し、日本の発展のために尽力されてきた高齢者に対する敬意と愛情が皆無の政府の姿勢が、批判の対象になってきた。
後期高齢者医療制度を廃止して、今後の医療制度設計をじっくりと論議し、持続可能な新制度を構築するべきだ。この意味で舛添厚労相の現行制度廃止の方針は当然のものだ。
しかし、国民が舛添提案を喝采(かっさい)するのは大きな間違いだ。政府は国会で野党の強い反対を押し切り、「強行採決」で新制度を導入した。新制度の実施、運営にあたって、どれだけの「血税」が投入されてきたのかを考えなければならない。政府が野党ととことん協議して、野党も同意する持続可能な、合理性を備えた制度を設計し、導入したなら、無駄な費用はまったく生まれていない。
政府は膨大な広告費を投入して、「長寿医療制度について改めてご説明させてください」と題する全国紙全面広告、テレビ広報などを展開したのではないか。「君子豹変」して、「過ち」を「過ち」として改めることは正しい。しかし、そのことによって、これまでの「過ち」が免責されるわけではない。
「大量破壊兵器を保有している」ことを論拠に、国連の制止を振り切って軍事侵略を実行し、大量殺人を実行しておいて、「大量破壊兵器は見つからなかった。軍事侵略は間違っていた。撤退する」と言う場合、犯した罪に対する責任は厳正に問われるのだ。
猛毒米流通事件やイージス艦漁船衝突事件でも、責任ある当事者の責任に対する対応が極めていい加減に取り扱われている。厚生労働行政の最高責任者である厚労相が、「責任問題」に言及することなく、安易に制度廃止を口走ることは許されない。
10月15日に保険料の年金天引きが実施される。総選挙に「後期高齢者医療制度」に対する批判が悪影響を及ぼすことを警戒して、舛添厚労相は十分な根回しも、責任問題に対する適正な対応をも欠いて、制度廃止方針について言及したのだと思われる。また、麻生内閣発足を目前に控えて、厚労相ポストを維持するための猟官(りょうかん)活動の意味も濃厚だ。
総選挙が近づくと、さまざまな「偽装」が繰り出される。「政官業外電=悪徳ペンタゴン」は利権互助会の利権を維持するために必死になっている。自公政権は次の総選挙で敗北すれば「利権死守」の至上命題が潰(つい)える。有権者に対して、口八丁手八丁の攻勢がしかけられる。
しかし、「選挙の時だけ有権者に媚(こび)を売る政治屋」を信用してはいけない。年金記録問題が最大の争点になった2007年の参議院選挙のときに、自民党政権の責任者は有権者に何を約束したか。
6月28日付記事「政治不信を打破するための国民の責任」に記述したが、改めて提示しておきたい。
2007年7月の第21回参院選で安倍晋三首相は
「宙に浮いた年金5000万件は来年の3月までに名寄せして、最後のお一人までしっかりとお支払いします」
と演説した。
参院選で配布された「安倍晋三首相より、国民の皆さまへ」と題したビラは、安倍氏の署名をつけて、
「自民党は責任政党です。出来ることしかお約束いたしません」
「最後のお1人に至るまで、責任を持って年金をお支払いすることをお約束します」
と明記した。
安倍内閣メールマガジン(第31号 2007/05/31)は、
「私の内閣においては、年金の「払い損」は絶対に発生させません。
1億人の年金加入者に対して、導入前に3億件あった番号を整理、統合する作業を始め、導入直後にも2億件が残りました。その後、一つひとつ、統合を進めた結果、今残っているのが5千万件です。これらについて、徹底的にチェックを進め、1年以内に全記録の名寄せを完了させます。」
と記述した。
これらの約束が守られなかったことは言うまでもない。
公約を守らなかったことについて町村信孝官房長官は、昨年12月の記者会見で、「来年3月までにやるのは、5000万件の(記録の)解明をすることだ。来年4月以降も精力的にやっていこうということで、最後の一人、一円まで(払うことを)全部、来年3月までやると言ったわけではない」と釈明した。
町村官房長官は、
「選挙中だから『年度内にすべて』と縮めて言ってしまった」
とも発言した。
また、舛添厚労相は紙台帳とコンピューターデータとの突合問題を「社保庁の後継組織ができる時(10年1月)には解決する決意」と表明していたが、公約実現が困難であることが判明すると、
「表明したのはその方向で取り組むとの「決意」であって「公約」ではない」
と言い逃れた。
自民党政治家が言葉に対する責任感を決定的に失ったのは、小泉元首相が次の発言を示してからだ。
2003年1月23日の衆議院予算委員会総括質疑で小泉首相は、国債発行額を絶対に30兆円以上発行しないとの公約を果たせなかったことを追求され、
「その(公約)通りにやっていないと言われればそうかもしれないが、総理大臣としてもっと大きなことを考えなければならない。大きな問題を処理するためには、この程度の約束を守らなかったというのは大したことではない」
と答弁した。結果に対する責任、「責任倫理」が日本中で失われる契機になった。子に「約束は守れ」と教育しようとしても、子が「この程度の約束を守れなかったのは大したことではない」と堂々と反論するようになる。
「偽装消費税増税封印」、「偽装無駄ゼロ政策」、「偽装景気対策」、そして「偽装後期高齢者医療制度廃止」など、次から次に選挙用「政策偽装」が示される。後期高齢者医療制度にしても、選挙で政権が維持されれば、制度の部分修正でお茶を濁されるのが関の山だ。自民党政権は「信用されない十分な実績」を積み上げているのだ。
消費税も直ちに引き上げられることはないが、2−3年内に官僚利権を温存したままで消費税率大幅引き上げが実施されることは、火を見るよりも明らかだ。有権者は前回総選挙からの3年間、小泉政権発足からの7年半の、すべてを評価して審判を下さなければならない。
「選挙の時だけ国民目線」の「悪徳ペンタゴン政権」を延命させてはいけない。「悪徳ペンタゴン」から独立した、「一般国民の幸福実現を、全精力を注いで追求する政府」を樹立しなければならない。自民党があの手この手で「目くらまし」してくるのは、目に見えている。「偽装」を見抜く人々が正しい情報をしっかり伝達し、国民を「偽装政策詐欺」から守らなくてはならない。
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