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2008年09月12日
突然の空自イラク撤退発表を読み解く
9月11日、政府は航空自衛隊のイラク撤退を唐突に発表した。
それを12日の各紙が一斉に報道し、社説にとりあげ、歓迎した。
当然だろう。憲法違反の行為を止めるのは当然だ。
米国の戦争犯罪に加担すべきではない。
過ちを改めるのは、遅きに失しても(鳩山由紀夫)、しないよりはいい。
ひとり産経新聞だけが、イラク特措法にもとづく空自の活動期間は来年7月まであるのに、米中枢同時多発テロの7周年記念日にあわせての撤収発表には首をかしげる、などと馬鹿な論評をかかげていた。
日米同盟関係を損ねる、国際社会の信頼を失い、などという嘘を並べていた。
いいか、よく聞いておくことだ。
「テロとの戦い」とは、米、イスラエルとアラブ抵抗者の間の、不条理かつ非対称な、血みどろの戦いなのだ。
アラブ人の国家との共存を絶対に認めないと公言してパレスチナ人を抹殺するイスラエルとそれを支援する米国と、その国家テロに自爆攻撃で抵抗する追い詰められたアラブ狂信者のテロとの、絶望的な戦いなのだ。
この三者以外に、「テロとの戦い」に入り込める者はいない。ましてや日本は「テロとの戦い」とはもっとも遠い国であった。
「テロとの戦い」は勝たなければならない戦いではない。「テロとの戦い」そのもが即時停止されなければならないものなのだ。
そんな日本が、専守防衛の自衛隊をイラクに派遣した理由はただ一つ、小泉元首相と外務省の対米追従政策の結果である。それがすべてなのだ。
国際貢献といってみたり、テロとの戦いから逃げるのは無責任だといってみたりするのは、すべて、国民を騙す、露骨な嘘である。
そして、今度の政府の突然の発表もまた、いくつかの重大な嘘が隠されている。
一つは今度の突然の発表は、あくまでも方針であり、政府決定ではない、ということだ。これほどの重要な発表を、閣議決定一つなく行なわれている。
しかも、首相の職を放り投げ、公務を放棄した福田首相が、「イラクでの自衛隊活動を自分の手で終わらせたい」だけなのだ(9月12日朝日)。それを町村官房長官や、高村外務大臣、林防衛大臣、などが、バラバラになって喋るという異常さだ。
今回の発表は総裁選のドサクサに紛れ、国会が開かれないことをいいことに、なし崩し的にイラク派遣を終わらせてしまおうというごまかしなのである。
二つ目は、日本政府は決して間違いを認めて撤退を言い出したということではない、ということだ。イラク派遣の根拠となってきた国連安保理決議が本年末に終わり、あらたな国連決議が望めない、そしてそれに代る法的根拠(イラク駐留に関するイラク政府との協定など)の目処が立たないから、仕方なく撤退するのだ。
三つ目に米国もイラク撤退の方針を言い出したので、日本も撤退しても米国から怒られないだろうということだ。
もし米国が反対するなら、国連決議があろうがなかろうが、イラクとの駐留協定ができてもできなくても、政府・外務省は自衛隊派遣を続けるに違いない。どこまでも対米従属なのである。
このように今度の空自撤退は、自主的な決断ではない。イラク情勢を自らが判断し、イラクへの自衛隊派遣がわが国にとって有益なのかどうか、という政策判断は一切ない。あるのは米国がどう見るか、だけである。
だから今回の発表も、国民の前で胸を張って大声でいう事が出来ないのだ。発表する連中もおもしろい顔をしていないのだ。
それよりも、政府・外務省には、さらなる難題が待ち構えている。
それは米国が「テロとの戦」の主戦場をイラクからアフガニスタンに移そうとしている中にあって、これからの日本の「国際貢献」が、アフガニスタンにおいて求められる事になるからだ。
そしてアフガニスタンへ自衛隊を派遣することは、自衛隊の命を今度こそ本当に危険に晒すことになるからだ。
われわれが注目すべき事は、もはや給油法の延長問題だけではない。アフガン支援がどのような形で行なわれるだ。
それが国会の最大の争点になる。
それは自公政権を追い詰めるだけでなく、小沢民主党をも追い詰める事になるに違いない。
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