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今こそ自公政権を終わらせよう「反貧困」・反戦の運動的ネットワーク強化を危機の重圧に潰された政権福田康夫首相は、九月一日午後九時半に突如設定された緊急記者会見で、首相辞任を発表した。昨年七月の参院選で大敗し、参院での主導権を民主党に奪われた安倍前首相の政権投げ出しから一年後、福田首相もまた「自民・民主大連立」のバクチに失敗し、二〇%前後にまで落ち込んだ支持率の低迷を逆転させることができず、何もできないままついに政権を放棄せざるをえなかった。これこそ、新自由主義的「構造改革」の強行的推進と、米ブッシュ政権のアフガニスタン・イラク侵略戦争に無条件に追随しながら「戦争国家」体制づくりと憲法改悪への道を切り開いてきた自公政権の時代が終わったことを象徴的に体現する事態である。ブッシュの「対テロ」戦争がイラクでもアフガニスタンでも全面的に破綻し、泥沼に陥ることによって、アメリカ帝国主義の国際政治におけるイニシアチブは窮地に追いやられている。「サブプライム」問題で顕在化した金融危機が世界同時不況へと転化し、石油価格・穀物価格の高騰や気候変動の深刻化が、グローバルな新自由主義的資本主義の枠組みの解決不能な危機と、全世界で労働者民衆の政治的・社会的な抵抗を日増しに拡大している。こうした構造的諸問題がストレートにブルジョア支配体制の基盤を揺るがしていることこそ、安倍・福田と二代続いた前代未聞ともいうべき短期での政権自壊の根底にある現実だった。G8サミットで明らかになったのは、資本主義大国の政治的代表たちが、このグローバルな危機に対して何らの対処方針も持ちえないということだった。 福田は記者会見の中で、「最初から政治資金の問題、年金記録問題、C型肝炎問題、防衛省不詳事等々、次から次へと積年の問題が顕在化してきた」「先の国会では民主党が重要案件の対応に応じず、国会の駆け引きで審議引き延ばしや審議拒否を行った。その結果、決めるべきことがなかなか決まらない、そういう事態が生じた」と泣きの涙で辞任の弁を述べた。しかし、衆参両院の「ねじれ現象」で政権運営が思うにまかせなかったことが、政権放棄の唯一の原因ではない。福田が記者会見での質疑応答で、自公政権の今後の展望を問われ、感情を露にして「順調にいけばいいが、私の先を見通す目の中には、決して順調ではない可能性がある」と公明党との亀裂をハッキリと述べたことの中にこそ、福田の政治展望を絶望に追いやった最大の要因があったというべきである。 実際、公明党は次の衆院選を福田政権の下では闘えない、と見定めていた。そのためにはできるだけ早期の解散・総選挙を、福田に代わる次期首相の下で行わなければならない、という路線で突き進んでいた。そのため公明党は、自民党が押し進めようとしていた「派兵恒久法」与党案の策定・臨時国会への法案提出に応じようとしなかったばかりか、福田首相が臨時国会での最優先課題の一つとしていた自衛隊によるインド洋での給油継続法延長にも首を縦に振らなかった。 公明党は、総選挙対策のために八月二十九日に決定した「総合経済対策」の中に「定額減税」を無理やりねじこんだ。そして福田政権と自民党の主張する臨時国会の早期開催にも抵抗し、九月十二日(辞任以前の予定日)まで召集を延期させた。こうしたことは、福田政権に対して早期の退陣を促し、新首相の下での早期の解散・総選挙を実施するための圧力にはかならなかった。公明党の浜四津敏子代表代行が、福田辞任の翌日に麻生太郎幹事長の自民党次期総裁就任を支持する発言を行ったことは、そうした思惑を端的に物語っている。 乱戦で浮上をねらう自民党福田首相の辞任によって、メディアの報道は自民党の次期総裁選びに集中することになった。九月十日告示、九月二十二日投票というスケジュールになった自民党総裁選は、福田の意を受けた麻生太郎幹事長の独走という当初の予測とは異なり、与謝野馨経済財政相、小池百合子元防衛相、石原伸晃元政調会長、石破茂前防衛相、さらに棚橋泰文元科技相、山本一太参院議員まで名乗りを上げる大乱戦状況となっている。このシナリオは、辞任を決意した福田首相の念頭にあったことだと報道されている。九月一日午後六時、麻生幹事長を呼び出した福田は、自らの辞任と次期総裁選のスケジュールについて語り「政局によっては、追い込まれて解散になる可能性はある。ならば先手を打って、こちらに余裕がある状態で、勝てる態勢をつくるべきだ。民主党が変わらないのであれば、自民党が先に変わって主導権を握るべきだ」とまくしたてたと報じられている(朝日新聞、9月7日)。そして福田は「総裁選が始まるが、ぜひ国民がわくわくするような、エネルギーに満ちあふれた自民党を多くの皆さまに見せて欲しい。この際、徹底してやって頂きたい(同記事)と述べた。 実際、経済・財政政策について「大幅な財政出動派」の麻生、「財政再建」を名目に消費税率の大幅引き上げを軸に据えた与謝野、小泉の新自由主義的な「小さな政府」路線を踏襲し減税・規制緩和による経済成長を主張する小池、石原という面々の自民党内「論戦」をメディアで焦点化させ、それにより経済政策についての選択を自民党内の路線の相違の枠内に封じ込め、野党の主張を無視するという工作が意識的に準備されている。 こうしたきわめて意図的な方法で、政策的対立が自民党内の論争に集約されていく操作が進められることで、福田の突然の辞任という自民党のとってのマイナス要因を、あたかも活発で重要な論議がエネルギッシュに繰り広げられているというイメージの下にプラス要因に転化させようとしている。 新自由主義と改憲戦略は共通しかしこれら自民党内の「政策論争」は、相互に排斥しあうものではない。一定の財政出動と対になった消費税率の大幅引き上げ、そして大企業に対する減税と規制緩和・民営化のさらなる推進、市場競争原理の普遍化を通じた公的社会支出の切り捨ては、資本主義の危機と不況局面の深まりの中で、労働者・農漁業者や市民に対する資本の攻撃、権利の剥奪として一体的なものである。それは資本に対する抵抗の萌芽を押しつぶし、階級支配を強化しようとする新自由主義の構造的枠組みの下に労働者・市民を縛りつける意図に貫かれている。われわれは、こうした貧困と格差の重圧を固定化する攻撃に対して労働者・市民自身による反撃の闘いを対置しなければならない。 そして自民党総裁選をめぐる「論戦」で完全に後景に追いやられているのが、福田首相が最優先の課題としてきたインド洋での「洋上給油作戦」の継続のための現行法の延長であり、総じて、イラク・アフガニスタン戦争への自衛隊の派兵や改憲問題である。そしてグローバルな日米軍事同盟を基軸とした恒常的派兵国家体制づくりを「人道的平和貢献」という看板の下に遂行していく路線に関しては、総裁候補者の間にいかなる相違もないことは改めて言うまでもない。 今のところ次期首相の最有力候補とされている麻生太郎は、「創氏改名は朝鮮人自身が望んだこと」として韓国への植民地支配を正当化した。彼は安倍政権の外相として、アメリカの軍事戦略の主要対象として描きだされた「不安定の弧」をそっくりそのまま借用した「自由と繁栄の弧」という対中包囲網の構築を打ち出した生粋の右翼政治家である。われわれは、今回の福田辞任と自公体制の深刻きわまる危機の中で、安倍政権の強行突破路線の破綻を通じて、いったんは頓挫した改憲に向けた求心力の回復が図られようとしていることにも注意を払う必要がある。 変革へのイニシアチブ形成へ九月二十四日に召集が延期された臨時国会の冒頭で新首相が選出され、新内閣が発足した直後に、衆院が解散され十一月初旬にも総選挙の投票が行われるというスケジュールが報道されている。われわれはこの総選挙で、自公連立与党陣営を敗北させ、自公政権を打倒することを訴える。言うまでもなく自公政権の打倒は、新自由主義と戦争・改憲に対する大衆的な運動の強化をベースにすることによってこそ実現できる。今秋において、派遣法の抜本改正を求める闘い、国鉄闘争1047人の不当解雇問題の全面解決、さらに十月十九日に予定されている「反貧困世直しイッキ大集会 〜垣根を越えてつながろう〜」(「反貧困」ネット呼びかけ)など、労働者・市民の行動を成功させよう。 さらに総選挙後の国会では、再び、インド洋での洋上給油法継続のための法案が提出されるとともに、民主党との間での「派兵恒久法案」上程に向けた駆け引きが継続されることは確実だろう。アフガニスタンでのペシャワール会・伊藤和也さんの拉致・殺害事件を背景に、航空自衛隊によるアフガン空輸支援、自衛隊とNGOが一体化した活動展開の必要性などの言説が渦巻きはじめている。「人道的国際支援」活動の軍事化が、このような形でさらに進行しようとしている。それは「派兵恒久法」制定と一体のものである。 九月二十日の「PEACE DAY TOKYO 2008」(芝公園4号地、正午)を成功させ、洋上給油活動の継続を阻止し、自衛隊のイラク、インド洋からの即時撤退を実現しよう。 米原子力空母「ジョージ・ワシントン」の横須賀母港化を阻止する九月末の連続行動を成功させよう。沖縄・辺野古での新米軍基地建設、高江でのヘリバッド建設阻止の闘いや岩国、座間での闘いを軸に米国のグローバル戦争戦略の下での日米軍事一体化=米軍再編に反対する住民の運動を支援しよう。 こうした闘いを基礎にわれわれは、自公政権の打倒をめざし、貧困・格差を拡大する新自由主義に反対し、海外派兵・憲法改悪に反対する世論を拡大するとともに、総選挙でそうした政策を掲げる候補者・政党への投票を呼びかける。 今こそ、自公政権を打倒し、政治と社会の根本的変革のためのスペースを作りだしていこう。新しい左翼のための闘い、オルタナティブな反資本主義左翼をめざす階級闘争の基盤を、この中で柔軟かつ意識的に作りだしていくことが必要である。 (9月8日 平井純一) |
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