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2008年9月 7日 (日) メディア・コントロール
御用マスゴミNHKの増税推進番組
御用マスゴミNO.1のNHKが9月6日夜、増税キャンペーン番組「税金 日本のこれから」を放送した。番組の内情については、「神州の泉」ブログに日本経済復活の会会長の小野盛司氏が記述されている。
NHKの番組制作に政府の意向が強く反映されていることは明白だ。NHKの政治番組である「日曜討論」も典型的な偏向番組である。私は同番組に15回近く出演していると思うが、NHKは出演者構成によって番組内容をコントロールする。また、政府側出席者の意向に沿って出演者が選定されることが多いと考えられる。「政治から独立した番組」ではなく、「政治に支配された番組」であることを視聴者は認識して視聴することが必要だ。
ただし、「政治に支配されていることを隠ぺい」するため、必ず反対論を主張する論者を出演させる。政府側が攻撃される状況下では、「弱い」論者しか登場させない。番組偏向の基本手段は人数構成の操作だ。人数構成を2対1、あるいは3対1にすれば、論議は必ず一方向に傾く。政府側が厳しい状況にあるときは、そのうえで、反対論者に「弱い」論客を起用するのだ。
テーブルに囲まれた中央にランプがあり、発言開始から1分経過するとランプが点滅し、1分15秒で点灯されたままになる。1回の発言は1分以内とされるが、司会者は政府側出席者には時間超過を認めることが多い。
本来は討論形式の番組だが、政府側の要請により、討論形式が中止されるケースも出ている。与野党を別々の時間帯でそれぞれから意見を聞く形式がとられることもある。
NHK解説委員が司会を務めるが、最近は政権与党に迎合する人物が台頭し、司会進行を務めるケースが際立って増えている。以前司会を務めていた山本孝氏はバランスのとれた適切な運営を実行していたが、影山日出夫氏にバトンを引き継いだころから偏向が目立ち始め、島田敏男氏に至っては、傍若無人の偏向ぶりを示している。
9月7日の放送でも、自民、公明、民主の三党だけしか登場させなかった。野党勢力は福田首相の「政権投げ出し」=「職場放棄」の責任を厳しく糾弾するはずだ。だからこそ、NHKは共産党、社民党、国民新党の発言機会を封殺したのだろう。
NHKは視聴者から受信料を徴収している。したがって、番組制作に対する発言権は視聴者が有するはずだが、NHK予算が政府に支配されているため、NHKは視聴者の意向ではなく、政府の顔色をうかがって番組制作を行っている。
マスメディアの「御用マスゴミ」の現状を是正する第一歩は、NHK改革である。NHKを政治から完全に独立した組織に転換することが求められる。そのための第一歩として、視聴者がNHKに対して「政治的偏向」を理由とする受信料支払拒否を実行するべきと思う。
9月6日の増税キャンペーン番組にも、偏向報道の基本スキームが用いられていた。出演した識者4名は伊吹文明財務相、竹中平蔵氏、森永卓郎氏、土居丈朗氏だった。伊吹氏は財務省を代表し、竹中氏と土居氏は御用識者代表だ。反対意見を表明する人物は森永氏しか出演していない。
土居氏は私が1985年から1987年にかけて勤務した大蔵省財政金融研究所を前身とする財務省財務総合研究所の主任研究官を2年勤めている。財務省御用の学者である。竹中氏はテレビ番組に出演する際に援軍の同席を求めることが多いと思われる。
私が大蔵省に勤務していた1985年に、大蔵省による組織的な「情報操作=世論操作活動」が始まった。詳細を拙著『知られざる真実−勾留地にて−』に記述したので参照いただきたいが、「TPR」の名称が付けられた活動が始動した。「TPR」はTAXのPRを意味する。「TPR」はその後、主税局大臣官房企画官の職務になって、現在に引き継がれているはずである。
1985年に私は大蔵省での仕事としてマクロ計量経済モデルを用いた「税制改革の経済効果政府試算」を請け負った。中曽根政権が「売上税」を導入する計画を立て、大蔵省がそのためのプロジェクトに着手した。「TPR」はその一環として創設された。
詳細の記述は省略するが、政府試算では「税制改革が経済成長、個人消費、設備投資、住宅投資にプラスの影響を及ぼす試算結果」の導出が厳命された。マクロモデルを使用した推計結果があらかじめ決められた結論に合うように、人為的操作をモデルに加味して試算結果を導くことが任務だった。
一方で大蔵省は組織をあげて活動を展開し、あらゆるメディアに対する「言論統制」、「言論検閲」を実行した。テレビなどのマス・メディアに対しては密室での接待を含めて、最高幹部が直接、折衝した。財政金融研究所研究部が「TPR」の事務局にされたために、事務局にはすべてのデータが持ち込まれ、デイリーで情報が更新された。週間動向は「TPRウィークリー」にまとめられて関係者に配布された。
大蔵省は捏造した「政府試算」が経済企画庁から発表されるように画策した。当時の経済企画庁長官は近藤鉄雄議員だったが、大蔵省から経済企画庁に派遣されている官房長や調整局財政金融課長などが軸になり、経済企画庁内部の工作が展開された。
こうした大蔵省の極秘行動の詳細を収録したファイルが、その後共産党の手に渡り、共産党が国会で追及した。しかし、国会会期末を迎えて、問題は迷宮入りした。
9月6日夜の番組では、高齢者の社会保障を支えるための現役世代負担が重くのしかかることが、若年層へのインタビューなどで強調された。その直後に「社会保障制度を維持するための高齢者一部負担に賛成か反対か」の質問が示された。典型的な「誘導尋問」だ。
後期高齢者医療制度の最大の問題は、制度導入時の高齢者負担増加にあるのではない。高齢者の負担比率が1割と設定され、今後の高齢者負担増加スピードが現役世代の負担増加スピードを大きく上回ると予想されることが最大の問題なのだ。
高齢者が負担の激増に耐えられるはずがなく、新制度は必ず高齢者に対する医療の切り捨てをもたらすと考えられる。高齢者に対する医療を切り捨てようとする「制度設計の精神」が問題なのだ。新制度が今後、高齢者負担増加率の突出を招くことが問題とされるのだ。
NHKは設問によって問題を完全にすり替え、後期高齢者医療制度を肯定する結論を誘導している。番組末尾の米国とスウェーデンの比較では、どちらの制度も日本では簡単には選択できないと思わせ、両者の中間であると位置付ける日本の制度を充実させていくしかないとの結論を無理に導こうとするものだった。
司会者がどちらかを選びかねる番組参加者に注目したのも、伊吹財務相が「どちらでもない日本」と回答したのも、「やらせ」である可能性が極めて高い。番組参加者の一人は伊吹氏に「日本と答えるように」と教唆されたことを暴露した。
タウンミーティングでの「やらせ」が2006年に問題になったが、大蔵省は「やらせ」の発祥地でもある。大蔵省が開催していたシンポジウムでは必ず、事前にフロアからの質問と出演者の回答が用意されていた。日本経済復活の会の小野盛司会長が出席されようとしていた公開討論会でも同じようなことが計画されていたのではないかと思う。
NHK番組は「高齢者の1人当たり資産残高」が大きいことを強調して、高齢者の社会保障負担を肯定しようとしていたが、資産残高の調査では回答の「分布」が極めて重要な意味を持つ。
少数の「超資産家」が平均値をかさ上げしている可能性が高いからだ。保有資産残高別の人口分布を示さなければきめの細かい論議は不可能だ。
資産を保有せず、生存権を脅かされる高齢者が多数存在することが最重要の視点である。このような初歩的な視点を意図的に隠ぺいするところに「御用番組」の特性がいかんなく発揮されている。
竹中平蔵氏は日本が分権化した時に、「地方間の財政調整ができない」と絶叫していたが、このような初歩的な間違いを公共放送で発言したことを直ちに陳謝すべきである。地方分権を進めても、財政調整制度を残すことは十分に可能である。私は一貫して地方分権を進めつつ財政調整制度を残すべきだと主張してきた。
拙著『現代日本経済政策論』第11章「国と地方」(3)「地方の財政自主権」に、税源の地方間格差について、「税源のばらつきを均等化する財政調整制度は維持すべきである」と記述した。分権化を進めつつ、財政調整制度を維持することは技術的にも十分可能である。寝ぼけた話によって出演者の正論が封じられたのでは、とても建設的な論議は実現しない。NHKは初歩的な誤りが番組中に正されるような出演者選定を考えなければならない。
また、森永氏が「競争条件を同一にしたうえでの競争を主張する竹中氏が相続税に反対するのはおかしい」と指摘したことに対して、竹中氏は論理的な反論を示すことができなかった。日本の所得税体系は結果における格差をある程度容認するものになっている。これを前提に考えれば、高額資産保有者に対する相続税を強化すべきとの森永氏の主張は合理性を有している。
土居氏は他の出演者の発言を封じて、相続税算出の根拠となる資産把握が困難であることを長時間力説したが、瑣末な技術的問題を本質的論議に無理に絡ませる姿勢は、視聴者の不信を招くだけだ。NHKは税の問題を重要だと考えるなら、政治的偏向を回避すべく、視点の異なる独立した有能な有識者をバランスよく出演させるべきだ。
「御用マスゴミ」番組に正論を求めても無意味な気もするが、NHKの活動を財務上支えている視聴者が結束して偏向報道是正を求めて行動を起こせば、影響力を発揮できるかも知れない。「メディア民主化」の第一歩としての「NHK抜本的改革」が重要であると思う。
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