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自民党の分裂と「上げ潮派」の詭弁(植草一秀の『知られざる真実』)
http://www.asyura2.com/08/senkyo53/msg/289.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 9 月 06 日 20:02:33: twUjz/PjYItws
 

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post_4ead.html
2008年9月 6日 (土) 決戦は「総選挙」


 自民党の分裂と「上げ潮派」の詭弁


「政党」についてWikipediaは以下のように説明している。


「政治において政策や主張に共通点のある者同志が集まって、意見の集約と統一された政策の形成を図り、政策の実現に向けての活動として、政権を担当もしくは目標とし、議会の運営の基本単位になるなどを行う組織または団体のことを指す」


自民党は福田首相の「政権投げ出し」=「職場放棄」に伴い、不況深刻化の危機に直面して待ったなしの政策対応を求める日本経済を横目に、「不祥事」を「広告宣伝活動」に転化する言語道断の「総裁選騒ぎ」にうつつを抜かしている。


老若男女の候補者が乱立し、正反対の主義主張を表明して戦うのが、「開かれた総裁選」なのだそうだ。しかし、政策や主張が全面的に対立する者の間で総裁選が戦われるなら、本来、そのような候補者が同じ政党に所属して、集約された意見と統一された政策を有権者の前に提示することは困難である。


「上げ潮派」のブレーンを自任する元財務省職員の高橋洋一氏が、2008年9月5日付日経新聞「経済教室」に「福田首相退陣と自民党総裁選 経済政策論争の舞台に」と題する文章を発表した。麻生太郎氏を「オールド・ケインジアン」、与謝野馨氏を「財政重視主義者」に分類し、高橋氏が提唱する経済政策を掲げる人物を「上げ潮派」と分類している。


「財政重視主義者」と「上げ潮派」が財政再建を重視するのに対して、「オールド・ケインジアン」は財政再建にこだわらないとする。また、「オールド・ケインジアン」と「財政重視主義者」が「大きな政府」を指向するのに対して「上げ潮派」は「小さな政府」を目指し、公務員制度改革や地方分権に積極的であるとする。


「経済成長と景気回復」について、「財政重視主義者」がこだわらないのに対して「オールド・ケインジアン」と「上げ潮派」は「重視」するのだという。


「上げ潮派」の政策を提案する中川秀直氏が日経新聞出身であるからとはいえ、露骨に紙面を提供して「上げ潮派」を支援する日経新聞の偏向報道ぶりに改めて驚かされるが、財政政策を重視する主張を「オールド・ケインジアン」とひと括りに取り扱うところは、高橋氏が依然として財務省の近視眼的思考方式に支配されていることを象徴する。


これまで、本ブログでも記述してきたように、1997年や2001年の「近視眼的緊縮財政」は結果として財政赤字の激増をもたらした。2003年から2007年にかけての財政収支改善は景気回復が税収増加をもたらしたことによって実現した。財政政策活用は成長重視、成長優先の発想に由来するものであり、「財政再建にこだわらない」とする高橋氏の指摘は当を得ていない。財政再建にとって不可欠の要素は健全な成長実現なのだ。


経済状況を無視してひたすら財政収支均衡化を追求した小泉政権が、逆に財政赤字を急増させた歴史的事実を踏まえずに、財政政策を論じる姿勢が、誤りを繰り返す原因になる。そもそも、「上げ潮派」に属する人々は2001年から2003年にかけて「近視眼的財政収支均衡至上主義」を唱えて、実際に実行した人々だ。その政策失敗の教訓を経て「成長重視政策」重視主義者に「転向」したのだ。「上げ潮派」の人々は、過去の政策失敗を隠ぺいしている。


私は財政政策の活用を否定しないが、麻生氏が主張するような「バラマキ」には反対する。財政政策活用に際して最重要の視点は、「どのような方法で財政政策を活用するのか」だ。「財政の資源配分機能」を重視しなければならないのだ。


利権に直結する公共事業、個別補助金政策を排し、社会保障給付、失業補償、障害者支援、高齢者支援、教育などの分野における制度変更に伴う財政支出拡大を検討するべきである。経済状況に応じて財政政策を積極的に検討することは必要だが、財政政策の内容を十分に検討することが求められるのだ。


「オールド・ケインジアン」の呼称は「財政政策重視主義者」に訂正されるべきで、この「財政政策重視主義者」と「財政重視主義者=増税派」の違いは明確だが、「上げ潮派」の主張は不明確だ。


そもそも「上げ潮」なる用語がいかなる意味で用いられているのか判然としない。海の満ち干で考えると、「上げ潮」があれば必ず「下げ潮」、「引き潮」があるから、「経済に循環がある」ことを訴えているとも考えられる。


あるいは、「上げ潮」にはどこか「元気が増大する」響きがあるから、「声の大きい元気な人々の集まり」の意味で使用しているとの仮説にも説得力がある。


高橋氏によると「上げ潮派」は、@歳出削減による「小さな政府」を目指し、A財政再建を重視し、B他方、経済成長を重視して、C財政政策には埋蔵金を活用することを、特徴とする。さらにひとつ付け加えると、D日銀の超金融緩和政策を主張する。


「上げ潮派」の主宰者である中川秀直氏は著書のなかで、官僚利権排除を述べているが、まったく信用することができない。中川氏や竹中平蔵氏は小泉政権の中枢に位置し、官僚利権を排除し得る立場にあったが、官僚利権排除の行動を一切取らなかった。政策金融機関に対する財務省からの天下り排除が最も分かりやすい試金石になったが、小泉政権は天下り利権を完全擁護した。「上げ潮派」の掲げる「天下り廃止」は間違いなく「偽装」であると思う。


「上げ潮派」は「市場原理主義」によって成長率を高められると主張するが、幻想にすぎない。この問題は改めて論じたいが、「市場原理主義」の行き過ぎが日本経済の根幹を崩壊しつつあることに対する認識が、近年急速に強まっている。


「上げ潮派」は埋蔵金を活用しての財政政策を主張するが、経済学的に見ればまったくナンセンスだ。政府資産売却・流用による財源調達と、国債発行による財源調達との間に、政府純債務に与える影響の差は生じない。2001年度に小泉政権が見かけの国債発行金額を実態の33兆円から30兆円に粉飾したが、「上げ潮派」の主張は「粉飾」の勧めにすぎない。


財政赤字拡大=財政バランス悪化を伴わなければ、短期的な成長率浮揚効果は得られない。「財政赤字を拡大させずに景気拡大策を発動する」などの「詐欺的」手法を経済政策に用いることは極めて不健全である。


さらに重大な問題は、「上げ潮派」が提唱する「超金融緩和政策」が、「下落するドルに対する過剰な買い支え介入」の形で実践され、「日本売国」の主要政策として実行された歴史的事実が存在することだ。日銀による「超金融緩和政策」と「ドル買い過剰外為介入」は表裏一体をなし、小泉政権は外国資本がより低いコストで日本資産を買い占めることを支援し、また、日本資産取得の原資を50兆円の単位で海外に提供したのである。


詳しくは9月1日記事「「日本売国=疑惑の外為介入」政策の深層」、ならびに9月5日付記事「国難と総裁選にうつつを抜かす自民党」を参照いただきたい。「上げ潮派」の真相・深層を有権者は正しく知らねばならない。


自民党総裁選は自民党内の政策や主張において、集約された意見も統一された政策も存在しないことを白日の下に晒す結果をもたらすだろう。自民党は政権与党であり、自民党総裁はそのまま、政治の最高責任者である内閣総理大臣に就任するのだが、有権者からすると、どのような政策や意見を持つ人物が首相に就任するか、まったく見当もつかないとの状況がもたらされていることになる。


衆議院の解散総選挙を経ることなく、首相は三たび取り替えられる。自民党内にまったく方向の異なる主義主張を唱える人々が多数存在し、有権者が直接に関与できないところで、最高責任者が次々に職場放棄しては、まったく属性の異なる人と入れ替わるのだ。


あえて、共通点を見出すとすれば、


@一般国民の生活、幸福に直結する「セーフティーネット」破壊が一貫して推進されていること、


A官僚の天下り利権が完全に擁護されていること、


B日本の国民ではなく、外国資本の利益が追求され、日本国民には不幸が押し付けられていること、


の三点は「ブレる」ことなく一貫して実行され続けている。


 幸い、次期総選挙の争点が上記三点の是非になる。


@国民の生活、生存権を守る「セーフティーネット」を再構築して強化する、


A特権官僚の天下り利権を根絶する、


B「外国資本の利益のために存在する政治」を「日本国民の幸福を実現するための政治」に転換する、


ことを主張する野党勢力が政権交代を実現し、新しい政府を樹立することが次期総選挙の目的になる。


 「御用マスゴミ」が「焼け太り総裁選」を過剰報道し、政権交代阻止に全力を挙げているが、有権者は自民党総裁選の実情から「自民党分裂の実態」を正確に知り、次期総選挙での政権交代実現の必要性を再確認しなければならない。

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