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http://mainichi.jp/select/opinion/kaneko/news/20080904dde012070035000c.html
早い話が:消えた日中韓首脳会談=金子秀敏
福田康夫首相が退陣を表明。みんな驚いた。野党が総辞職に追い込んだわけではない。与党内で倒閣運動が起きていたわけでもない。諸説を比べると、早期解散を望む与党公明党の圧力に屈したという図式がわかりやすい。だから、政界は早期解散で動き出した。
首相の父、福田赳夫首相は、ライバルの大平正芳自民党幹事長に解散を封じられ、党員投票による総裁選で敗れた。退陣する首相に総理番記者が「心残りは?」と聞いた。「解散をしたかった」とつぶやいたのを思い出す。父首相は解散封じ、息子首相は解散圧力という運命の皮肉だ。
首相の退陣で、9月下旬に神戸で開く第1回の日中韓首脳会談が流れた。あまり話題になっていないが、外交上のダメージは大きい。次の首相が決まれば開くというわけにはいかないかもしれないのである。
日本と中国と韓国は、東アジアの主要国であり隣国同士だ。なのに、3カ国の首脳が互いの国で会談したことがない。いつもASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議の席を借りてきた。最初は1997年、マレーシアで開かれたASEAN首脳会議のときだった。日本は橋本龍太郎首相、中国は江沢民国家主席、韓国は高建首相。以後、毎年、ASEAN首脳会議に日中韓の首脳が加わるASEAN+3が開かれ、ついでに日中韓首脳会談も開かれた。
かつてマレーシアのマハティール首相がASEANと日中韓で構成するEAEC(東アジア経済会議)を提唱したとき、米国は、なぜ米国を外すのかと怒った。そんないきさつから、日中韓の首脳会談も米国に遠慮して地味な席借り方式になったが、やっと今年からASEANと切り離すことになった。日本のアジア外交にとって一歩前進になるはずだった。
しかし5月、新学習指導要領解説書に竹島を記述する方針を固めたことから韓国世論が猛反発すると、韓国の態度があいまいになってきた。さらにブッシュ大統領が韓国を訪問するときに奇妙な事件が起きた。米国の政府機関、地名委員会の作るウェブサイト上の表記で韓国領に色分けされていた「独島」(竹島の韓国名)が主権未定に変更された。韓国世論が沸騰すると、ブッシュ大統領の指示で元に戻された。
米国は、日韓関係をいつでも悪化させられる小道具を手に入れたことになる。日韓関係が悪ければ日中韓の3国関係も悪化する。ブッシュ大統領は日中韓首脳会談にクサビを打ったのかもしれない。(専門編集委員)
毎日新聞 2008年9月4日 東京夕刊
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