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自民党には「成功体験」がある。2001年春、当時の森政権は8%という支持率の低迷に苦しんでいた。国会会期中に行われた総裁選挙では、橋本龍太郎元総理が再登板するということになるのではないかと予想されていたが、田中真紀子さんの支持を得た小泉純一郎氏が「自民党をぶっ壊す」とコブシをふりあげて派手にパフォーマンスを行って、一気に流れを変えた。そして、総裁選挙はなだれをうつように圧勝し、4月末に小泉内閣が発足すると支持率88%という「奇跡」が起きていた。そして、直後の東京都議会議員選挙や参議院選挙にも圧勝したという「成功体験」だ。 今、福田総理の「投げ出し辞任」を奇貨として、にぎやかな自民党総裁選挙が準備されている。民主党代表選挙が無投票となりそうな展開であることにかぶせて、9月10日から22日までの「自民党・総裁選挙劇場」が幕開きとなる。「日本初の女性総理か、それとも吉田総理の孫か」などとメディアがはやしたて、この期間は自民党の政治家しか日本には存在しないが如き異常なムードがつくられる。そして、支持率をぐいと上昇させて、ボロが出ないうちに解散・総選挙をという算段が、半ば公然と語られている。 ちょっと待ってほしい。福田政権は、なぜ行き詰まったのか。何に阻まれたのかを明確にしておかなければならない。福田総理も辞任表明の記者会見で「正直申しまして、最初から『政治資金の問題』『年金記録問題』『C型肝炎の問題』『防衛省不祥事』と次から次へと積年の問題が顕在化してきた。その処理に謀殺された」と述べているように、「小泉改革」なるものがスルーしてきた幾多のテーマに福田政権は直面したのだ。 福田政権は、政権発足当初に総力を「インド洋給油継続」(新テロ特別措置法の成立)にこだわり、「衆議院の3分の2再可決」を駆使して今年の1月までかけて強引にこれを成立させた。安保政策はアメリカが言うがままという小泉路線は忠実に継承された。また、年末には「宙に浮いた5000万件の年金記録問題」をめぐる参議院選挙での安倍前総理の発言や選挙ビラについて「公約だったけ」というオトボケぶりを示した。厚生大臣を何度も経験している小泉元総理も、年金記録放置の責任があったはずである。舛添厚生労働大臣は、社会保険庁職員の処分には熱心だが、この年金記録問題については「エンドレス」と居直り、実態解明の努力はスローダウンしている。 今年の春、ガソリン税の「暫定税率分」をめぐって、道路特定財源の使途が問題となった。私も「ミュージカル」や「どんぐり残地」など次々と具体例をあげて追及したが、小泉政権の「聖域なき構造改革」という名の劇場の裏に「道路利権」という特別会計(道路整備特別会計)はしっかり残されていた。道路広報という名のプロパガンダに大量の税金を流し込むようなカラクリを、小泉改革はむしろ増幅させていた。これは、安倍政権時代に問題となったタウンミィーティングのいかがわしさと同質だ。 道路の次には、お年寄りの怒りと悲鳴が渦巻いた。4月中旬、75歳以上の高齢者の方々を後期高齢者と勝手に呼んで、年金天引きを始めたことで大騒動となった。衆議院山口2区の補欠選挙の公示と重なったために、岸信介・佐藤栄作というふたりの宰相を誕生させた保守王国で民主党候補がせり勝ったのだ。この「高齢者医療改革」こそ、小泉構造改革の一環として「医療の構造改革」だとして喧伝されたのであり、起案小泉・実施福田となったのである。 また、「蟹工船」(小林多喜二)がベストセラーになるほどの低賃金・究極の搾取をおし進め、被正規雇用を野放図に拡大してきたのも、経済財政諮問会議を司令塔にして行われてきた「労働市場の規制緩和」であり「雇用の構造改革」だった。安倍政権は「再チャレンジ」を掲げて一定の修復策を試みたが実を結ぶことはなく、「雇用打ち切り」を宣告された派遣労働者は誰からも保護されず、支援されない状態である。これも、もちろん小泉劇場の生んだ「悲劇」である。 さらに「原油・穀物の高騰」が世界を襲った。洞爺湖サミットを主催した福田総理は、環境問題への取り組みをアピールしたことは認めるが、「巨額の投機マネーの国際的規制」について本腰を入れて各国に提案をすべきだったが、ブッシュ政権への遠慮か何の手も打てなかった。「市場のことは市場にまかせろ」という市場原理主義者は、実態経済からかけ離れた投機マネーの暴走に沈黙を続けるのか。「市場のゆがみ」をただすのが政治の役割だと思う。この国で漁民であること、農業や畜産で生計を営むことを不可能とする「原油・穀物の高騰」が、消費者物価の上昇と賃金水準の低迷という「生活の危機」をつくり出している。 しかし、福田総理は「小泉改革との訣別」を語らなかった。小泉元総理と同様に福田総理は財務省の言いなりだった。財務省の硬直した発想からは、経済の非常事態が起きようとも「財政再建・財政規律」を唱え続けて、緊縮財政を続けるのが改革だという呪縛の中にある。日銀総裁・副総裁の人事には、衆議院議院運営委員会のメンバーとしてすべてつきあったが、「財務省の天下」を信じていた「官邸の敗北」だった。いまだに、与野党逆転している参議院の存在が頭になく、官邸と自民党がOKすれば、どうにでもなるという旧体制思考から財務省も抜けていない。 そして、今度の自民党総裁選挙のテーマは「小泉改革の継承か、見直しか」にあるなどと新聞が書いているが、「自民党村芝居」も種が尽きてはいないだろうか。安倍政権にしても、福田政権にしても「総主流派体制」でオール自民党の力でつくりあげた政権ではなかったのか。総裁選挙で何を言おうが、今日に至る政治課程にはすべて責任のある人々である。 こうして、福田政権がなぜ行き詰まったかを見ていくと、「小泉改革の復活」などありえない主張である。自民党の中での「疑似政権交代劇」の裏に潜んでいる政治の頽廃、そして民意への無感覚な姿勢を私たちはただしていきたい。自民・公明の政治を終わらせて、解散・総選挙のテーマをしっかり設定していきたい。 それは、「社会保障壊しますか、再建しますか」という生活の土台であり、「戦争国家に踏み出しますか、平和国家に徹しますか」という国の柱であり、格差に絶望する「世襲社会」から、新しい平等社会への転換である。ヨーロッパで社民がはたしてきた役割を、政権交代の渦中で私たちが発揮していくことが、必要だと考えている。 |
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