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http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080903k0000m040034000c.html
沖縄返還を巡る日米交渉の密約を示す文書を入手して報道し、国家公務員法違反で有罪が確定した元毎日新聞記者、西山太吉さん(76)が、国に3300万円の賠償などを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(藤田宙靖(ときやす)裁判長)は2日、西山さんの上告を棄却する決定を出した。西山さん敗訴の1、2審判決が確定した。
西山さんは、違法な起訴や密約を否定する政府高官の発言で名誉を傷付けられたと主張し、密約についても判断を示すよう求めていた。小法廷は1、2審と同様に密約の存在には一切触れず、「上告理由に当たらない」とだけ述べた。
訴えで西山さんは、00〜02年の米国公文書の公開などで密約の存在が明らかになったとして、「密約は違憲行為で法の保護に値せず、有罪判決は誤り」などと訴えた。これに対し1、2審判決は、賠償請求権が消滅する民法の除斥期間(不法行為から20年)を適用して請求を退けた。
2審・東京高裁判決(2月)は「72年の起訴から20年以内に、提訴などの権利行使が不可能だったとは認められない」と指摘。外相ら政府高官が密約を否定している発言も政府の公式見解を述べただけで、西山さんの名誉を棄損していないと判断した。密約を巡っては06年、吉野文六・元外務省アメリカ局長が存在を証言している。【北村和巳】
▽沖縄密約事件 71年の沖縄返還協定で、米国側が負担すべき軍用地復元補償費400万ドルについて、日本側による肩代わりを示唆した記事を西山さんが執筆。西山さんは、外務省の女性職員を唆して極秘電信文を入手したとして起訴され有罪が確定した。日本政府は密約を否定し続けている。
◇「極めて高度な政治的決定」 西山さんに怒り
「極めて高度な政治的決定だ。(密約を認めることは)国家権力にとって存在基盤を揺るがしかねないという認識を持っているからだ」。西山さんは2日、東京都内で記者会見し怒りを口にした。
この日、西山さんは「沖縄返還に伴う日米の秘密合意文書・情報公開請求の会」(共同代表・奥平康弘東京大名誉教授ら)の一員として外務・財務両省に密約文書の開示を請求した。米国側が既に開示した同じ密約文書を日本側から明らかにするためだ。
同じ日の最高裁決定に西山さんは「密約問題に関する限り行政と司法は完全に一体化している」と非難した。
06年3月の参院予算委員会で、河相周夫・外務省北米局長(当時)が「沖縄返還に関するファイルを念のため調査したが、密約文書は見つかっていない」と答弁しており、文書を不存在と決定する可能性は高い。このため清水英夫・青山学院大名誉教授を団長とする弁護団(32人)が既に結成され、西山さんらは政府に開示を求め提訴する方針。【臺宏士】
毎日新聞 2008年9月2日 18時55分(最終更新 9月2日 20時59分)
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