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http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080828/169115/
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アフガンで拉致された伊藤さんは誰に殺されたのか
2008年9月1日 月曜日 菅原 出
アフガニスタン東部で日本のNGO(非政府組織)「ペシャワール会」の伊藤和也さんが殺害された。8月27日の夕方にこの悲報を受けて深い悲しみに包まれた。
私は個人的に伊藤さんを知っていたわけでも、「ペシャワール会」と関係があるわけでもない。26日の午前、知り合いの政府関係者から電話があり、「アフガンで日本人が拉致されたらしい。何でもいいから情報があったら教えてほしい」との問い合わせを受けた。私が所属する英国の危機管理会社は、アフガン全土で活動をしており、アフガニスタンの治安情報を顧客に提供する仕事もしている。すぐにカブール駐在のスタッフに問い合わせ、現地情報を聞いてその政府関係者に伝えた。
私とこの事件の関係はこれだけだが、現地に根づいて地道な活動をされてきた「ペシャワール会」のことは以前から存じ上げており尊敬していたので、「何とか無事に解放されてほしい」と胸中に願っていた。伊藤さんのご冥福を心からお祈りしたい。
悪化する治安と支援活動継続の是非
すでに日本のメディアでも報じられているように、アフガニスタンの治安悪化は極めて深刻である。私はカブールから毎日eメールで最新の治安情報を受け取っているが、武装勢力による攻撃の数も、そうした攻撃が行われる地域の広がりという点からも治安の悪化は日に日に深刻さを増していた。
しかも少し前までは西側の軍隊やアフガン政府の治安機関関係者を狙った攻撃がほとんどであったものが、最近では非武装の援助団体関係者などを狙った襲撃、誘拐なども増えていた。
「ペシャワール会」は現地に根づいて地域社会の文化や習慣を尊重して現地人にとけ込んだ支援活動をしてきただけに、今回の事件がNGOコミュニティーに与えた衝撃は大きいだろう。ペシャワール会の代表である中村哲氏は、「治安の悪化に対する認識が甘かった」とメディアに対して述べている。もちろん当事者としては「ああしておけばよかった、あの時にこうしておけば・・・」と後悔されることは多々あるのだと思う。
しかし、地域住民の信頼を得て、その社会にとけ込んで活動するのが、最善の治安対策であり、安全対策の問題でペシャワール会を責めるのは酷である。どれだけ安全対策を講じたところで100%安全ということはあり得ない。リスクは常に存在する。そしてたとえリスクがあったとしてもやるだけの価値のある尊い活動をされてきた。
町村信孝官房長官は8月27日の記者会見で、「安全のための工夫、努力には限界があるのかもしれない」と述べて、アフガンで活動する日本人援助関係者への退去要請を検討する考えを示したが、「危ないからやめる」では伊藤さんは浮かばれないのではないか。「安全のための工夫に限界がある」のは当たり前である。100%の安全などあり得ない。危なくてもやる価値のある活動だから伊藤さんのような現場の方々は喜びを持って活動をしてきたのではないか。「現地では伊藤さんの探索のために1000人もの村人が総出で山を登った」と報じられている。このような尊い活動を断固として継続する姿勢を見せているペシャワール会を支持したい。
アフガン警察には人質を救出する気があったのか
それにしても納得できないのは今回のアフガン警察の行動である。8月28日の「朝日新聞」は、「地元警察などによると警察部隊は26日、山中で犯行グループを発見し銃撃戦となり、ひとりを逮捕」「犯行グループが地元警察らの捜索から逃れる際に射殺したか、銃撃戦に巻き込まれた可能性がある」と報じている。詳細情報は分からないので断定的なことは言えない。それともちろん、悪いのは伊藤さんを拉致した武装グループであることは言うまでもなく、彼らの非道は言語道断である。
しかし、今回の警察部隊の行動は人質の存在を無視したものとしか思えない。海上保安庁特殊部隊SST元隊長の坂本新一氏は、「これは法執行機関が行う人質救出作戦ではなくて、軍隊のゲリラ掃討作戦ですね。しかも軍隊の訓練もまともに受けていないような民兵がやるような稚拙な対ゲリラ作戦のような荒っぽい手法です。あんなふうに攻めてきたら犯行グループは足手まといになってしまうので人質を殺害してしまうでしょうね」と述べている。
実際反政府武装勢力タリバーンの一派を名乗るムルバイ・ムニブラ司令官は27日、朝日新聞に対して日本人拉致を認め、「われわれは政府側へ何らかの要求をするための人質にするつもりだったが、日本人は政府側との銃撃戦に巻き込まれて死亡した」と述べている。
事件の経緯を明らかにすべき
一般的に途上国の警察機関は、人質の救出に重きをおかずに犯人逮捕を優先させるために、誘拐事件では人質が犠牲になる傾向が強い。今回も、まともな法執行の訓練を受けた警察部隊であれば、人質の命を優先させて無謀な攻撃は行わず、交渉によって人質の解放を図るという道を選んだのではないか。犯行グループから何らかの要求があったのかどうか、アフガン政府側がどう反応したのか。外務省は詳細を明らかにしていない。
あまりにも早すぎる結末。あまりにも悲しい結末。残念でならない。
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これは単なる事故。誰もペシャワール会を批判はできない―伊勢崎 賢治(ビデオニュース・ドットコム)
http://www.asyura2.com/08/senkyo52/msg/859.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 8 月 31 日
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