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2008年8月31日 (日) 決戦は「総選挙」
「目くらまし経済対策」と今後の政局
福田政権は8月29日に総合経済対策を決定した。事業規模11.7兆円、2008年度補正予算規模1.8兆円を内容とする対策だ。
予想通り「足して2で割る」理念なき政策決定になった。つい2ヵ月ほど前まで「緊縮財政」を念仏のように唱えていた福田政権が「景気対策」をまとめたのは、「利権互助会」の利権を死守するためだ。利権を死守するためには理念も政策の一貫性も顧みないのは分かりやすい。
自公政権(政)、特権官僚(官)、大資本(業)、外国資本(外)、マスゴミ(電)の「悪徳ペンタゴン」が総選挙を目前に、利権を死守しようと断末魔の叫びを発し始めた。
民主党の札付き反乱分子が小沢代表の代表選出馬表明にタイミングを合わせて新党を結成しようとしたが、姫井議員にドタキャンされてつまずいた。代議士としての自覚を欠き、有権者に対する責任を認識しない議員を民主党が救済する必要はないが、総選挙を睨んで民主党を攻撃するために用意された新党結成の出鼻がくじかれたことは幸いである。
太田誠一農水相は8月29日、事務所経費不正計上疑惑について釈明会見を開いたが、疑惑はますます深くなった。手当たりしだいに領収書をかき集めた印象が強いが、人件費の実態があることを示すことができなかった。問題の経過については、「カナダde日本語」の美爾依さんが分かりやすくフォローしてくださっているので美爾依さんのブログを参照されることを推奨する。
農水相辞任は不可避だと思われるが、太田氏が引き際の判断を誤って大臣の椅子にしがみつけば、臨時国会で追い詰められるのは必至だ。福田首相は任命責任を追及され、支持率が一段と低下することになるだろう。
そうなると早期の総選挙実施を求める公明党は首相交代を要求するだろう。11月に自民党総裁選が実施される可能性が浮上する。
自公政権に迎合する「御用マスゴミ」は自民党総裁選を国民的政治行事として報道する。「御用マスゴミ」の報道姿勢は自民党総裁選と民主党代表選でまったく異なる。「御用」だから当然だが、自民党の総裁選は自民党に対する国民の関心が高まり、自民党に対するプラスイメージが形成されるように報道されるのだ。
麻生太郎幹事長に対抗する総裁候補者として小池百合子氏や野田聖子氏などが名乗りを上げる可能性がある。「小泉一家」(=「上げ潮派」+「TPL」+小泉チルドレン+「脱藩官僚の会」+「自民党別働隊知事グループ」)は麻生氏を支持しない可能性がある。
総裁選で麻生氏が勝つとしても、「小泉一家」が反自民票の受け皿として「偽装CHANGE集団」を創設することも考えられる。総選挙が終われば両者は連携する。「悪徳のペンタゴン」の利権を死守するために政治的対立が「偽装」されるのだ。
国民は2001年の小泉政権発足以来の自民党清和会政権が何をもたらしてきたのかを冷静に見つめる必要がある。福田政権が総選挙を目前に小手先の「目くらまし」政策を示しても、目をくらまされてはならない。
小泉政権以来の政権は国民の幸福を犠牲にして、自公政権(政)、特権官僚(官)、大資本(業)、外国資本(外)、電波(電)の利得だけを追求してきた。障害者、高齢者、母子世帯、一般労働者、生活困窮者の生存権、尊厳、人権が無視されてきた。国民生活に直結する「年金」や「医療制度」に対する真摯な姿勢は皆無だった。
次期総選挙は、国民を不幸に突き落として際限のない利権追求に走る「政官業外電=悪徳のペンタゴン」=「利権互助会」の手から、日本の政治を国民の手に取り戻す最大のチャンスである。自公政権は利権を死守するために小手先の利益誘導政策をフル稼働させ始めた。前自民党幹事長の伊吹文明財務相が「『目くらまし』をしなければしょうがない」と明言したことを肝に銘じなければならない。利益誘導政策が打ち出されるのだが、あくまでも「目くらまし」なのだ。
8月29日に決定された「総合経済対策」はすべてがあやふやだ。大型景気対策を求める麻生太郎幹事長および公明党に対して、与謝野経済相、伊吹財務相らの「増税派」は規模の抑制を主張した。「上げ潮派」も財政再建目標堅持では「増税派」と足並みをそろえる。麻生幹事長の主張がそのまま通ることは、小泉政権以来の「改革」政策全面否定を意味する。中川秀直氏が党内基盤を失うことになり、政治的権力争いの様相が強まり、「増税派」と「上げ潮派」が「バラマキ財政派」に強く抵抗する。
結局、補正予算規模は1.8兆円にとどまることになり、国債増発決定は先送りされた。しかし、公明党が求めた定額減税については年度内に実施される方針が決定された。
事業規模11.7兆円のうち、9兆円は中小企業向けの民間金融機関融資・保証の総枠だ。GDPを増加させる最終支出の増加ではない。融資・保証の焦げ付きに備えて4000億円の財政支出が予算計上されるが、政治屋が介在する不正融資の温床にもなるだけに、信用保証実施の細目決定に際して十分な監視が求められる。
高速道路料金引き下げが盛り込まれたが、高速道路会社を含む国土交通省関連「天下り構造」にはまったく手が入れられていない。国民の貴重な財産である道路資産が私的利益獲得を追求する民営化会社に収奪される状況を是正しなければならないのに、目先の人気取りを目的とする「目くらまし」政策だけが提示された。
問題の根源は財務省にある。自民党清和会政権は財務省と癒着して、国家の利権を独占している。財務省は財務省の利権拡大に結び付かない「社会保障関係支出」、「公共事業」、「地方公共団体への紐付きでない支出」に標的を定めて歳出削減を進めてきた。
「大資本」、「外国資本」に利益を供与して「一般国民切り捨て」を推進している。「マスゴミ」は御用報道を徹底して「独占的利権」を維持する。「特権官僚」は「天下り利権」温存政策により対価を得る。「政治屋」は利権獲得者に「リベート」を支払わせる。
財務省は官僚利権を温存したままでの消費税大増税を企てている。総選挙で政権交代が実現することが財務省にとっての最悪シナリオだ。政権交代を阻止するために今回の「バラマキ政策」が起案された。しかし、総選挙が実施され、自公政権が政権を維持すれば、直ちに大増税実施への動きが始動する。そのために、「バラマキ政策」を決定するが「財政再建目標」を維持するのである。
最大の問題は財務省を基盤とする自民党清和会政権が国民経済安定化を「目標」ではなく「手段」と位置付けていることにある。本来、政治は国民生活の安定、国民の幸福を実現するために存在する。医療、年金、雇用、生存保障は国民生活そのものであり、これらの分野での施策充実は政治活動の目標であるはずだ。
しかし、清和会政権はこれらを「手段」と位置付ける。政権の目標は「悪徳のペンタゴン」=「利権互助会」の利権維持・拡大である。「利権互助会」の利権拡大にとって、国民生活を安定化させる政策は「無用の長物」だ。財務省と自民党清和会政権は平時においてひたすら、これらの政策の切り捨てに尽力してきたのだ。
「障害者自立支援法」、「後期高齢者医療制度」などが実際に始動してその問題が有権者の知るところになった。国民は「改革」の言葉の響きに騙されてきたことに気付いた。国政選挙に際して「真実」を知った国民が一斉に行動を起こせば、利権維持の構造は崩壊してしまう。
総選挙が迫り、自民党清和会政権は急遽、本格的な「偽装工作」=「目くらまし」政策を始動させることになった。中小企業融資、漁業者支援、高速道路料金引き下げ、定額減税などの施策は、すべて「総選挙対策」=「利権維持」を目的として実施される「手段」なのだ。
自公政権にとって総選挙での最大の脅威は小沢一郎民主党代表である。あらゆる手段を用いて小沢氏の影響力低下が画策されてきた。大連立構想、日銀人事、政治資金管理団体による不動産取得問題、山田洋行事件、そして民主党代表選のすべてにおいて、常に小沢氏に対する攻撃の視点が作動してきたと考えられる。
政権交代が実現して、本当に政治の刷新が実現するのか、との疑問は存在する。しかし、政権交代を実現できなければ何も始まらない。「私好みのimagination」のOfil425さんが大変貴重なご高見を数多く執筆されている。小沢氏が求心力を維持し、野党が結束して総選挙を戦わなければ政権交代を実現することは難しい。
政権交代を実現させて「天下り利権」を根絶する。これが「政治の刷新」の出発点になる。「天下り利権の根絶」を実現すれば、すべてが大きく変わる。すべてが大きく変化するなかで新しい体制を正しい方向に誘導するためには、有権者の監視が不可欠だ。
有権者の監視が機能するためには、政党が総選挙に際して「政権公約」を明示することが必要である。「特権官僚の利権根絶」、「セーフティーネットの強化」、「米国に隷属しない独立自尊の外交姿勢」の政策基本方針と具体的施策を明示することが求められる。
福田政権が「目くらまし」の「総合経済対策」を示したが、有権者は政権の基本理念、基本目標を正しく洞察しなければならない。総選挙での選択は4年にもおよぶ政治状況を決定する最重要の意思表示になるからだ。
民主党は有権者に対して具体的な政権公約を早急に提示するとともに、「悪徳のペンタゴン=利権互助会政権」=自公政権の「目くらまし」政策についての正確な分析と情報をすべての有権者に浸透させなければならない。決戦の火ぶたはすでに切って落とされている。
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