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2008年08月29日
グルジア戦争で表面化した米・ロの対立と日本外交の苦悩
グルジア戦争が勃発した直後の10日のブログで、私は本物の戦争が始まったと、その深刻さを指摘した。
12日のブログで、米国にすりよれば安泰だといわんばかりに、プーチンのロシアという強権国家の恐ろしさを甘く見たグルジアのサーカスベリ大統領の軽率さを指摘した。
そして15日のブログでは、退任を目の前にして、ロシアとの協力関係さえも失ったブッシュ大統領の8年間は、そのすべてを失って米政権から退場する事になる、と書いた。
それから2週間が経ち、どうやらその見通しは皆が共有するようになった。
思えばブッシュ政権は、2001年の発足当時、「もうロシアは『敵』ではない」という認識を外交・安保政策の基盤にしてスタートした。
そして「テロとの戦い」こそ米国の唯一、最大の脅威であると繰返した。
しかし、今や、敵でなくなったはずのもう一つの敵と対峙していかなくてはならなくなった。
しかもその敵は、「テロ」よりもはるかに手ごわい軍事覇権国家だ。
米国とロシアの対立は、もはや単に二国間の対立にとどまらず、世界を巻き込んだ国際政治上の大きな対立に発展しそうだ。
そしてその対立は、かつての冷戦時のイデオロギー対立と違って、利害に基づいた対立である。
軍事力や経済力(金融・資源エネルギー)をめぐる世界支配の主導権争い、覇権争いである。
国際政治の最も根源的な争いである。
だからこの対立は根深く、長期にわたるものになる。
グルジア戦争のようなホットな対立関係はやがて収まるかもしれないが、米・ロの覇権争いは国際政治の底を流れる息の長い対立になり続けるに違いない。
戦後63年間、共産主義の脅威から守ってくれるのは米国しかいない、といい続けて対米従属政策を続けてきた日本外交は、大きな試練を迎える事になるに違いない。
29日の朝日新聞は米・ロ新対立の深刻さに言及した丹波実元駐ロ大使の言葉を掲載していた。
ロシアが、かつてのソ連邦構成員が次々とNATOに取り込まれ包囲されつつあることに強烈な不満を持っていた事、
機会あれば状況を変えたいと狙っていた事、
そのロシアを甘く見て、オセチア侵攻を仕掛けたサーカスベリ大統領は軽率だった事、
グルジア全土の制圧とサーカスベリ政権の転覆という事態までありえたが国際世論を考えて南オセチア独立承認で止めた事、そこまでロシアの強硬姿勢は固い事、
米欧とロシアの対立は相当長期的なものになる事、
ロシアをG8から外そうとする米国内の意見は、ますます事態を深刻化させ賢明ではない事、
日本がとるべき道は、グルジア情勢の安定化に向けて対話と交渉で解決されるべきだと国際社会に広く訴えるほか、取るべき方策はない事、
などを語っていた。
その通りだと私も思う。
これと好対照なのが23日の日経新聞に掲載されていた岡本行夫元北米第一課長の言葉である。
米ロの新たな対立が深刻で、日本外交が試練に立たされる事になる、という見方までは同じだ。
ところが、その後に続く言葉が、外務省を辞めても尚、日米関係の重要性を繰返すほかに能のない岡本の真骨頂を示している。
「・・・米国は同盟国として自分たちを支持するよう日本に求めるに違いない。だが、アフガニスタンの対テロ活動からも脱落しようとする日本が、もっと難易度が高い国際変化に対応できるはずがない・・・米国との関係がうまくいっていないとき、日本が動ける余地は少ない。ドイツはロシア政策では米国と意見対立があるが、アフガンには派兵している。日本の場合、アフガン本土で貢献せず、インド洋での給油活動もやめるとなれば、ドイツのようなフリーハンドは得られないだろう」
このような対米従属政策が、イラクで外交官を犠牲にし、アフガンでNGO職員を犠牲にしたのである。
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