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http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080901-02-0101.html
自民を見限る支持団体
2008年8月25日 AERA
小泉改革から7年半。自民の支持基盤が急速に“溶け”つつある。
不発に終わった内閣改造。解散総選挙のカウントダウンが始まった。
「総理、まだ国民の声が届きませんか」「国民が安心して医療を受けられる体制がとれなくなっているのです」
7月、日本医師会が朝日、日経、読売と立て続けに、「意見広告」を掲載した。
主張は、毎年2200億円ずつ削られる社会保障費の削減を撤廃すべきだ――といった内容だが、何より、自民党の有力支持団体、日医が政権批判の新聞広告を出したのは初めてとあって、話題を呼んだ。
県医師会シンポに民主
広報担当の中川俊男常任理事は「あくまで政権政党支持だ」と話すが、6月に削減方針の堅持を表明した福田首相を「スーパーKY」と批判。政界関係者の注目を集めた人物でもある。
反旗ののろしは地方、それも「厚生労働族」のドン丹羽雄哉衆院議員の地元茨城県からも上がっている。県医師会は今春、後期高齢者医療制度の廃止署名運動を展開。民主党の政策会議に出席し、同会主催シンポジウムには民主新人候補だけを招いた。
昨夏の参院選では、組織内候補の自民・武見敬三氏でなく、医師で国民新党・自見庄三郎氏を支援。自見氏当選に対し、武見氏はよもやの落選。日医の集票力低下も露呈したのだが、原中勝征同県医師会長はこう話す。
「自民は医師会に力がなくなったと見て、財務省の言いなりで医療を受けられない人を増やした。政権交代が必要です」
一方、「郵政票」は完全に反自民に軸足を移したようだ。
7月中旬、都内で「郵政政策研究会(政策研)」幹部と、国新の綿貫民輔、民主の小沢一郎両党首が三者会談した。民主が民営化見直しを政権公約とするかわりに、国新が推す民主候補を政策研が総選挙で支援するというのだ。
政策研の発足は1月。民営化で、郵便局長が国家公務員でなくなったのを機に、局長OBらの政治団体と現役の組織を一本化し、選挙では、国新を全面支援している。
喫緊の課題は、10年度予定の日本郵政の株式売却阻止。外資に買われたら、採算重視で郵便局の7、8割は廃止されるという危機感もあって、政策研幹部は「次の総選挙が見直しのラストチャンス」と見定めている。
これまで選挙活動は県別に局長OBを通じて指令を出していたが、地区単位で土日も利用し直接幹部が指導に入る方針だ。
浄化槽業者らでつくる「全国環境整備事業協同組合連合会」(環整連)の玉川福和会長に6月、自民の古賀誠選挙対策委員長側から連絡があり、面会した古賀氏は、環整連が期待する「浄化槽法改正」に取り組む考えを伝えたという。
与野党“天秤”の団体も
環整連は合併浄化槽の存続を求めている。特に、下水管のある地域は速やかに浄化槽をやめて、下水管へつなぐ義務を課している「下水道法」の改正は団体の悲願なのだが、長年与党有力者に働きかけ続けても動かないため、2年半ほど前から民主に接触、昨夏の参院選では民主支援にも回ったという。
その結果、民主が下水道法改正案を通常国会に提出したが、国会閉会で廃案に。そこへ自民の提案。古賀氏が約束した「浄化槽法改正」でも同じ効果は得られるだけに、ここは両者を天秤にかけつつ、様子眺めだ。
「要求を実現してくれたほうを選挙で支援する」(玉川氏)
医師会、郵政、環整連……。圧倒的な力をもつ与党自民党が、業界と独占的な関係をもつ旧来の構造は終わったようにみえる。自民大敗の予感。なりふりかまわず距離をおき始めた業界相手に、打つ手はあるのだろうか。
編集局 蔭西晴子
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
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