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読む政治:調整難航、臨時国会 強気の公明、受け身の自民 首相の決断も遅れ【毎日】
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080824ddm003010116000c.html
◇「給油活動延長に反対したら、ごねてると言われますよ」
◇「与党の了承なしに決めるなら勝手にどうぞ」
臨時国会の召集日と会期幅で与党内の調整がつかない。公明党の主張は、年末・年始の早期の解散総選挙を念頭に置き、臨時国会は波乱要因を排除するために、できるだけ短期にするというものだ。
政府・自民党は、それではインド洋での給油活動を延長する新テロ対策特別措置法改正案が成立しないと反論する。また解散戦略はおろか、選挙前の首相退陣論までささやかれる状況で、公明党のような解散日から逆算した国会日程に簡単には応じられないのだ。
さりとて公明党・創価学会の支援がなければ選挙は戦えず、決定的な対立はできない。福田政権は民主党と対決する前から、求心力の低下をさらしている。
◆
福田康夫首相は19日の政府・与党連絡会議で、召集日は9月中旬とする方針を示したが、会期の幅には言及できなかった。
22日午前、首相は自民党の麻生太郎幹事長、大島理森国対委員長を官邸に呼んだ。
「会期を早急に決める。26日の党役員会までにすべて出す」。首相は麻生氏に、9月下旬召集を訴える公明党との調整を急ぐよう指示した。
しかし、大島氏が「公明党からは『会期は11月上旬まで』などと、できるだけ短くするよう要望が出ています」と報告すると、首相は表情を曇らせた。
「その日程では補正予算案だけ処理する、ということだ。消費者庁の設置法案も、給油活動の延長もやらないと宣言するに等しい。国政の怠慢だとのそしりは免れない」
同席した町村信孝官房長官が、首相の心中を代弁するように怒った。
「いつまでも国会を開かなくていいのか。できるだけ早く開きたいと、私も前から言っている」。首相も22日夜、とうとう記者団に、国会日程を決められないことへのいら立ちをあらわにした。
首相は臨時国会の最大の懸案を、新テロ特措法改正案の扱いと考えている。7月の日米首脳会談でも、ブッシュ大統領に給油活動継続の意欲を伝えた。
首相が当初、想定していた臨時国会の召集時期は、8月下旬だった。改正案には野党が強く反対しており、「3分の2」条項を使った再可決を念頭に、審議時間を確保する必要があったからだ。
しかし「9月下旬召集、会期幅は60日程度」の公明党の要求では、再可決は難しい。首相サイドが譲歩できる会期幅は80日程度だ。
「ギリギリになって公明党が給油活動の延長に反対したら、またごねていると言われますよ」
22日、首相の指示を受けた大島氏は、公明党の漆原良夫国対委員長と国会内で会い、繰り返し説いた。
漆原氏の返答はにべもなかった。
「それは自民党が民主党と協議して、衆院再可決をしなければ済む話ですよ。首相が与党の了承なしに決めるというなら勝手にどうぞ」
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自民党と連立を組んで9年。公明党は抵抗はしても最後は政府・自民党の方針に付き従う「げたの雪」と、揶揄(やゆ)されることもあった。しかし、内閣支持率が低迷する福田政権に距離を置くかのように、態度が強気になっていった。
首相は8月1日に内閣改造・自民党役員人事に踏み切った。
首相と二人三脚で「8月下旬召集」を主張し、公明党とぎくしゃくしていた伊吹文明幹事長が財務相に転出し、麻生氏が幹事長に就いた。
1日夕、公明党の太田昭宏代表は、記者団から「福田政権を公明党が全力で支えるということか」と問われると、「支えることは当然だが、むしろ私はリードしたいと思っている」と自信を示した。
その後、麻生氏は召集日について「(民主党代表選が終わる)9月21日過ぎからというのも一つの選択肢だ」と発言するなど、公明党の主張に配慮する発言をしている。
公明党が強硬で与党内で調整がつかないため、国会日程を首相の政治決断にゆだねているのだ。
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公明党には、来夏の東京都議選に全力を集中するために衆院選との間隔をできるだけ離し、二つの選挙に支持組織をフル動員する、そのために早期解散を求める−−という独自の戦略がある。
「1年以内には選挙戦という状況だから、どの辺りが勝ちうる状況を生み出せるのか考えなくてはいけない。年末年始は当然、最初に出てくる選択肢だ」。太田代表は22日夜のCS番組で明言した。
公明党幹部の一人は「補正予算案のような法案だけ成立させて国会を閉じ、おいしいところをアピールして衆院選を迎えたいということだ」とあっけらかんと語った。
会期を短くして、創価学会幹部を提訴した矢野絢也元公明党委員長を野党が国会招致するシナリオをつぶそうという思惑も見え隠れする。
自民党の青木幹雄前参院議員会長は公明党の強気の理由を話す。
「今、党内に公明党・創価学会の協力なしで勝てる議員なんかほとんどいない。向こうはそれが分かっている」【川上克己、犬飼直幸】
毎日新聞 2008年8月24日 東京朝刊
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