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2008年8月21日 (木) 決戦は「総選挙」
器の小さな政治家
自公政権がマスメディアを総動員して複数候補による民主党代表選実施をけしかけているのは、代表選を通じて小沢一郎氏のネガティブキャンペーンを展開しようと目論んでいるからだ。
民主党内の反小沢派議員が代表選に立候補すれば、小沢代表を激しく攻撃することになる。自公政権は対立候補の小沢批判を総選挙キャンペーンに活用し、支配下のマスメディアに徹底的に反復連呼させる。
民主党内の反小沢代表派議員は次期総選挙での野党大勝を望んでいない可能性がある。民主党が次期総選挙での政権交代に失敗する場合、小沢代表は代表を退くだけでなく、その次の総選挙で引退する可能性が高い。このことから民主党内の反小沢代表派議員が、次期総選挙での民主党敗北を希望している可能性すらある。
次期総選挙で政権交代が実現しない場合、自民党は参議院民主党に手を入れるだろう。民主党から自民党に移籍する議員が生まれる。自民党は参議院での過半数確保に動く。このとき、民主党は解体される。
政界大再編が起こる可能性が高い。民主党議員のなかで密かに自民党と通じる議員は、次期総選挙での民主党勝利を望まず、総選挙後の政界再編で自民党勢力と連携しようと考えている可能性が高い。
民主党の渡部恒三最高顧問はもとより反小沢代表のスタンスを保持している。元参議院議員で小沢氏の参謀役を務めてきた平野貞夫氏は当初から、渡部恒三議員の行動に対する疑念を表明してきた。
渡部氏は複数候補による民主党代表選推奨者だが、小沢氏の成功を希望していない可能性が高い。現在の民主党は旧民主党と旧自由党の合併によって作られた。民主党内には吸収合併された党の党首が代表になり、選挙での成功後に党内での地位を一段と強めることに対する屈折した感情が存在している。
民主党の野田佳彦氏が代表選に出馬する意向を固めたと伝えられている。反小沢一郎代表派の議員は、複数候補による代表選実施に執着している。上述したように、民主党代表選を実施して小沢一郎氏に対するネガティブキャンペーンを展開することを強く求めているのは自公政権である。
田原総一郎氏に代表される御用言論人、御用テレビ番組、御用全国紙は小沢一郎批判をフル展開しようと手ぐすねをひいて待っている。小沢一郎氏の再選はこれまでの実績に照らして動かしようがなく、また総選挙を目前に控えて全精力を総選挙対策に注がねばならない重要局面で、民主党が複数候補による代表選挙を実施する意味は極めて乏しい。
政権交代が実現すれば民主党代表が内閣総理大臣に就任することになる可能性が高い。将来の首相就任に向けて布石を打っておきたいとの政治家としての野心を理解できないわけではないが、政治家として最も重要なことは、すべての判断において「無私の精神」が貫かれているのかどうかだ。
今回の民主党代表選において複数候補による選挙を主張するほとんどの民主党議員が「私」を優先している。民主党を支持する有権者の大半は次期総選挙での政権交代実現を希求している。
小泉政権以来の「弱肉強食奨励」、「官僚利権温存」、「対米隷属外交」を軸とする自公政権が日本社会を崩壊させ、多くの善良な一般国民が不幸に突き落とされるなかで、自公政権に終止符を打ち、「国民の幸福を実現する新しい政府」を樹立することは、民主党および野党支持者の切実な希望なのだ。
民主党は2005年の総選挙で大敗した。郵政民営化を旗印にした小泉政権に対して民主党は「セーフティーネット重視」、「官僚利権根絶」、「対米隷属粉砕」を掲げて正面から戦うべきだった。岡田克也代表率いる民主党は明確な戦略を示すことなく総選挙で惨敗した。
2006年年初、小泉政権は@ライブドア、A輸入牛肉危険部位混入、B耐震構造偽装、の3点セットに加えて防衛施設庁汚職が重なり、窮地に追い込まれていた。小泉政権を救済したのは民主党前原誠司代表が主導した偽メール問題だった。前原氏体制で野田佳彦氏は国対委員長を務めており、偽メール問題に深く関与していた。
偽メール問題に関しては、野田佳彦氏が神楽坂のバーで「イヤー、いろいろあったけど、墓場まで持ってくしかねぇなー」と言ったと民主党の馬渕澄夫議員がブログに記述した。
2006年に偽メール問題で民主党が崩壊の危機に直面した際に代表に就任したのが小沢一郎氏だ。代表就任直後の千葉7区衆院補選で民主党に勝利をもたらした。2007年参議院選挙では参議院での与野党逆転と民主党第一党を実現させた。本年4月の山口2区衆院補選、6月沖縄県議会選でも民主党に勝利をもたらした。
いま、日本の政局は最大の決戦を迎える局面にある。次期総選挙が日本の命運を分けると言っても過言ではない。この局面での民主党代表選である。
民主党支持者の意思を尊重し、次期総選挙での勝利に向けて全精力を注ぐ考えがあるなら、今回の民主党代表選は無投票で小沢氏3選を決定するべきである。民主党代表選挙に参加できるサポーター制度は、自民党組織がサポーターになりすましてサポーター選挙を撹乱することのできるものである。代表選が実施される場合、この攪乱を受ける可能性が濃厚なのだ。
「政官業外電=利権互助会の幸福を目指す政治」を排除し、「国民の幸福を目指す政治」を実現するには、総選挙で野党が勝利し、政権交代を実現することが不可欠である。極めて重大な局面で政権交代阻止を目指しているとしか考えられない民主党内部の反党行為、民主党支持者に対する背信行為を、政権交代実現を希求する有権者は大きな声を上げて糾弾しなければならない。
政党の外からこのような警告を発しなければならない現状を是正できなければ、次期総選挙での政権交代実現は覚束なくなる。野田氏出馬を回避し、次期総選挙への対応に全力を傾ける方向に民主党が行動することを強く希望する。
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