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2008年08月18日
外交官人事に見る日本と中国の真剣度の違い
18日の各紙は高村外相の訪日を報じていた。
どの報道も、楊外相との間で「ギョーザ問題の早期解明で一致した」、「捜査協力の強化で一致した」、などと報じていた。
そんな中で東京新聞だけが、高村外相の訪中は「五輪観戦」が目的だった?」と書いていた。私はこの記事に注目した。
私がここで言いたい事は、高村外相がギョーザ問題を話し合うために北京へ行ったのか、五輪観戦のために北京へ行ったのか、どちらが正しいか、を詮索する事ではない。
この東京新聞の記事を通じて、日本と中国の外交に対する真剣度の違いを見るのだ。
新華社は「高村外相は五輪観戦のために北京へ来た」と報じたという。戴国務委員は「五輪の試合観戦にわざわざおいでいただいたことを心から歓迎する」と述べたという。
これら中国側の対応が、ギョーザ問題から世論の目をそらす周到な戦略から来ている事は明らかだ。
これに対し外務省や高村外相はどう反応したのだろう。
18日の各紙が報じるところによれば、高村外相は、外相会談の一方で、女子マラソンや女子レスリングを観戦し、日本オリンピック委員会主催のレセプションに出席し日本選手と歓談したりしている。
ここに私は日本外交の甘さを見る。五輪観戦に来た、と宣伝される隙を与えている。
私は今度の高村外相の訪中は、五輪観戦が目的の訪中では、もちろんなかったと思う。
しかし同時にまた、高村外相はギョーザ問題の解決のために訪中したのではなかった。
五輪期間中の高村外相訪中は以前から検討されていたに違いない。
そんな中で、読売新聞のスクープによってギョーザ事件隠蔽問題が発覚した。
あわてた外務省は、国内世論対策のためにギョーザ問題で訪中するかのごとく発表したのだ。
いつものようなアリバイづくり、情報操作である。
考えてみるがいい。
少なくとも今まで報道されていた事が事実であるならば、五輪期間中にはギョーザ問題は凍結したいとする中国側の要請を受けて、これに理解を示し、事実を隠蔽しようとしたのが外務省だった。
そしてその事がばれた後は、福田首相も高村外相も、外交的には当然の対応だ、五輪後に捜査を加速させる、と開き直ったかのような強弁をしている。
そうだとすれば五輪期間中にギョーザ問題の解決のために訪中するなどは、自己矛盾なのである。
今度の外相会談で意味があるとすれば、せいぜい、
「日本国内の世論がうるさいので、五輪が終わったらひとつよろしくおねがいします。事実関係をなんらかの形で公表できなければ、世論や野党が納得しませんから」
と陳情するくらいなのである。
その程度の外相会談が、「ギョーザ早期解明で一致」、「捜査協力強化で一致」という見出しに見事に化けたのである。
今度の外相会談の成果の有無も含め、すべては五輪が終わった後の中国側の出方で明らかにされる。私がギョーザ問題の進展は五輪後に注目すべきだと繰り返している理由がそこにある。
このような彼我の外交力の違いを示す見事な記事を18日の毎日新聞「発信箱」に見つけたので、是非ともここで紹介しておきたい。
「ブッシュ家と中国」と題して、北米総局の坂東賢治氏が次のように書いている。
「・・・米中が対戦した10日の北京五輪バスケット会場。
ブッシュ大統領と父親のブッシュ元大統領にはさまれて中国の楊外相が座り、観戦していた。
・・・74年ー75年に北京で国交正常化前の連絡事務所長をつとめた父ブッシュ氏はケ小平氏らと
親交を持った。
中国は77年に公職を離れた父ブッシュ氏を招待し、異例のチベット入りを認めた。
その時の通訳が、(当時)まだ20歳の楊氏だった。
寅年生まれの楊氏は「タイガー・ヤン」と呼ばれ、ブッシュ一行から可愛がられた。
その後、ケ氏の通訳や米国大使館勤務を重ねながら、ブッシュ家との関係を深める。
先代ブッシュ政権下には中国政府の密使役となり、ホワイトハウスの住居部分に潜入した事もあったという。
01年に現ブッシュ政権が誕生すると駐米大使に就任し、ブッシュ大統領とも密接な関係を築い
た・・・」
ここまで述べてきた後で、坂東記者は次のような強烈な言葉でその記事をしめくくるのである。
「・・・ブッシュ大統領は小泉純一郎元首相を『最も親しい友人の一人』と強調していたが、楊氏の
場合、こうした外交辞令とは別の次元の関係だ・・・(日本は米国の最大の同盟国と自分で宣伝 しているが、その)同盟国すら構築が難しい「特別な関係」が(米国と中国の間に)存在すること
は隣国としても抑えておくべきだ・・・」
米国要人との個人的な関係をここまで築ける日本の外交官はただの一人もいない。
外務省の「戦略なきトコロテン人事」では、決してこのような外交官を育成する事は出来ない。
ましてや外交とはおよそ無縁な日本の政治家が、いきなり首相になってエルビスプレスリーの
まねをしたからといって、ブッシュ大統領と個人的な朋友関係を結んだなどと喧伝するのは、あまり にも悲しいジョークである。
総理の座を離れたとたん、それが見事に剥がれ落ちている。小泉元首相と米国、ブッシュ大統 領の関係は、ものの見事に雲散霧消してしまっている。
もったいない話だ。情けない話だ。
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