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外務省を悩ます拉致問題と中国ギョーザ問題(天木直人のブログ)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 8 月 13 日 19:54:37: twUjz/PjYItws
 

http://www.amakiblog.com/archives/2008/08/13/#001074

2008年08月13日
外務省を悩ます拉致問題と中国ギョーザ問題
 

  いまや拉致問題と中国ギョーザ問題は外務省を悩ませている最も厄介な二大懸案となった。

  本来ならば、なすべきもっと重要な外交は山ほどある。

  しかし、国内政治の大きな懸案になってしまったこれら二つの懸案について、それを如何に軟着陸させて、時の政権を守るか、が、他のどの問題よりも重要になった。

  それは決して拉致被害者家族や消費者のためではない。外務官僚の保身のために、である。

  しかもそのような窮地に自らを追い込んだのは、他でもない。外務官僚自身の稚拙な外交による自業自得なのだ。

  斎木昭隆アジア大洋州局長が特別に悪いわけではない。それは田中均から始まって藪中、佐々江と続く歴代の外務官僚の責任を受け継いでいるに過ぎない。

  斎木アジア太平洋局長が特段優れているわけではない。彼もまた保身に凝り固まった一人の凡庸な外務官僚に過ぎなかったというだけの事だ。

  そしてそのような、名前や顔は変わっても、その内容は金太郎飴のように同質な外務官僚が、外務省のトップを占め、外務省を動かし続けてきたという現実こそ、外務省の閉塞さがある。甘さがある。

 拉致問題については、もはや多くを語るつもりはない。

 本来ならば、「拉致被害者を帰せ」と要求すればいいだけの、圧倒的に強い立場にある日本が、誰が見ても不誠実な北朝鮮の対応に譲歩を重ね、意味のない交渉を数年間も続けてきた。この倒錯した現実を指摘するだけでいい。

 いま目の前で繰り返されている「交渉」は外交交渉ではない。国民に対し「やるだけやったがどうにもならなかった」という最終幕に向かっての壮大なアリバイ作りでしかない。

  拉致問題交渉は、小泉元首相の二回目の訪朝の際、これ以上北朝鮮を追及するのなら首脳会談を中止すると言って席を立とうとした金正日総書記に対し、小泉首相がすがって引き止めた、その時点で勝負がついていた。

 独裁者金正日にとって交渉決裂は痛くも痒くもない。しかし日本の指導者にとっては政治的死を意味する。国民の手前何があっても決裂させる事は出来ないのだ。

 その後につづく交渉は、壮大な芝居である。

 それが言いすぎなら、北朝鮮と一緒になって日本国民を騙そうとする共同作業だ。

 拉致問題についてはこれ以上書かなくてもいいだろう。

 今日のブログの目的は、中国ギョーザ問題についての今後の見所についてである。

  13日の各紙が一斉にギョーザ事件の外務省説明を載せていた。

 民主党のギョーザ問題対策本部が外務省に経緯説明を求めた事に対する外務官僚のはじめての公式返答である。

 その意味で民主党は野党としての仕事を果たしている。政治が動かなければ、官僚は決して動かない。官僚を動かす事ができるのは政治家しかいない。

  しかし民主党に注文がある。隠蔽、隠蔽と声高に批判してはいけない。

 もっと静かに、しかしもっと本質をついて外務省を追い詰めることである。福田首相に迫るべきである。

 12日になされた外務省と福田首相の発言で注目すべきは次の一点である。

 すなわち外務省も福田首相も、公表しないと判断した責任は誰にあるのか、そして公表しなかった本当の理由、という最も重要な質問をたくみにごまかしている。

 この事をもっとも正確に伝えているのは読売新聞であった。

 すなわち質問に答えた小原参事官は高村外相や福田首相には秘書官を通じ間接的に伝えただけであった事を明らかにした。そしてそれで「公表しない方針は了承されたと認識した」と答えている。

 実はこれこそが外務官僚の仕事のやり方の無責任さである。

 私が外務省にいた時に頻繁に見られた仕事のずさんさである。

 つまり外務省幹部は直接に外相や総理のところへ飛んでいって、あるいは急遽首脳会談を行なって方針を決める事をしないのである。

 総理や外相は確かに忙しい。しかしそれを口実に、紙切れ一枚を秘書官に送りつけ、後は秘書官に任せたといって済ませるのである。

 実際は肝心の話が総理や外相に伝わらないことが多い。

 その事で後で大きな問題になることが頻繁に繰り返されていた。

 総理や外相が怒り狂う事があった。

 しかしそれは内部の醜態だ。だから決して外には明かされることはない。

 今度の情報については、それが秘書官を通じ福田首相や高村外相の耳に入っていたのかもしれない。

 しかしもし入っていて、それで特段の反応を見せずに終わっていたとすれば、それはそれで大きな問題なのである。

 これほどの重要な問題についてまともな議論をすることなく、斎木局長の判断ですべてが動いたことになる。

 当然のことながら中国政府とのやり取りはなかったという事だ。中国の通報を受け取っただけで終わったと言うことである。

 もし福田首相や高村外相が何の指示も出さなかったとしたら、中国側に早く調査を進めて解明を求めた、という事は嘘だったということになる。

 我々が今後徹底して追及しなければならないのは、過去のことではない。隠蔽の有無ではない。

 将来の早い段階で調査結果が公表されるかどうかである。

 福田首相は公表しなかった理由として、「公表して捜査に支障があった場合は、真相が解明されないということだから、日本国民に対して申し訳ないことだ」と開き直った発言をした。

 その言をメディアはよく覚えておくが言い。

 北京五輪が終わったら福田首相は中国に調査結果を急ぐ事を求め、その結果を公表するよう求めなければならない。

 ここまで明らかになったのだからもはや隠す事は許されない。

 原因を突き止め、事故か犯罪かを明らかにし、その責任者を処罰し、そして再発防止の為の策を講じる、そして被害者に対し謝罪と正統な賠償を行なう、

 ここに至ってはじめて中国ギョーザ事件が終わったという事になる。

 メディアはそこまで見届けなければならない。そしてそれを国民に伝えなければならない。


 

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