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http://www.amakiblog.com/archives/2008/08/10/#001069
2008年08月10日
調査報道に私財を提供する人たちがいる米国の偉大さ
皆さんはリクルート事件を覚えているだろうか。
1988年に発覚した戦後最大級の一大疑獄事件である。
値上がり確実のリクルートコスモス社の未公開株が、江副浩正会長から政・官・財・メディアなどにばら撒かれ、この国の支配階級がその地位を利用して錬金術に奔走していたという醜態が白日の下に晒された事件である。
その後日本の政治は大きく変わることになる。
この事件が発覚したきっかけは、朝日新聞横浜支局社会部の調査報道であった。
一新聞の調査報道がここまで世の中に影響を与えたのである。
しかし、その後なぜか良質の調査報道は見られなくなった。
今日では大手新聞は政府の広報役を担っているかのごとくである。
そんな日本の報道の現状に衝撃を与えるような記事を見つけた。
8月5日の朝日新聞の特集記事がそれである。
その記事は、最近米国で、調査報道に取り組む非営利組織が次々と立ち上がり、新たな調査報道の担い手として目立つ成果を挙げ始めた事を紹介している。
たとえばその一つとして昨年10月にニューヨークで旗揚げした非営利の報道機関「プロパブリカ」というのがある。
カリフォルニアの資産家夫妻が向こう3年間にわたり、年千万ドル(約10億円あまり)を寄付してできた組織であるという。
「市民への裏切り、権力濫用、弱者からの搾取に焦点をあて、独自報道に取り組む」事が目的であるという。
予想をはるかに上回る1200人もの求職者が殺到。中には、ピューリッツアー賞を受賞した報道にかかわった記者や編集者もいるという。
主筆はウォールストリート・ジャーナルの編集長を16年間つとめたポール・スタイガー氏だ。
そのスタイガー氏は語る。
「ネット時代になって『意見』の情報源は豊かになったが『事実』の情報源が縮小している・・・」と。
その通りだ。
ネットの世界では、このブログを含め、意見や評論は山ほどある。
しかし百の意見より一つの事実の発見こそ、重要なのである。
05年にスタートしたカリフォルニア州の「サンディエゴの声」もそんな調査報道の非営利組織だ。
その「サンディエゴの声」がサンディエゴ市警察本部長の答弁の嘘を暴いた。
本部長が議会発表した犯罪統計では治安がよくなったように見えたが、実際は逆だった。
記者は情報公開制度を使って直接にナマの犯罪発生統計を入手し、答弁の嘘を証明したという。
米国が羨ましい。
調査報道の重要性を認識し、それを行なう者達に私財を惜しみなく寄付する篤志家があらわれる国。
「地を這ってでも調査報道を発信する」と言って、優秀な記者がどんどんと集まってくる国。
「新聞社が縮小し始め、調査報道が減る中、ジャーナリズムが公の仕事であることに、オペラやホームレスにお金を寄付してきた人たちが気づき始めた。私たちは、新しい調査報道をつくることができる」
そう断言する30歳の編集者の声がまぶしい。
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