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2008年 08月 10日
「八月の砲声」か、ただの地域紛争か
アルルの男・ヒロシです。
北京五輪の開会式は、長いだけのショーだったが、中国人が自信にあふれていることだけはよくわかった。五輪開会式に出席していた国家指導者の中には、アメリカのブッシュ大統領と、ロシアのプーチン首相がいた。
U.S. President George W. Bush and Russia's Prime Minister Vladimir Putin (L) attend the opening ceremony of the Beijing 2008 Olympic Games at the National Stadium, August 8, 2008. The stadium is also known as the Bird's Nest.
(Eric Gaillard/Reuters)
NHKでは五輪開会式を盛大に放送していたが、BBCやCNNでは、それよりも、南オセチア共和国とグルジアの交戦のニュースが圧倒的に多く、五輪の報道は一般報道扱いになっている。
この紛争は、一見、ただの国境線画定をめぐる地域紛争に見えるが、実は21世紀の大国のパワーゲームの最たるものである。グルジアとロシアが険悪なのは、アメリカのネオコン派が、グルジアのサーカシビリ大統領を裏でバックアップしているからである。
ブッシュ大統領や、マケイン候補はもちろん、「自由と民主主義同盟」の提唱者だから、当然、専制国家ロシアを封じ込めるために、グルジアに加担するはずである。今のアメリカでは、分離独立主義という民族の自由な自決主義を目指す「国家内国家」を抑える政権を支援することが、「正義」なのである。
オバマの外交アドヴァイザーであるところの、ブレジンスキー教授が、親中国のようにみえるのも、ロシアという冷戦時代の敵を封じ込めるという一番重要な戦略目標にしたがって、定立された、優先順位から成り立っているのだろう。
現在の内戦が大国の介入を招くと、国連常任理事国の二国が米・英・仏に対立することになり、国連はいよいよ機能不全になる。
The Guns of August(『八月の砲声』)という本を書いた、バーバラ・タックマン女史は、「誰もが望まなかった、第一次世界大戦の勃発」をテーマに、欧州の大国の政治的思惑をあざやかに描いたとして知られる作家であるという。まあ、その評価が正しいかは別にして、今は八月。
南オセチア州都をめぐる攻防戦ではすでに二千人からの死者がでたというから、これは戦争状態であるとみていい。イスラム原理派が絡んだ、チェチェン紛争とは性質が違う問題のように見えるのである。
歴史は不幸な形で繰り返すのかどうか。どちらが大統領になっても、アメリカはロシアを警戒する形で外交政策を組み立てていくだろうから、この動きは注目である。
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ロシア首相、北オセチア電撃訪問=グルジアで戦闘の軍鼓舞
8月10日0時23分配信 時事通信
【モスクワ9日時事】8日の北京五輪開会式に出席したロシアのプーチン首相は9日、予定を変更して中国から帰国し、グルジアが進攻した南オセチア自治州に隣接するロシア領北オセチア共和国の首都ウラジカフカスを訪問した。タス通信が伝えた。
南オセチアから戦闘を逃れてきた難民の収容施設を視察、人道状況について協議する意向という。対グルジア強硬路線の同首相が紛争の隣接地に現れたことは、グルジア軍と戦闘するロシア軍部隊の士気を高め、ロシアの不退転の意志を示す象徴的意味があるとみられる。
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グルジア、戦時体制導入=「ロシアの侵略」に対抗−即時停戦呼び掛けも
【モスクワ9日時事】インタファクス通信によると、グルジアのサーカシビリ大統領は9日、国家安全保障会議を開き、「グルジアに対するロシアの大規模な侵略という事態を受け、戦時体制の導入を決定した」と言明した。南オセチア自治州問題へのロシアの軍事介入に対抗、国家総動員態勢を強化する狙いがある。
グルジア議会は大統領の要請を受け、15日間の戦時体制導入を承認した。サーカシビリ大統領は一方で、ロシアに即時停戦を呼び掛けた。しかし、南オセチアでは州都ツヒンバリをめぐり、グルジア軍とロシア部隊の戦闘が続いている。(2008/08/09-23:07)
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賭けに出たグルジア 南オセチア紛争
8月9日22時10分配信 産経新聞
【モスクワ=遠藤良介】ロシアの軍事介入を招いて戦闘が激化している南オセチア紛争は、親欧米であるグルジアのサーカシビリ政権が欧米諸国の支援を当て込み、国際社会の注目が集まる北京五輪開催に合わせて同自治州再統一の賭けに出たとの見方が出ている。米政府は即時停戦に向けて調停の動きをみせているが、米国のグルジアを後押しする姿勢は、カフカス地方で米露間の覇権争いの色彩も帯びることになり、事態はさらに複雑化する恐れもある。
2004年に就任したサーカシビリ大統領は、北大西洋条約機構(NATO)加盟に加え、独立状態にある親露分離派地域であるアブハジア自治共和国と南オセチア自治州への支配回復を公約に掲げてきた。しかし、両地域は政権との交渉を拒絶し続け、対露関係の火種である両地域の存在はNATO入りの障害になるとみられていた。
ロシアは従来、両地域の大半の住民に自国の旅券(パスポート)を与えて「ロシア国民」と認定。南オセチア予算の3分の2を資金援助するなど関係を深めていた。最近はさらに、2月のコソボ独立を「前例」として両地域の独立を支援する動きを強めており、サーカシビリ政権が焦りを募らせていたのは間違いない。
グルジアは過去4年間で軍事予算を約30倍に拡大、米国製武器や米国の軍事顧問を受け入れて軍の近代化に力を入れている。南オセチア独立派には軍事力で優越しており、サーカシビリ政権が南オセチア急襲による短期決戦を狙った可能性もある。
ただ、その軍事費増大も「ゼロから軍をつくりあげるプロセス」(国防省筋)にほかならず、ロシアとは兵員数で12倍、主力戦車数で180倍、攻撃ヘリで226倍と圧倒的な隔たりがある。ロシアが本格的に軍事介入した場合、グルジアが欧米諸国の支援抜きに持ちこたえられないことは明白だ。
事態打開のカギを握るのは欧米諸国の動きだ。ロシアのラブロフ外相は米国のライス国務長官と3度にわたって電話会談した。しかし、米国はグルジアの領土保全を重視してロシア軍の撤退を求めるなどグルジア側の立場を鮮明にしており、米国の動き次第ではロシアが態度をさらに硬化させる可能性も高い。
欧州連合(EU)と欧州安保協力機構(OSCE)、米国は即時停戦の実現に向けた共同代表団をグルジアに向かわせており、9日に現地入りする見通しだが、事態が終息に向かうかどうかは不透明だ。
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