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2008年8月10日 (日) 政治
「戦争に勝ちも負けもない、あるのは滅びだけだ」
8月9日、被爆から63年の原爆の日を迎えた長崎市の平和公園で原爆犠牲者慰霊平和祈念式典平和祈念式典が営まれた。
田上富久市長は平和宣言の冒頭で「あの日、この空に立ち上った原子雲を私たちは忘れません」と述べて原爆の恐ろしさを伝えるとともに、自身が被災しながら医師として被爆者救護に尽力した永井隆博士の
「戦争に勝ちも負けもない。あるのは滅びだけである」
との言葉を引用して平和の尊さを訴えた。
また、米国で核政策を推進した元高官らが核兵器廃絶を訴え始めたことに言及し、非核が世界の潮流になりつつあることを強調した。
私は拙著『知られざる真実−勾留地にて−』(第三章「不撓不屈」6「平和国家の追求」)に以下のように記述した。
「日本の核武装論が論議されている。私は反対だ。日本は世界で唯一の被爆国として核廃絶を訴え続ける責務を負っていると思う。核の使用は人類の自殺行為だ。
核兵器では「第二撃能力」が問題とされた。核攻撃を受けた時に反撃する核攻撃能力を持つことによって、核攻撃を抑止できるとの考え方である。これを踏まえると、そもそも核拡散防止条約(NPT)は根本的な不平等性を持っている。米国、ロシア、中国、フランスの核保有を容認し、これ以外の国に核兵器の保有を認めないとする条約である。
ところが、インド、パキスタンの核保有によりこの条約は事実上崩壊した。米国はインドと原子力協力の条約を批准した。米国はイスラエルの核保有も容認している。NPTは多くの矛盾を抱えている。日本は包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を米国に求め、核兵器廃絶へ努力を注ぐべきだと思う。」
田上市長は米国での核廃絶へのアピールについて次のように言及した。
「「核兵器のない世界に向けて」と題するアピールが、世界に反響を広げています。執筆者はアメリカの歴代大統領のもとで、核政策を推進してきた、キッシンジャー元国務長官、シュルツ元国務長官、ペリー元国防長官、ナン元上院軍事委員長の4人です。
4人は自国のアメリカに包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を促し、核不拡散条約(NPT)再検討会議で合意された約束を守るよう求め、すべての核保有国の指導者たちに、核兵器のない世界を共同の目的として、核兵器削減に集中して取り組むことを呼びかけています。」
米国はイランの核開発疑惑を強く非難し、軍事攻撃も辞さない姿勢を示しながら、イスラエルの核兵器大量保有を容認している。また、インドに対して核廃棄を求めずに原子力協力の条約を批准した。
平和祈念式典で「平和への誓い」を述べた被爆者代表の森重子さん(72)は自ら被曝されるとともに原爆で尊い家族を失われた。
森さんは「平和への誓い」のなかで、
「核兵器の廃絶と平和を求める世界の人々の願いとは裏腹に、今なおアメリカなど大国のエゴで大量に保有され、拡散されつつあります。東西の冷戦が終わっても、民族や宗教の違いや貧富の差からくる戦争は現在も世界中で絶え間なく続き、多くの人々が苦しんでいます」
と述べた。
森さんは、
「平和憲法と非核3原則を日本のみならず世界中に広げていくことこそが、戦争をなくし、核兵器の増大と拡散をとめる有効な手段であると考えます。
地球上のすべての人々が、いつまでも平和で豊かに暮らしていくことを願ってやみません。」
と述べて、「平和への誓い」を締めくくった。
平和祈念式典についての日経新聞報道は以下の通りだ。
恒久平和の誓い新た 長崎、原爆の日
長崎は9日、63回目の原爆の日を迎えた。爆心地近くの平和公園(長崎市松山町)で市主催の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が開かれ、被爆者や遺族、福田康夫首相ら約5400人が参列した。
田上富久長崎市長は平和宣言で「朝鮮半島の非核化のために国際社会と協力して、北朝鮮の核兵器の完全な廃棄を強く求めていくべきだ」として、政府に対し核兵器廃絶に向けてリーダーシップの発揮を求めた。また2010年に開かれるNPT(核拡散防止条約)再検討会議に向け「世界の都市と結束して、核兵器廃絶のアピール活動を展開していく」と述べた。
午前10時40分に始まった式典には、ロシアや韓国など8カ国の政府関係者も参列。7月末までの1年間に死亡を確認した被爆者3058人の名簿が奉安箱に納められ、名簿記載者は計14万5984人になった。原爆投下時刻の午前11時2分には「長崎の鐘」が鳴り響き、犠牲者の冥福や恒久平和の実現を願い全員が黙とうした。(14:33)
田上長崎市長が述べた「包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を米国に求める」文脈が完全に脱落している。
私たちはいま一度
「戦争に勝ちも負けもない。あるのは滅びだけである」
の言葉をかみしめる必要があると思う。
再び拙著『知られざる真実−勾留地にて−』からの引用で恐縮だが、
第一章「偽装」24「米国隷属の外交」に以下のように記述した。
「安全な場所にいて戦争を指揮することは容易だ。沢木耕太郎氏はクリントーイーストウッド監督映画「父親たちの星条旗」に込められた真のメッセージが「戦争を美しく語る者を信用するな。彼らは決まって戦場にいなかった者なのだから」ではないかと記した(朝日新聞2006年11日6日夕刊「銀の森へ」)。
クリントーイーストウッド監督はこう語った。「ずっと前から、そして今も、人々は政治家のために殺されている。」
戦争のない社会は幻想かも知れない。しかし平和主義を憲法に明記する日本こそ、戦争回避に最大の努力を注ぐべきと思う。外敵から身を守るための自衛力は必要だ。核兵器が現実に存在する限り、米国と同盟関係を結ぶことは現実的選択と言わざるを得ない。
しかし、日本は世界で唯一の被爆国として核兵器廃絶に力を注ぐべきだ。米国の圧倒的な核軍事力の存在が核の世界的拡散の一因だ。包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を米国に求めるべきだ。プリスク国際原子力機関IAEA)前事務局長も同様の指摘をした(朝日新聞200611月25日)。」
マイケル・ムーア監督作品「華氏911」に、連邦議会議員に自分たちの子供を軍隊に志願させてイラクに送り込むよう求める場面が出てくる。もちろん、応じる議員はいない。イラク戦争の戦況についてインタビューに答えたブッシュ大統領が、答え終わるとゴルフのティーショットにいそしむ場面も紹介された。
政府はすべての人々が平和で生きがいを持って生きてゆける社会を構築するために存在する。平和な世界を築く大きな第一歩が核廃絶である。
米国元高官がどのような背景で「核廃絶」アピールを始めたのかは定かでない。核政策を推進した人々の言葉を鵜呑みにすることはできないが、「核廃絶」を目指すことは正しいと思う。
世界の核弾頭の95%を保有しているといわれる米国とロシアが核廃絶に向かわなければ何も変化しない。米国、ロシアを動かし、世界をCTBT批准に向かわしめることこそ、求められる行動だ。このイニシアティブを取るべき国は日本である。
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