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見えてきた自殺大国日本の実相(ビデオニュース・ドットコム)
http://www.asyura2.com/08/senkyo52/msg/463.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 8 月 09 日 17:02:04: twUjz/PjYItws
 

http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080806-01-0901.html

見えてきた自殺大国日本の実相
2008年8月6日 ビデオニュース・ドットコム
ゲスト:清水康之氏(NPO法人ライフリンク代表)

清水 康之氏

 日本人の自殺が一向に減らない。先月発表された自殺統計では、07年の自殺者の数が前年を上回り、過去2番目に多い3万3093人に達していたことが明らかになった。これで、日本の自殺者数は、10年連続で3万人を超えたことになる。06年に自殺対策基本法が制定され、政府も自殺問題に取り組み始めてはいるが、OECD加盟国中ハンガリーについで2位という日本の高い自殺率は、いまだに改善の兆しが見えない。
 NPO法人自殺対策支援センターライフリンクはこのほど、自殺者の遺族への聞き取り調査などをもとに、自殺に関する詳細なデータを分析した「自殺実態白書2008」を取りまとめて発表した。自殺者の実態調査は日本ではこれが初めてのものとなる。
 宮台真司と斎藤貴男の両キャスターが、白書の作成を通じて見えてきた日本の自殺者の実態とその原因となっている社会的な背景や予防策を清水氏と議論した。


経済状況と自殺の密接な関係

斎藤:世界各国と比較した場合、日本の自殺にはどんな特徴があるのか。
 
清水:日本の場合98年から自殺者数が増えたといわれているが、もっと正確に言うと、自殺者が増えはじめたのは98年の3月だ。つまり、97年の決算期に当たる時期に自殺率は急増した。実は同じタイミングで、失業率も急上昇、倒産件数も増加している。97年に何が起きたかというと、山一證券や北海道拓殖銀行が破綻し、金融不安が一挙に広がり、貸し渋り、貸しはがしがひどくなった。失業率と倒産件数が上がったのに呼応するような形で、自殺率は98年の3月から上がり、そのままずっと高止まりしているのが実情だ。諸外国と比較して、経済的な要因・背景と相関関係が非常に強く見られるのが、日本の自殺の特徴だといえると思う。


地域の特性の解明には、さらなるデータ開示が必要

宮台:警察署別自殺者数のリストを見て思ったのは、青森や福岡県筑紫野、愛知県豊田もだが、工業団地があるところが目立つということだ。
 
清水:特に被雇用者の自殺が多かった所轄がどこなのかを見てみると、工業団地や大手の自動車や化学薬品の工場がある地域が軒並み上位にきている。
 
斎藤:工業団地があるということは、その地域の中に大企業があって、その下請け、孫請けで形成されるピラミッド構造があるということか。
 
清水:今回の白書で、自殺者の職業が自営者なのか、被雇用者なのか、無職者なのかということまでは分類ができた。しかし、自殺した被雇用者の方が正社員なのか、派遣社員なのか、契約社員なのかパートなのかまでは、今回警察庁が厚労省を経由して研究者に提供したデータには含まれていない。実際にはそれらのデータは存在するので、それを見ることができれば、ピラミッド構造と自殺との因果関係がもっとよく見えてくるはずだ。我々はまだ、調査は不十分だと思っている。


実態の解明により、地域での自殺防止対策の実施へ一歩前進

清水:我々は地区町村ですぐに対策に生かしてもらえるよう、警察署別のデータを分けて市区町村別に示した。特徴的なデータをいくつかあげると、埼玉県さいたま市浦和では20代から60代までの無職者の女性の自殺者が非常に多いという特徴がある。日本全体で考えると、男性の自殺者と女性の自殺者の比率は3対1で、圧倒的に男性の割合が多く、女性は低い。さいたま市浦和は、全国的な傾向とは異なる特徴を示していることがわかる。
 あるいは、大阪市の西区は自営者の自殺が多いという特徴があり、愛知県豊田市では、男性の20代から50代までの被雇用者が非常に多い。単にそれぞれの所轄で何人が亡くなっているかだけでなくて、亡くなった方たちがどういう職業で、どういう年代でどういう要因だったのかを見ていくと、その地域の特性が見えてくる。
 さいたま市浦和では無職者の女性の自殺率が高いとわかったわけだが、その地域で自殺対策を立てるときに、行政の窓口で無職者の女性と接する機会が多い場所はどこかということを考えれば、無職者の女性に情報を提供できるようになる。あるいは、無職者の女性と接する機会のある相談機関や専門機関はどこなのかをあぶり出し、リスクを抱えている人たちに困った場合は相談をするよう呼びかけることができる。
 つまり、誰がどのような要因で亡くなっているのかがわかれば、支援をピンポイントでハイリスク者の人たちに提供できるようになる。そうなれば、地域の自殺対策は大きく変わるはずだ。
 
宮台:不十分であるとしても、ここまで実態が明らかになったことは相当の進歩だと思う。実態がわかれば窓口を特定しやすくなるということもあるし、やはり大事なのは因果関係だ。どうしてその地域では自殺が多いのかという因果関係を分析する際に、非常に有力な手がかりを得られる。
 
清水:詳しい情報が出てこなければ、地域では対策を立てようがない。顔が見えずターゲットをしぼることができない状態で、地域で自殺対策を取るようにという指示をしても、できることは啓発活動だけになってしまう。
 2年前、基本法の成立によって官民が連帯してそれぞれの地域で対策を行うという枠組みができた。しかし、いろいろなことがやれるしくみはできたが、中身は何をやっていいのかわからない状況だった。今回実態と地域の特性、自殺に追い込まれるプロセスが明らかになったことによって、初めて基本法の意味が出てくるのではないかと考えている。
今回実態がわかってきたことによって、それぞれの地域で誰がどういうことをすれば良いのか、どの部署がどの部署と連携して何をすればよいのか、誰をターゲットにするのかがようやくはっきりした。自殺防止対策を実施に移すことができる段階にきたと感じている。

※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。


■関連投稿
自殺実態白書2008
http://www.asyura2.com/08/senkyo52/msg/185.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 7 月 27 日
 

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