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不思議な国の、不思議な外交である。 韓国で10年ぶりに保守政権が成立したのを受けて、2月、福田総理は李明博新大統領の就任式に出席、5月には李大統領が訪日し、小泉時代に途絶していた日韓シャトル外交を再開した。核協議で米朝が先行するのを、韓国とタッグを組み、“日米韓”という枠組みを再始動させて、スピードを抑えようとする戦略かにみえた。6月、東京で行なわれた日米韓六者協議首席会合でも、「拉致問題」解決に韓国の協力を要請したばかりである。 直後の7月14日、日本政府は学習指導要領解説書に竹島(独島)を、間接的ながら「固有の領土」と記述した。李政権が支持率の急落と対北交渉の行き詰まりで窮地に陥っているのを知りながらの措置であり、韓国政府は「深い失望と憤り」を表明、大使は一時帰国した。 再開されたばかりのシャトル外交も危ぶまれる雰囲気になった。「拉致問題」への協力など得られよう筈もない。案の定、7月23日からシンガポールで開催されたASEAN地域フォーラム(ARF)での非公式六者外相会合では、北朝鮮はもちろん、韓国も日本に素気無い対応に終止した。外から見れば、日本は何を考えて、核をめぐる六者協議が大詰めに来たいま、無用の“紛争の種”を蒔くのかと不思議に思うことだろう。背景には、自民党右派の圧力と文科省の右傾化があったというが (今号「世界の潮」夏嶋氏)、東アジア情勢を踏まえて、そうした動きを抑え、コントロールするのが官邸の役割と責任であろう。福田総理の曖昧さと不決断がこのような失態を招いたといえる。 そしてこのような失態を、国民の目から覆い隠しているのがメディアである。7月15日付読売新聞社説は「『竹島』明記は遅いくらいだ」と文科省の措置を擁護、領土問題となると、たちまちいつもの「拉致」最優先はどこかに行ってしまう。朝日も毎日も韓国側に「冷静さ」を求めるばかりである。 同島は本当に日本の「固有の領土」なのか。そうはいえないことは、日本の歴史研究者によっても明らかにされている。徳川幕府は竹島を朝鮮の版図として渡海を禁止し (1696年)、明治政府も当初、「本邦関係これなし」と決定(1877年)していた。日本がこれを奪ったのは、1905年、日露戦争時、軍事的な利用のためである (内藤正中、金柄烈『史的検証 竹島・独島』岩波書店、2007)。 かつてドイツのあるジャーナリストから、「戦後ドイツは24%の領土を失ったが、侵略戦争のツケとしてドイツ人は受け入れた。韓国の主権を奪った年に奪った島の返還をいまなお要求するとは、(日本人は) どういう政治意識なのか。信じられない」と言われたことがある (2005年9月号、G.ヒルシャー氏)。 竹島は日本の朝鮮侵奪の始まりの島であり、その島の領有に固執するのは、つまり日本が朝鮮植民地支配を反省していないと宣言するに等しい。 同島は、日本海に浮かぶ小さな島、というよりむしろ岩で、利用価値はなく、日本国民の関心もほとんどない (島根でも関心は高くないという)。同島の正確な位置や歴史を知っている日本人がどれほどいるだろう。無責任な右派や官僚の面子のために、そんな岩に固執して隣国や国際社会の信頼と協力を失っていいのか。 六者協議では、日本は各国に「何をしてくれ」とは言うが、自分は「何をする」とは決して言わない。まるでだだっ児のようだ。苛立たしく、また恥ずかしい。 |
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