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922]英国の大手銀行「スコットランド銀行」が今度は大手スーパーに買収？
投稿者：谷口 誠投稿日：2008/07/30(Wed) 05:50:59
在倫敦の谷口です。
昨夜、米メリルリンチ証券は今期のサブプライム住宅ローン関連の損失９０億ドル（約９５５０億円）の穴埋めのために、同額の増資を急募し始めたが、全く買い手がつかないようだ。
今日、手をあげたのは、シンガポールのテマサックのみである。
４５０億ドル（約４兆７７００億円）以上の損失を今期前半に出した
米シティグループも来月あたりに同じような動きに出るだろうが、
もう絶望でしょう。
資本主義の開祖の英国の民間銀行も米国同様、これから続々と
潰れていくでしょう。
中央銀行のイングランド銀行は、この夏休み、見学の入場入り口に
特設広場を設けて、金利の上げ下げを観光客に操作させて、
どうやったらこの不況を克服するか、などという、冗談にもならない
キャンペーンを始めている。
策が無いから、こんな見世物でもやって笑いをとろうというくらい、
もうすっかりやる気がなさそうである。
米国は「ウォール街」社会主義に突入・逆行したのであって、
１９３３年にまで一揆に時代が戻ってしまったようです。
ウォール街もシティも、もはや「資本主義」を放棄しているようだ。
バラク・オバマ新大統領のこの１１月の最初の仕事は、1933年3月に
就任直後のルーズベルトが３月４日に行った「全国一斉銀行休業」の2008年版に違いない。
1933年に「金本位制（ポンド体制も）が事実上終了した」宣言の
2008年11月のバラク版は「デジタル金融資本主義」の終焉宣言になるはずである。
米大統領選でもりあがっているのは、米国民と日本国民だけ。
英国民も含めて、ここ倫敦の世界中の人間（東欧、中東、アフリカ、
中南米）は、みんな、
しらけきっています。
世界大恐慌（デフレ）の研究では世界一かもしれない宅美光彦教授の
「大恐慌型不況」（講談社）などの名著を一冊手元に置いておくと、
明日、何が起こるか、面白いように簡単に予測が的中する。
「1929年―３３年の米銀行破産数グラフ」がこの本には載っているのだが、先週のファニー、フレディーは、まさに1932年の「第二波」で
あり、全く予想できたとである。
次はこの１０倍の数で全米の銀行（当時の全米の半数の銀行）がつぶれ、FRB、金本位制がつぶれる頂点の「第三波」が、オバマの当選後の１１月の直後に来る。
当時は日本をも巻き込んだ、金（ゴールド）という世界規模の要因が、世界恐慌へ進んでいったが、７０年後の2008年版は、インターネット、デジタル金融による過剰流動性のその規模などなどから、1931年版より遥かに大規模、長期化するはずである。
ブロック経済、ファシズムの台頭という共通点は、わたしたちが、
高校生の世界史の現代史の授業で習ったとおり。
明日、何が起きるか、というシナリオは、すべて宅実教授の研究と本に、実に詳細に書いてある。
脚本どおりに世界が今、動いているのだから、脚本を見ながら世界を見ていると、全く７０年前の「世界大恐慌」という作品のリメイクを今の米国や世界は再演しているだけである。
役者が変わっているだけで、ストーリーは全く同じである。
これは予言でもなんでもない。
「歴史はくりかえす」なので、歴史を追っていれば、未来に何がおきるかは簡単にわかる。
先月末に報道された、英国最大のバークレイズ銀行への三井住友銀行（約９５００億円の第三者割り当て増資の予定だったが）とカタール政府系のカタール投資庁、中国政府系の国家開発銀行、シンガポール政府系のテマセク・ホールディングスが総計で２割増しの融資を行うという交渉は結局、１か月たった７月末でもまとまっていない。
その間にも英住宅系金融の最大大手のHBOが倒産か？ということで、同様の融資を募集しているが、買い手が全くつかない。
日本語でグーグルしても情報が出てこないので、私（谷口）が「ふじむら」「金融」「在外」で随時紹介することにしました。
さらに、英国のマスコミでさえも、意図的にこの大事件を報道しないで、英国民をあざむいています。
ロイターやブルームバーグでかろうじて日本語になっていますが、この件をきちんとデイリーで日本語でフォローしてくれているのは、この学問道場を含め、日本国内でもわずか５つくらいのネットサイトしかない。
日本のマスコミはもちろん全滅である。今すぐにでもシャットしよう。
本日７月２９日は、４番手の大手商業銀行である、RBS（ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド）が英国最大の量販店スーパーTESCOに買収される話が４月から進んでおり最終のつめに昨日はいったという話が倫敦の地下鉄で配布される金融フリーペーパー「CITY AM」
のトップになっている（が、英大手マスコミは無視）
TESCOというのは、ブレアの労働党政権が支援し、９０年代に登場し、２１世紀に入り、売り上げ、利益率ともに英国１位の最大の英国内のスーパーマーケットであるが、量販店以外にも、金融サービス（RBSとは９７年からすでに合弁会社を設立し、タイアップの金融サービスを行っている）、自動車、クレジットなどなどの、総合量販店、マルチ経営だが、ここに大きな罠がある。
労働党の議員（ブレア政権のスタッフの重鎮たち）が役員を昔から兼ねており、物価高の英国のなかで、唯一、貧乏人の庶民が買い物ができる低価格スーパーなのであるが、実は、これは国民の税金を大幅に注ぎこんでなりたっている、社会主義、つまり、福祉としての食料配給スタンプ（米国の例の福祉）みたいな役割になっている。
マクドナルドが英国内で５０が閉鎖して、販売を中止したのは、
肥満の問題がいちばんだが、
「下層難民」にカロリー過多の食料配給としての非難が国民から集中したということは、「ルポ貧困大国アメリカ」（堤未果：岩波新書）
にもきちんと米国の事情が説明されている。
FTによると、来年からヨーロッパのみで、マクドナルドは「健康バーガー」を販売するらしいが、これはもう、社会主義による食料配給であろう。
日本ではおめでたく、今でも家族でファレス気分で通っていそうだが、
信用収縮問題とセットで、マクドナルドは、ヨーロッパ人から
大パッシングをあびている。その償いをするのだろうと思う。
だから、今回のテスコが銀行を買収する話は、一民間企業による買収話でなく、早い話、食料の配給も
金融サービスも、英国が資本主義を放棄し、社会主義、共産主義に移行する、という歴史的な大事件になりうるのである。
マルクスの予言（資本主義→社会主義）は案外２０２０年頃に当たってしまうのかもしれない。
米国のブッシュ政権のスタッフたちが、世界規模の犯罪者として訴えられ始めているらしいが、そのポチのトニー・ブレアも「イラク戦争戦犯者」だけでなく、金融業界のインサイダー取引を国家規模でやった（日本では小泉、竹中、世耕のチームで
全く、チーム編成はブレア政権チームと同じである）疑いがあり、英国の最高裁に
かけられるかもしれないが、こうなると、まさに、ABOVE THE LAW、法律を作る側の権力者を裁くのは、いったい、誰で、そんなことができるのか？という「国家権力」対「一般国民」の国内内紛テロ世界合戦みたいです。
すでに米国でロン・ポール議員が警告しているように、米国は財務省がファニーメイや不レディーマックに公的資金を注入するなどといっているが、あの金額では、米国が帝国、資本主義を終了し、社会主義、共産主義国家にでも移行しない限り、いくらなんでも金融機関を救済できない。
これはもう末期ソビエトと同じ状態だから、私たちが１９９１年に突然終了したソビエトと同じ日が、米国帝国にいつくるかのカウントダウンになったようです。
米国が「ウォール街」社会主義1933年まで逆行するのなら、その大元の英国は、なんと１７世紀の資本主義前（銀行システム以前）にまで戻っていきそうなひどい状態。
世界は狂っています。宇宙人が現れたとのニュースが英国のラジオで
放送されていますが、こんなに狂った地球や人類を見て、宇宙人は逃げ出すのではないでしょうか？
ロックフェラー大本営の米国マスコミによる言論統制、その属国として
CIAの手先報道機関の日本の全マスコミのひどさにうんざりした私（谷口）は２００４年に日本を出国して、英国なら「まだましだろう」と期待を抱いて４０歳すぎて留学生になったのだが、その英国もいよいよ「言論統制」に入ってきた。
英国の住宅価格は今年年初の各エコノミストの予測では５％減という楽観的な予測だったが、この夏休みに入って、公的な住宅機関でさえも、年内２０％下落を予測、来年は３０％まで下がるだろうと、急遽、数字を修正しはじめた。
１年前の夏に、米国政府や米国メディアが「嘘に嘘を重ね」、今年になって各金融機関の数字の実態が報道より数倍に膨れあがっていた（ファニーメイ、フレディーに第二波はとどめをさした。第三波は米国の全金融機関がつぶれるかもしれない。）
そして、１年遅れて、今度は英国をはじめとするヨーロッパのメディアも、だんだん、「嘘」をつきはじめてきた。
ヨーロッパのメディアのひどさも、やはりメディアを買収する例の大物がやっているから、フランスあたりの新聞も本当にひどい、と各大陸から日本人の声が倫敦まで届いてきます。
笑ってしまうのは、今週になって、その英国の住宅価格は２０１０年には倫敦オリンピックによる経済効果でまた２５％回復するだろう、などという、嘘を、英国国家と、BBC
（英国放送協会）、FTやエコノミストといった世界的に信用のあるメディア
がついに、嘘を言い始めたことだ。
それから、日本とはアプローチは違うが、ネットへの規制も「幼児ポルノ規制」を理由にしたり、街中の警備は警官の数は少ないながらも、
IDに指紋を入れたりと、ある意味では、日本以上に不愉快な思いを
することが昨今、増えた。街中でビデオカメラで監視されている。
まさに、ジョージ・オーウェルが６０年前に予言した「人類管理世界政府」が、米国→日本→ヨーロッパといった順繰りで実現してきたのである。
私はこの５年間の英国生活にはそれなりに満足していた。言論の自由という点では、米国や日本より英国ははるかにあったと思うし、国民も
歴史観があり簡単に騙される国民性でない、と信じていたからだ。
しかし、昨今の若者の英国人と話をしていて、これはもう国家や人種だけの問題でもないなあ、とかなり絶望的な気分になっている。
「蟹工船」を読む日本の若者のワープアと、ナイフをふりまわし、酒におぼれて社会を不安にする英国のワープアとどっちがまともかと考えると、私も考えを変えたくなった。
チャーチル首相の名前を２５％の１０代の英国人が知らず、
６人に１人の英国人（移民含む）が英語ができない、という
状況を見ると、これが果たして近代国家なのだろうか、と思う。
中国オリンピックもいよいよ始まる。
２０１２年は倫敦オリンピックということで、
倫敦市内には競技場は土地開発が進んでいるが、買い手は全くつかないし、すでに、前市長のケン・リビングストンが見積もった予算の５倍にも膨れ上がって、それを英国民や市民に税金という形でツケを回すのか？
極端に、「中止論」まで出ているのである。
２年前にあんなに街中で決定地になって喜んでいた倫敦市民の顔は、一揆にこの夏暗く、恐怖心にとらわれていて、北京オリンピックを「楽しんで見る」ような日本人のゆとりや優しさは感じられない。
「紳士」のくせして、「近代人」のくせして、なにをいまさら、英国人のインテリたちはパニックしているのか。
日本人はいい意味で「あきらめ」「潔く」て、死に際は無口である。
白人たちの死に際の「言い訳」「無駄な抵抗」はなんと醜いことか。
ヨーロッパが作りあげた、近代文明のすごさを、私のようなアジアからの「土人」「世界の田舎者」「ワープア」があれこれ言う筋ではなかろう。
１００年前にここ倫敦で「日本人よりはるかに優れている近代西洋人への畏怖、恐怖から神経衰弱になった」夏目漱石の気持ちは今の私には
実によくわかる。
明治維新の年に生まれ、第一次世界大戦直前まで生きた漱石。
１００年後、英国人も日本人も人類の歴史は、何も変わらない。
ただひとつ、漱石が見つけた、近代文明の開化に対して、遅れてきた
貧乏留学生の私は、彼への回答と唯一の差異として、
「近代人のつくりあげた文明の崩壊・自滅を最後まで周辺国からの一留学生として最後までこの目で現地で見届けてみよう」と、私は思っている。
[新世紀人コメント]
第二次大戦とは違った形をとりながら世界は姿を変えるでしょうな。
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