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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008072902000118.html
【社説】
電気値上げ 『説明責任』を省くのか
2008年7月29日
東京電力が家庭向け料金の積算根拠となる基準燃料価格の引き上げを政府に届け出た。基準を引き上げれば公聴会を省いて値上げが可能になる。消費者への「説明責任」がおろそかにならないか。
家庭向け料金の見直しは燃料費などをすべて洗い直し、消費者も参加する公聴会を経て政府の認可を得る「本格改定」と、半年前の燃料価格などを基準価格と比較して三カ月ごとに料金を自動的に決める「燃料費調整制度」の二つの方法がある。
燃調制度は料金見直しの「簡略版」であり、決められた時期の燃料費を基にはじいた基準価格の五割を上限に引き上げが可能だ。四万二千七百円への基準引き上げが東電の届け出の柱であり、現在の標準家庭一カ月の平均料金六千七百九十七円を七千九百七十七円まで引き上げることができる。
燃料急騰を直ちに料金に反映させると、公聴会開催などが必要となり反対意見の続出も覚悟せねばならない。このため燃料価格の上昇分を上回る二千七百億円を人件費や設備費削減などで浮かし、十−十二月は料金を据え置いて値上げは来年一月からという奥の手を使わざるを得なかったようだ。
基準価格が上がれば値上げの自由度が一気に回復する。家庭向け料金は既に四・四半期連続して値上げされ、基準価格引き上げ後の来年は、さらに八百円高くなる。
電気事業の関連法に逸脱しないとはいえ、こうした手法は釈然としない。東電は柏崎刈羽原発が中越沖地震の直撃で停止し、代替する火力発電の燃料費増大などで今年三月期決算は千七百億円の赤字を強いられた。厳しい環境にあるからこそ、消費者に説明し理解を求める。それが筋ではないか。
企業などの大口顧客は自由化によって電力会社を選べるようになった。発電コストなど詳細な説明を受け、価格も入札で決まる。それに引き換え、家庭向けは政府のチェック機能も働かず、電力会社の言い値に従うだけだ。政府の物価安定政策会議では、燃調制度に対し「簡単に価格転嫁ができるので、事業者のコスト意識が甘くなる」と見直しを求める意見が少なくない。
燃調制度は一九九六年、円高差益の速やかな還元を目的に導入された。電力業界は半ば地域独占企業であり、あらゆる点で消費者の批判を受け止めるべきだ。
それが使命であり、燃調制度を使い勝手のよい値上げの道具にしてはならない。
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