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2008年07月26日
ありきたりの報道からは何も見えてこない
今に始まったことではないが、大手メディアが報じるありきたりの報道からは、今の日本が抱えている深刻な問題は何も見えてこない。
政府の政策が、如何に無策であるかがわからない。
たとえば25日に総務省が発表した6月の消費者物価指数に関するニュースだ。
15年ぶりの大幅上昇を憂えている。消費が細り、景気回復に暗雲が立ち込めると嘆く。
しかし、そこには政府の無策についての追及はない。
所得が増えないのに生活必需品の物価が上がるのだ。
生活を切り詰めるしかない。欲しいものまで買い控えざるをえない。
物が売れなくなるのは当然だ。製造業が落ち込むのは当然だ。
余裕資金がなくなれば遊ぶ金もなくなる。金融商品に手を出す気にもなれない。
景気が低迷するのは当たり前だ。
それなのに政府は財政赤字解消のために、更なる増税やむなしと主張する。
まともな政策ではない。
増税をするためには、その前に無駄をなくさなければならないのは当然だ。
だから、増税の口実として、町村官房長は25日の記者会見で「無駄ゼロ」を推進するため有識者からなる「行政支出総点検会議」なるものを発表した。
しかし効果は皆無だろう。
無駄はもちろんなくすべきだ。しかし今の膨大な財政赤字を本気での解決しようとするなら、無駄をなくす程度のパフォーマンスでは焼け石に水だ。
労多くして節約額の少ない萎縮策よりも、予算編成を抜本的に改める事こそ必要なのだ。
防衛費やODA費を凍結したり、国会議員を無給にしたり、公務員定員を半減したり独立行政法人を全廃し、その代わりに生活補助費を増額するなど、官僚と族議員任せの予算編成を根本的に変えない限り、この国の危機は終わらない。
7月26日の朝日新聞が平沼新党について書いていた。その中で平沼氏の次の言葉が引用されていた。
「自民党にも、民主党にも、どうしても満足できない声がある。一緒にその声に応える」
これは護憲、市民派のいうセリフではないのか。
その護憲、市民派がまとまって新党をつくろうとするのならわかる。
ところがその動きがまったくない中で、ウルトラ保守の平沼新党が、自民でも民主でもない者たちの期待に応えるという。
おかしくはないか。
こんな新党が成功するはずはない。
革新勢力側から第三の勢力が出てこない今の日本はおかしい。
日朝関係進展に向けて外遊中の高村外相は中国に協力要請をしたという事が23日の産経新聞で取り上げられていた。
米国に頼み、それでだめなら中国に頼むという訳だ。
そう思っていたら、今度はハノイでベトナムの外相にまで、拉致問題の解決を要請したという(26日産経新聞)。
冗談ではないか。なぜベトナムにまで日朝関係進展の協力を頼まなければならないのか。
北朝鮮に対して最も利害関係のある国は日本である。影響力のある国は日本である。
だからこそ小泉元首相が訪朝したのではなかったか。ピョンヤン宣言を結んだのではなかったか。
秋山直紀という防衛コンサルタントが脱税容疑でついに逮捕された。
この問題で批判の矢面に立っているのが防衛省だ。守屋前次官の醜聞からいもずる式に明るみになった防衛関連企業をめぐる日米癒着問題である。
しかしこの問題で当惑している省がもう一つある。それは外務省だ。
秋山は外務省管轄の社団法人「日米平和・文化交流協会」の専務理事であった。
監督責任はないのか。外務官僚の関与はないのか。
それよりもなによりも、ここまで秋山が増長した理由は、彼がラムズフェルド、アーミテージ、コーエンをはじめとした米国の要人と太いパイプがあったということになっている。
それは裏を返せば、日米安全保障関係は外務省の専管事項だと主張してきた外務省が、駐米大使を含め、如何に米国要人とのパイプが希薄であるかの証明でもある。
米国が秋山を重要視していたとはとても思えない。
それにもかかわらず秋山を、さも米国との太いパイプがあるかのように見せたのは、外務省の無能さの責任である。
26日の東京新聞は国家公務員の定年を65歳まで延長することを検討する中間報告をまとめたと報じた。
これほど時代に逆行した事はない。
キャリアの早期退職は、同期との昇進に敗れた者を救済するための天下りシステムにある。定年年齢の引き延ばしとは無関係だ。
ただでさえ60歳まで身分保障されている一般公務員の定年を65歳まで延長するのは公務員優遇でしかない。
ましてや年金を受け取るまで定年を引き延ばすなどとは、公務員天国を地で行くようなものだ。
ありきたりの報道では何も真実は見えてこない。
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