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本日発表の地区連銀経済報告に注意
本日発表される地区連銀経済報告(ベージュブック)には注意が必要だ。
NY株価、連動する日本の株価は7月16日以降、予想通りの反発を示している。次の焦点は8月5日と9月16日のFOMC(連邦公開市場委員会)になる。インフレ抑制の金融政策の重要性を改めて確認しなければならない。
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私は会員制レポート『金利為替株価特報』5月24日号=067号タイトルを「原油価格上昇で米国株式市場に暗雲」として、原油価格上昇に伴う株価下落リスクを指摘した。
6月7日号=068号ではタイトルを「FRBインフレ回避利上げケース考察」として、株価下落見通しを示した。
現実に日経平均株価は6月6日の14,489円をピークに7月16日の12,760円まで、1729円、11.9%下落した。NYダウは5月2日の13,058ドルから6月5日の12,604ドルを経過して、7月15日の10,962ドルまで2096ドル、16.1%下落した。
株価下落見通しを提示したのは、NYダウが6月6日に重要な下値抵抗ラインである12,500ドルを明確に割り込んだからだ。原油価格上昇が持続し、FRBがインフレ抑制に金融政策の方向を転換する必要が高まったと判断したことが背景だった。
7月16日付記事「FRBインフレ重視方針でNY株価反発」冒頭に以下のように記述した。
「NY株価が当面の転換点を通過した可能性が高い」
記事のなかで、以下の指摘をした。
「NY株価は15日の10,962ドルを底に、目先反発する可能性が高い。日本の株価は米国株価と連動するため、目先反発局面を示す可能性が高い。」
「これまでの際限のないドル安、原油高、株安の連鎖から解き放たれて、株価反発局面を期待することができるが、目先の反発で安心感が広がったのちの再調整圧力を警戒する必要がある。8月5日のFOMCでの金利引き上げをめぐり、市場観測が交錯する可能性が高いからだ。」
バーナンキ議長は7月15、16日に半年に1度の金融政策を報告する議会証言を行った。
15日には「金融市場の安定確保がFRBの最優先事項」と述べたが、NY株価は93ドル下落して、10,962ドルと2年ぶりに11,000ドルを下回った。
16日の議会証言では、質疑応答で発言のトーンを大きく転換した。バーナンキ議長は「現在のインフレが高過ぎるとの見方に賛同する。物価安定と一致する容認可能な水準にインフレを引き下げるための政策実行が今後のFRBの最優先事項だ」と述べて、インフレ抑制を重視する方針を明確に示した。
NYダウは前日比277ドル上昇して11,239ドルに反発した。原油価格が下落したことも影響しているが、FRBのインフレ抑制重視姿勢を金融市場が好感したと解釈することができる。
7月16日には、6月24、25日のFOMC議事録も公表された。議事録では、複数の委員が「次の政策変更は利上げが妥当」と発言したことが明らかになった。また、その後、6月のFOMCに向けてカンザスシティーとダラスの2連銀が公定歩合引き上げを申請したことも明らかになっている。
その後、FRB関係者から相次いでFRBによる金融引き締めを示唆する発言が示されている。
7月18日にはスターン・ミネアポリス連銀総裁が、ブルームバーグのインタビューで「FRBは住宅・金融市場が安定するまで利上げ実施を待つことはできない。インフレは明らかに高過ぎで、コア物価に波及する可能性がある」と述べたと伝えられた。
また7月22日には、ブロッサー・フィラデルフィア連銀総裁が「FRBはインフレ亢進を受けて、労働・金融市場の回復を待たずに利上げ開始を余儀なくされる可能性がある」と述べたことをロイターが伝えている。
ブロッサー総裁はさらに、「金融政策を過度に緩和的かつ長期的に維持することは、個人や企業のインフレ期待を高め、インフレ問題を悪化させる可能性がある」との見方を示し、「インフレ期待の抑制を維持することは、金融当局者が発言を行動で裏付ける必要があることを意味する」と指摘し、「(政策の)反転が求められる。その反転は遅めよりは早めに開始する必要が生じると予想している」と述べた。
これらのFRB関係者の意見は私の見解と軌を一にしている。FRBはインフレ抑制の政策目標を堅持すべきで、インフレ抑制政策が中長期の安定的な経済成長に欠かせないとの判断を尊重するべきである。
米国はいま、三つの問題に直面している。@景気後退、A金融不安、Bインフレ懸念、の三つだ。最も警戒を必要とするのが、A金融不安で、3月にはベア・スターンズ社の経営危機が問題になったが、最近では政府住宅公社や地方銀行の問題が表面化している。
米国政府とFRBは問題の重要性を十分に認知していると考えられる。公的資金注入を含む対応が検討されている。
問題は、A金融不安対応で短期金利を引き下げ過ぎたことだ。FFレートは現在2.0%の水準にあるが、6月の消費者物価上昇率は前年比5.0%で実質マイナス3%の金利になっている。
この状態を放置したままでは、市場のインフレ心理を促進してしまう。金融不安を引き起こさない短期金利の上方修正が求められている。
原油価格が下落しているのでインフレ懸念は後退しているが、原油価格が反発に転じると、インフレ懸念は一気にまた強まる。原油価格が下落している間は株価上昇が持続するが、原油価格が反発に転じると、株価が再下落するリスクが高い。
地区連銀経済報告でインフレ懸念が強調される可能性がある。8月5日ないし9月16日のFOMCで利上げが決定される可能性は50%以上だと私は見ている。
利上げは中長期的に判断して、必要な正しい政策だと考えるが、利上げ観測が浮上すると金融市場の不透明感が増す可能性があるので、留意すべきである。
米国のマクロ経済政策のポリシーミックスは、財政緩和−金融引締め検討の段階にある。実は、日本でも同様のポリシーミックスを検討するべきである。この問題については、改めて考察したい。
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