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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu172.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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現代社会ではデモやストライキをやっても権力によって封殺されて、
労働者の保護政策は骨抜きにされていった。だからテロが起きるのだ。
2008年7月23日 水曜日
◆駅ビル通り魔女性刺殺 八王子、容疑の男逮捕 7月22日 日経新聞
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080722AT1G2204022072008.html
22日午後9時40分ごろ、東京都八王子市明神町3、京王八王子駅の駅ビルの京王八王子ショッピングセンター9階「啓文堂書店」で、「女性が刃物で刺された」と119番があった。警視庁によると、女性2人が男に刺され、うち書店従業員の女性(22)が胸などを刺され、搬送先の病院でまもなく死亡した。もう1人の女性(21)は意識があるという。
警視庁が通り魔事件として女性を刺した男の行方を追っていたが、現場近くで容疑者の男の身柄を確保、殺人未遂容疑で逮捕した。
調べに対し、男は「31歳の派遣社員」と話し、被害者とは面識がないという。「仕事がうまくいかず、むしゃくしゃしてやった。誰でもいいから刺したかった」と供述しているという。
◆派遣社員10年の実態 7月22日 内田一ノ輔
http://www.melma.com/backnumber_108241_4169071/
ご存知のように労働者派遣法が1986年に施行された。
対象は、ソフトウェア開発、通訳、速記、秘書などの13業務に限定されていて、技術を持ち即戦力となる人材が対象である。間違いなく売り手市場であった。
派遣社員を依頼する会社は、派遣会社に対して「○○のソフトウェア開発の出来る人」、「ドイツ語の通訳の出来る人」といった、具体的な業務の内容を依頼するシステムとなっており、「性別」「年齢」などの指定は原則出来ない。
これは、労働者派遣法第26条で「派遣労働者を特定することを目的とする行為」は制限されているためである。
要するに、依頼する技術を持った人を派遣すれば契約は成立することになる。人を派遣してもらうのではなく、即戦力の技術労働力を提供してもらう契約である。
極端に言えば、派遣社員を依頼した会社は、派遣されてきた社員の技術経歴を除く経歴書の内容すら知らされないし、派遣社員は仕事以外について答える必要もないのである。
そして、派遣期間が1年を超える時には、依頼する会社が派遣社員を正規雇用しなさいという規定も定められていた。
上記の技術を持つ労働者は、自分の都合により期限付きの労働を提供し対価を得る事が出来る法律であり、お互いが納得すれば正規雇用の選択も規定されている。
間違いなく、労働者の保護のための法律であった。
1999年、この法律が改正され、「港湾運送」「製造業」「建築」「医療」「警備」を除き、原則自由化された。この改正を境に、雨後の筍のように派遣会社が増え始めてきた。
当時は、まだ派遣を受け入れる会社側も40〜60万円程度の額を派遣会社に支払っていた。しかし、実際に派遣社員に支払われる金額は、その半分以下であり、派遣会社は大もうけをしていたのである。
私のいた会社も派遣社員を雇用していた。
口外しない約束で、彼らにそれとなく派遣の実態を聞いたことが有る。技術者としての派遣社員であったが、彼らは、大学の工学部を卒業したが就職先がないため、派遣会社に登録したそうである。
しかし、彼らには実務経験がないため、最初の1年ほどは派遣先が実習であった。給料もかなり少なかったようである。
当時、彼ら派遣社員を雇うために派遣会社に支払っている額は、約60万円で、彼らが派遣会社から貰っている給料が20万円程度であることを聞き出した。
その会社では、社会保険もなく、雇用保険だけだそうである。酷いときは労災保険もない場合もある。
このような派遣の実態が判り、儲け話の実態が判ってくると、派遣社員を受け入れていた会社自体が、派遣会社を作り始めたのである。二重派遣の始まりである。
自社に来る派遣社員を、自社の派遣会社をくぐらせて、一部をピンはねするのだ。
また、同業者が増えてくると派遣会社も同業者同士のもたれあい経営を始めた。つまり、利益は低くても、各社が仕事にあぶれないように、お互いを絡ませた二重派遣を始めたのである。すなわち、そこでは三重構造の派遣形態となってしまうのである。
このような構造では、60万円で派遣契約しても、派遣社員に20万円渡れば良いほうなのである。勿論、派遣される派遣社員には、直近の派遣会社を名乗るよう指導する。
派遣社員の保護やプライバシーを守る法律が、実際は三重派遣の実態を隠すシステムとなってしまっているのである。
今でもそうであるが、この頃からハローワークの求人ネットワークシステムにおいて、求職者を募集している会社の数割が、人材派遣会社なのである。
世の中リストラブームであり、派遣利用で募集をしない会社も増えてきたので、求職者は老若男女が大量にいるのである。とにかく人を集めさえすれば、人材派遣会社は金になる時代となった。
2004年には、さらに派遣法が改悪され「製造業」への派遣が解禁された。この改悪により、労働者保護の法律が完全に、企業保護の法律になってしまった。
今までは、派遣の受け入れ期限が、おおむね1年と設定されて、さらには正規雇用への道も規定されていたが、その期限は3年に延長され、やり方次第では無期限に派遣社員として雇用できるという、受け入れ企業にとって有利な法の改定がなされてしまった。
「製造業」、即ち工場内作業のように、誰でも出来る仕事となれば、完全な買い手市場である。少しでも気に入らなければ、即クビだ。企業のわがままし放題のシステムとなってしまった。
究極の企業保護のための労働力確保システムであり、労働者にとっては究極の不安定雇用が、日雇い派遣である。
派遣会社に登録し、1日単位で派遣会社と雇用契約を結び、仕事があるときだけメールで連絡を受けるシステムである。明日の仕事があるかどうかも分からず、毎回、働く場所も仕事内容も異なるケースが殆どだ。
仕事の内容といえば、おおむね肉体労働である。昔のニコヨンと同じである。1日限りの使い捨ての労働者。このように豊かな日本人に生まれてはいるが、その扱いは夢も希望もない奴隷そのものである。
まさに、政府による企業のための雇用制度といえる。企業が抱える問題の、賃金、首切り、労働問題等々をすべてクリアしてくれる、夢のような制度だ。
派遣ユニオンの推計では、日雇い派遣労働者が100万人を超えたそうである。
そこには、スキルアップとかを考える余裕もなく、当然、そこから正社員への道はないに等しいと言っても間違いではない。
彼らの夢は、どんな企業でも構わないが、正社員となり年収300万円になることだそうである。正に、新しい階級層や意識が生まれてしまったのだ。
厚生労働省の「日雇派遣指針」では、「日々または30日以内の期間を定めて雇用されるもの」を日雇い派遣労働者としている。
このような日雇い派遣、ネット難民の実態が明るみに出たため、政府も日雇い派遣禁止を口にし始めた。日雇い派遣を禁止する方法として、雇用契約期間を規制する案が出ている。
しかし、「30日以内の雇用契約禁止」など、契約期間を規制しても、現在の売り手市場では、契約期間の途中で「もうこなくていい」などと、契約を打ち切られることが容易に想像できるのが実情である。
1999年以前に戻すことは無理であっても、「非正規雇用労働者保護のための法律」という原点に戻らなければ問題の解決にはならない。この解決無くして日本の未来は、益々夢のない荒んだ暗いものになってしまうのではないか。
あのように抑圧された社会でも、市民が恐れず立ち上がる中国を見て、日雇い派遣労働者は何を感じているのであろうか。黙っていたら、騙され損をする社会なのだ。
(私のコメント)
最近の日本では労働争議がほとんど起きない。労働組合は御用組合化してストをほとんどしないし、中国や韓国で見られるような何ヶ月にも及ぶストライキは見かけない。それだけ労働組合運動が骨抜きになって、組合が無い企業も多くなった。さらに派遣社員などの非正規雇用には組合が無い。
このようなシステムは終身雇用、年功序列がしっかりしていた頃はそれなりの意味があったのでしょうが、いつ首が切られるような不安定な職場環境なら、ストライキを行なって待遇改善を要求するようになってもおかしくは無い。しかし派遣社員は組織化されていないし、ピンはねが酷いことも知らない派遣社員が多いようだ。
本来ならデモやストライキ闘争で待遇改善を勝ち取るのが筋なのでしょうが、連合など戦わない労働組合化して労働貴族になってしまった。その結果、大企業よりの法改正が行なわれて派遣労働の規制緩和が行なわれて若年労働者の雇用環境が非常に悪化してしまった。
つまり派遣労働などの低賃金労働者は社会的に孤立してしまって見捨てられたような存在になってしまった。彼らは政治活動にも無関心だし横のつながりも無く孤立している。フリーターと言うと学生アルバイトの延長のような感じですが、非正規雇用労働者のことであり、30代になってもフリーターのままなのだ。
秋葉原の無差別殺傷事件もこのようなフリーターの犯罪であり、「株式日記」でもこのような犯罪は社会状況を改善しなければ無くならないだろうと書いた。そして昨日また無差別殺傷事件が起きたわけですが、このようなテロ行為が社会的反響が大きいと分かると模倣犯が続出するようになる。
町村官房長官はタガーナイフを規制するようにしましたが、包丁などに持ち替えれば何の意味もない。つまり凶器などを規制しても意味がないのだ。しかし派遣労働法の規制緩和を行った事が、事件に関係があることなど自民党は認めようとせず、日雇い派遣の規制だけに止めるようだ。
◆「ナイフ抹消するわけにいかない」 八王子通り魔事件で町村長官 7月23日 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080723/crm0807231201020-n1.htm
町村信孝官房長官は23日午前の記者会見で、東京都八王子市で起きた無差別殺傷事件について、「(凶器は)どこの家庭にでもあるような包丁で、これを規制するのはちょっと考えられない。世の中からナイフのたぐいを一切抹消するわけにはいかない」と述べ、無差別殺傷事件対策としての刃物規制には限界があるとの考えを示した。
その上で「(人の命の大切さの教育など)地道なことをしっかりやっていかないとなかなか問題への答えは出てこない」と強調した。
また「フリーターの人が事件を起こすと、やっぱりフリーターが悪いんだと、わかりやすいから理屈を付ける。世の中からフリーターがいなくなれば一切こういう事件が起きないかといえば、そういうわけにはいかない」とも述べた。
(私のコメント)
通り魔事件は昔からあるわけですが、最近になって多くなったのは雇用情勢が悪くなったからだろう。無差別殺傷事件はテロ行為でもあり、犯人の人生はそれで終わりだ。いわば自爆テロと変わらないのであり、捕まるのを覚悟でやられたら事件は防ぎようが無い。政府が出来る事はこのような犯人が出にくい環境にする事しかない。
派遣労働といった低賃金労働者が無くならないのは、経済状況が好転しないからですが、小泉内閣は景気対策よりも構造改革を優先した。構造改革というのは規制の緩和であり、竹中平蔵氏によれば規制の緩和で景気が良くなると言う論理だ。しかし大企業の景気は良くなったが労働者の賃金は下がる一方だった。
派遣労働については秋葉原の事件の時にも書きましたが、自民党は自分の失政を認めたくないがために、無差別殺傷テロと派遣労働の関係を認めたくないようだ。しかしそれでは無差別殺傷テロはいつまでも無くならない事になる。非正規労働者はデモやストライキをするよりも一人一殺的なテロで社会に訴えようとするだろう。それが一番効果的だからだ。
「株式日記」はこのようなテロは認めるわけにはいかないが、政府に対する抗議の意味で一番効果的であることは認めなければならない。戦前の右翼も一人一殺のテロを行なって政党政治は死んでしまった。失われるものが何も無くなってしまうまで弱者を追い詰めれば弱者の中には無差別殺傷テロを行なうものが出てくる。
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