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「リアリズムなき正論」は存在しない
国民主権というが国民が主権者としての地位を行使できるのは、選挙のときに限られる。選挙結果によって政権の枠組みが決定される。ひとたび政権の枠組みが決定されると、次の選挙まで大きな変更を施すことは困難になる。選挙の際にうっかり誤った意思を表示すると取り返しのつかないことになる。衆議院の任期は4年だから、最長4年間、国民は耐えなければならない。
衆議院と参議院があるが政権の枠組みを決定するは衆議院であり、衆議院選挙が何より重要だ。昨年7月の参議院選挙で野党が参議院の過半数を制圧したが、衆議院の多数を自民、公明が占有しているため、参議院の意思が重く取り扱われていない。
2005年9月、郵政民営化選挙で国民の多数が自民党に投票してしまった。与党は衆議院で3分の2以上の議席を確保した。昨年7月の参議院選挙で野党が参議院の過半数を制圧したが、与党は衆議院の3分の2以上の議席を活用し、権力を濫用している。
民主党の代表選挙について、与党議員とテレビの御用キャスター、御用コメンテーターが声をそろえて「民主党は政権担当能力を示すために開かれた代表選挙を実施すべきだ」と発言する。正しい政治行動とは何かなどの高尚な美辞麗句を並べる。
しかし、彼らが懸命に擁護する与党が正しい政治行動を示しているとは到底考えられない。参議院の問責決議を無視し、参議院の決定を衆議院の多数で踏みにじることを繰り返す。選挙公約を破っても、「選挙なので言葉を縮めた」と開き直る。彼らはこうした与党の行動を糾弾しない。日本の言論空間、マスメディアの堕落には目を覆うばかりである。
自民党は次期総選挙での政権交代、権力喪失を回避するためには、手段を選ばない方針を定めているようだ。自民党がいま強く警戒しているのは、小沢民主党代表が無投票再選されて求心力を維持することだ。
自民党は、昨年来、執拗に小沢代表を失脚させるための謀略をしかけてきた。昨年7月の参議院選挙に際しても、マスメディアを動員した小沢代表に対するネガティブ・キャンペーンは激しかった。その後も「サンデープロジェクト」、「TVタックル」などを中心とする各種情報番組を通じる小沢代表攻撃、民主党分断工作は執拗に繰り返されている。
7月21日付日経新聞2面記事「民主党研究」の見出しは
「「正論」の後輩に踏み絵」だ。
テーマは9月21日の民主党代表選。渡部恒三民主党最高顧問が、岡田克也、野田佳彦、松本剛明、前原誠司、仙谷由人、枝野幸男、玄葉光一郎の7名を「民主党7奉行」と呼び、小沢氏以外の代表選出馬が必要と主張することを紹介する。「七奉行は2003年の自由党との合併前から民主党に属し、国会論戦と政策の一貫性を重視する人が多い」としたうえで、「七奉行らの「正論」に対し、小沢氏には「政局主義」「現実主義」の色彩が濃いと記述する。「ある幹部は「小沢体制にはなりふり構わないすご味がある」と話す」とつづり、「小沢氏三選の流れが強まり、党内には「小沢流の政権奪取戦術」に乗る空気が強い。ただし、七奉行が唯々諾々と従う雰囲気でもない。世代間の温度差はしこりなのか、前に進むエネルギーになるのか。党内外が見つめている。」と結ぶ。
文章中に、「小沢氏は自民党時代からの経験に裏打ちされたリアリズムという踏み絵を、正論を唱える後輩に突きつけているように見える」との表現があるが、総選挙での勝利と政権交代を重視する姿勢のどこが「正論」と対峙するのか。
出来の良くない記事の揚げ足をとっても意味はないが、この記事が新聞社の「方針」に基づいて執筆されていると考えられる点を見落とせない。
主権者である国民にとっては総選挙の結果が何よりも重大だ。国会でいかなる論議が行われようと、「プロセス」ではなく「結果」が国民に降りかかる。
根本から政治を変革するには選挙で結果を得なければならない。総選挙で過半数を確保し、政権を樹立して初めて政策を実現できる。総選挙での勝利を伴わない論議は「絵に描いた餅」である。
記事は、「小沢氏は「今度政権を取れなかったら未来永劫(えいごう)とれない可能性がある。次が最後なんだ」と執念をのぞかせた。これに対し、若手には「次の衆院選は本格政権の第一歩。過半数を取れなくてもその次もある」との楽観論も多い」と記述する。
しかし、次期総選挙で民主党が政権を奪取できない場合、民主党が分裂することは明白だ。自民党は参議院民主党に手を入れて、民主党から自民党への引き抜きを図る。衆参で過半数を確保すれば政権は安定化する。
民主党最高顧問の渡部氏が自民党と通じている疑いはもとより濃厚だ。前原氏や渡部氏が執拗に複数候補者による民主党代表選実施を主張しているのは、彼らが反小沢代表の意趣を持ち、自民党と通じているからと考えるのが順当である。
予備知識のない一般読者は、見出しの「「正論」の後輩に踏み絵」の言葉によって印象操作される。「正論」にはプラスの語感、「踏み絵」にはマイナスの語感がある。さらに、マイナスの語感を持つ「踏み絵」を「後輩に」と表現することにより、「絶対権力者」が弱き立場の「後輩」に「強制」ないし「脅迫」するとのイメージが生まれる。
日経のこの記事は氷山の一角で、このようなマスメディアの手法によって、一般読者のイメージが形成される。「イメージ操作」はこうした手法を用いる。
民主党国会議員が真剣に民主党支持有権者の要請を考えるなら、取るべき行動は明らかだ。次期総選挙での勝利にすべてのエネルギーを集中させることだ。代表選を次期総選挙に活用できるなら、その効果を最大に引き出す代表選を演出すべきだ。
しかし、既存権力に支配されているマスメディアが尽力する可能性はない。代表選を利用して徹底的に小沢代表のイメージ悪化が仕組まれることは想像に難くない。与党とメディアはそのために代表選を実施させようとしている。
民主党は一致団結しなければならない。同時に野党共闘を固める必要がある。民主党と国民新党との連携強化は重要な一歩である。亀井静香議員の選挙区に民主党が候補擁立を見送ったことも良い決定だ。
共産党が擁立候補者を削減し、民主党候補者の得票が増すことは、次期総選挙の鍵を握る可能性が高い。民主党は共産党とも十分協議する必要がある。長期政権の弊害を除去することの重要性で認識が一致すれば、協力体制を構築することも不可能ではない。
7月21日放送の「TVタックル」で共産党が取り上げられた。民主党議員の渡辺周氏は共産党の小池晃氏の発言をさえぎって共産党批判を展開したが、民主党は党所属議員のテレビ出演に戦略的に対応すべきである。議員の多くはテレビでの露出を希望していると考えられるが、総選挙を目前に控え、党の戦術的な対応が求められる。テレビメディアは、政治権力に支配されており、政治権力の意向に沿って出演者を決定している。
「サンデープロジェクト」、「TVタックル」は民主党の党内分裂誘導と、民主党に対するイメージ悪化を狙って演出を施していると考えられる。議員のテレビ出演に関して、党としての戦略的ルールを定めるべきだ。
同日の「TVタックル」では、「舛添厚労相はよくやっている」、「渡辺行革相は官僚機構の抵抗に対抗して闘っている」との政治的プロパガンダを視聴者に刷り込む演出が施されていたが、野党出演者は鋭利に問題点を指摘する必要がある。
政府の国家公務員制度改革が「まやかしもの」であることは「天下り容認」に象徴されているが、御用コメンテーター代表格の三宅久之氏は「いやー、いきなりすべてやれと言っても無理だ。やれる範囲でよくやっている」と政府を擁護した。
民主党出演者は「天下り根絶」の公約に偽りがないかどうかを厳しく問われたが、毅然と、より明確に対応すべきだった。
マスメディアを動員しての情報操作を含め、総選挙を目前に控えて総力を結集しているのは与党だ。既得権益、利権、政治権力を維持しようとの執念はすさまじい。
8月にも創設が見込まれる「偽装CHANGE」勢力を、自民党がメディアを総動員して宣伝することも予想される。「偽装CHANGE」勢力の正体を暴き、「真正CHANGE」勢力との相違を国民に示さなければならない。
政権交代は手の届くところにまで近付いたが、自民党の権力維持への執念を甘く見てはならない。
「ホップ・ステップ・肉離れ」を引き起こさぬよう、
「九仞(きゅうじん)の功を一簣(いっき)に虧く(かく)」
ことのないよう、戦術の再構築と意識の引き締めが強く求められる。
2008年7月22日 (火) 政治
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