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http://mainichi.jp/select/opinion/kaneko/news/20080710dde012070094000c.html
早い話が:草原に黄金がなり騒ぐ=金子秀敏
モンゴルの首都ウランバートルで1日、暴動が起きた。なぜこれほどの騒ぎになったのか。カギは「ミネラル・ラッシュ」である。
健康食品ブームではない。ミネラルとは、黄金や銅、それに石炭、ウラン……国土の地下に眠る鉱物資源のことである。19世紀に米国で起きたゴールドラッシュをもじった言い方だ。
中国との国境に近いゴビ砂漠のオユートルゴイには金、銅の大鉱脈がある。これだけで国内総生産(GDP)が34%増えるそうだ。その北西にあるタバントルゴイには石炭。韓国の歴代大統領が高い関心を表明している。ロシア国境に近いヘンティー県のウラン鉱には日米も注目しているという。
暴動の引き金は、総選挙の結果だった。野党の民主党は選挙公約として「鉱物資源法改正案」を掲げていた。鉱物の開発を民営企業で行い、その株式の51%を全国民に配るという案だ。国民1人当たり日本円で約10万円のばらまきになる。背後には、「オリガルヒ」(新興の富豪)がいて、開発利権を狙っていると、与党系のメディアは報じている。しかし、選挙前の世論調査結果では野党が優勢だった。
与党・人民革命党は、プーチン・ロシア首相の資源ナショナリズムをまねて資源の国有化政策をとる。だが、民主党のばらまきに対抗して、将来鉱山から上がる利益を国民に分配するという公約を発表した。国民1人当たり約15万円になる。投票の3日前だった。形勢は逆転し与党が勝った。
「開票に不正があった」と野党支持者が人民革命党の本部にデモをした。だれかが大量の酒と石ころを用意していた。現金がまかれたといううわさもある。なぜかそこへ郊外でホームレス生活をしている無業青年が集まり、酒を飲んだ勢いで投石し党本部を襲った。
与党は、「野党が金で買った暴動だ」と非難した。野党は「与党こそデモにならずものを紛れ込ませた」と非難した。いずれにせよ、暴動に参加したのはミネラルラッシュとは無関係の貧困層である。
地下にはお宝が眠っているのに、地上では豪邸に暮らすひとにぎりの富豪だけが財産を増やし、国民の3分の1は月収1万円以下の貧困にあえいでいる。民主化以後、なんでこうなってしまったのかは、モリス・ロッサビの「現代モンゴル・迷走するグローバリゼーション」(訳・小林志歩、明石書店)に詳しい。(専門編集委員)
毎日新聞 2008年7月10日 東京夕刊
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