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2008年07月10日
政策論争の前提は事実を共有することである
少し前のどこかの新聞が、中国の国営テレビが、北京五輪の映像をリアルタイムから30秒遅れて放送することになる、という記事を流していた。都合の悪い事が起きれば映像をカットしたりするためだ。
そういえば3月のアテネでの聖火採取の行事において、「国境なき記者団」が抗議のため乱入した時、その画面が差し替えられて放映されたという前例を、我々は知っている。
こんな事をやっているから、中国は国際社会から非難されるのだ、そう思ってその記事を読んだ。
ところが今日(10日)の東京新聞は、それを止めると中国当局が発表した事を報じている。
すなわち、9日付の中国各紙は、CCTVスポーツチャネルの江和平総督が、「これまでの生中継は安全上の理由で30秒遅らせていた」と明かす一方、「慣例を打破し五輪は真の生放送となる」と説明した、と報じたという。
あの中国でさえ、慣例を打破せざるを得なくなったという事だ。
この発表に対する北京市民の反応がいい。「生中継に時間差があったとは」と、驚いている。
共産党中国政府が感じている脅威は、国際世論の目だけではない。
情報公開によって目覚め始めた自国民の反応こそ最大の脅威なのだ。
中国は、もはやかつての情報管制がむつかしくなりつつある。そしてそれは中国のためにもいいことに違いない。
ひるがえって「民主国家」日本はどうか。「民主国家」米国はどうか。
米国の事はともかくとして、日本は本当に情報公開の国か。公然と情報操作が行なわれているとしたら、我々はどう考えればいいか。
今日発売の週刊文春7月17日号は、ジャーナリスト富坂聡の書き下ろし、「マスコミは『外務省』にだまされている」という特集記事を載せている。
ヒル次官補のオフレコのメモによれば、日本と米国とはとっくに拉致問題で決定的な亀裂がうまれている。
それにもにもかかわらず外務省は、米国は日本の立場をよく理解しているとマスコミに言い続けている。日米協力こそ重要だと繰り返している。マスコミがそれをそのまま報じている、というのだ。
更に言えば、東シナ海油田の共同開発についても、主権をめぐる中国の立場は全く変わっていないのに、外務省が双方の妥協で円満解決したとマスコミをだまし続けている、と富坂氏は中国高官の言葉を引用して明らかにしている。
もちろん、週刊誌の記事など信用できるものではない。
しかし、重要な事は事実がどこにあるかだ。
事実を共有してこそ意味ある政策論争ができる。
この週末には、各局の政治番組はサミットの評価で花盛りであろう。
しかしそんな番組が殆ど意味がない。
正しい、共通の情報に立脚した議論でなければ意味がないからだ。
あらゆる政策論争の問題はここにある。
政府と国民との間には圧倒的な情報格差がある。
与党と野党との間には圧倒的な情報格差がある。
その情報格差を埋めるべく、政府から少しでも真実を見つけ出し、国民に報道するのがマスコミの役割である。
そのマスコミが、富坂氏の言うように、政府、外務省にだまされているのなら、国民に正しい意見を持てと要求しても無理な話だ。
ましてやマスコミが政府と馴れ合っているのであれば、はじめから話にならない。
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