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http://mainichi.jp/select/world/news/20080709ddm007030140000c.html
STOPクラスター:第12部 「米新方針」の衝撃/上 米、孤立に危機感
◇「進歩」か「後退」か 関係者、評価分かれ
不発弾が市民を殺傷しているクラスター爆弾について、米国が不発弾を減らす「新方針」を7日までに打ち出した。この方針は米国が前向きに姿勢転換したことを示すのか、それとも従来の方針の延長なのか。関係者の中で評価が分かれる。新方針の背景を探った。
◇ ◇
「米国が進めている不発弾対策は、良いものになるはずだ」。米空軍に最新型とされるクラスター爆弾を納める兵器製造企業幹部はそう言って米国防総省の示す新方針に期待を寄せる。「不発弾を減らしたいという思いは、われわれも米軍も同じ」。幹部は国防総省の立場を代弁するかのように繰り返した。
今年5月末、米露中を除くノルウェーなど有志国や非政府組織が主導する軍縮交渉「オスロ・プロセス」は、クラスター爆弾を事実上即時全面禁止する条約案を採択した。
しかし米国は軍事的な有効性のほか、米国と同盟国との共同作戦への支障を強調。日英などを巻き込もうとしたが、結局、日英は禁止条約案に賛成し、西側諸国で孤立した。
その直後、米国防総省は「新方針」をまとめた。AP通信は7日、「高まる国際的な圧力に直面し、国防総省が新方針を打ち出した」と伝えた。米軍備管理協会(民間団体)の雑誌「アームズ・コントロール・トゥデー」の編集者、ジェフ・エイブラムソン氏も、「禁止条約作りを目指す世界的流れが、米国を動かし始めた」と話す。
国防総省は、世界的に高まる潮流に屈して新方針をまとめたのだろうか。米軍のクラスター爆弾は多くが不発弾となり、湾岸戦争(91年)では80人の米兵が死傷。国防総省は03年のイラク戦争を境に、技術改良を本格化させた。さらに今年1月から、不発率の高い「旧型」の使用制限の検討も始めた。
こうした経緯がある以上、新方針が禁止条約案を受け急ごしらえで作られたとは言い難い。だが、条約案の採択から間もないタイミングで新方針を明らかにする米国の足元には、孤立を深める大国の危機感が漂う。
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AP通信によると、国防総省は新方針の中で「18年以後は、クラスター爆弾は、搭載する子爆弾の爆発率が99%以上でなければならない」と定めたという。仮にこれが18年以降「使用」する同爆弾の規定であれば、かつてない画期的な米国の自主規制となる。だが、18年以降に「製造」する爆弾の基準を定めたものであれば、既にある規定の「焼き直し」に過ぎない。
米民主党リベラル派の重鎮、レイヒー上院議員は7日、AP通信に対し、米国防総省の新方針を「後退だ」と批判した。同省は01年1月、「05年以降に製造するクラスター爆弾の不発率は1%以下とする」との規定を定めている。レイヒー氏は、今回の新方針はこの規定の焼き直しに過ぎず、むしろ期限を13年も延ばし18年としており「正当化できない」と批判を強めている。
新方針の狙いは「進歩」か「後退」か。実態は間もなく明らかになる。【ワシントン大治朋子】
毎日新聞 2008年7月9日 東京朝刊
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