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2008年07月07日
ヘレン・ミアーズの「アメリカの鏡・日本」という著書を読んで
ヘレン・ミアーズの「アメリカの鏡・日本」という著書がある。米国占領軍総司令部のメンバーとして46年に来日した米国の日本研究者が、48年に出版した米国の対日占領政策論である。
その抄訳版が05年に角川書店(角川ONEテーマ21)から出版された。それを私はたまたま本屋で見つけ、購入し、一晩かけて通読した。
また一つ日米関係の真実について、新発見をした思いだ。
私がこの本に興味を持ったのは、その序文や訳者あとがきの中で書かれている、次のような文章が目に留まったからだ。
(極東国際軍事裁判の判決が下された48年にこの著書が米国で発売されて)ミアーズは全米の注目の的となったが、彼女の主張はアメリカ人にとって不愉快なものであり、アメリカ人は次第に彼女を無視するようになった。それゆえ、この本と共に彼女は世に出ることなくいつしか忘れ去られていった。
ミヤーズから原著の寄贈を受けた日本の翻訳家、原百代は、それを日本で翻訳出版すべく連合軍総司令部に許可を求めたが、「占領が終わらなければ、日本人は、この本を読むことはできない」とするマッカーサーの一言で、かなわなかった。
占領が終了した翌年の53年に、原氏の翻訳は「アメリカの反省」と題してやっと出版されたが、当時はなぜかあまり注目されず、その後はその存在すら忘れられていた。
ミアーズの著書を偶然に知ったビジネスマンの白子英城が、アメリカ人によって書かれたその内容に驚愕し、この本は少しでも多くの日本人によって読まれるべき本だ、との思いで1995年にあらたに翻訳、出版した。
翻訳した伊藤延司は、「恥ずかしい告白を許していただくなら、(読みながら)途中何度も泣いた・・・太平洋、沖縄における日本兵と民間人の死、大空襲と原爆による一般市民の惨めさと、同じ惨めさをアジアの人々に強要した近代日本の運命が無性に悲しかった・・・」と訳者あとがきで書いている。
さて、前置きが長くなったが、結論から言えば、この本は、ブッシュ政権の米国と軍事同盟を強化しつつある今こそ、読まれるべき本である。
すなわち、サミットでブッシュ大統領が訪日している今、北朝鮮外交をめぐって米国の対日政策の本性が露呈した今、そして何よりも米国のイラク戦争のツケを日本が無条件に支払わされている今 こそ、この本はすべての日本人に読まれるべき本なのである。
ミアーズが繰り返しその著書で訴えているのは、
米国は戦争に勝つために日本を占領したのではない、占領そのものが目的であった
米国は日本が脅威だったから日本と戦ったのではない。日本の脅威をことさらに強調し、それを口実に日本国民と 日本文明の破壊のために日本を戦争に追い込んだ
という事である。
太平洋戦争をめぐるおびただしい専門書、研究書の中で、このミアーズの主張が日本でどのように評価されてきたか、私は知らない。
しかし、このミアーズの米国対日占領政策観は、米国のイラク攻撃とその後に続く軍事占領の7年間と見事に一致する。
私が、今こそこの著がすべての日本人によって読まれなければならないと思った理由はここにある。
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