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2008年07月06日
論説を叩き斬る
このブログは読者にはどうでもいい内容だ。しかし私にとっては看過できない解説記事であったから、どうしても書いておきたかった。読者には我慢しておつき合い願いたい。
7月6日の日経新聞「風見鶏」欄に、「外務省も内向き日本か」というタイトルで伊奈久喜という編集委員が書いていた。
要するに一言で言うとこういう記事である。
歴代の外務事務次官の名前を列挙して、最近の次官人事は、大使という「外交官としての働きどころ」の職を経験することのない人物が次官になりそして辞めて行く、そういう人事が増えて来た、と指摘し、企業だけでなく、外務省さえも、東京に人材を集中するようになった、という。
そして、これは相対的な国力低下がもたらす日本全体の余裕のなさ、国力の低下の反映ではないか、と解説する。
北朝鮮のテロ支援国家解除問題が、米国をより自分たちに引きつけようとする、日本と北朝鮮の外交戦だったとしたら、第一ラウンドは日本が敗れた。
米国の対北朝鮮腰砕け外交は、もちろんブッシュ政権内部から由来する問題であり、それを外務省の体制のせいにしては酷だろうが、外務省の外交軽視の最近の傾向と無関係か。
今日行われる日米首脳会談に注目したい。
と、まあ、こういった内容の解説記事なのである。
これは要するに、外務省の外交力の低下を批判したいのは山々だが、外務省には日ごろ情報提供などでお世話になっている幹部連中も多い。
だから彼らの反発を買うような、面と向かった批判をするわけには行かない。
そこで次官人事などを持ち出して、外交力が弱くなったのは皆が外交官よりも外務官僚を志向して内向きになったからだ、などと、無理をした解説を新聞紙上でして見せているのだ。
読者のほうではなく、幹部外務官僚に顔を向けて書いている解説記事なのだ。
事実はそんなものではない。もっと単純なのだ。
次官人事が狂った理由はただ一つ。2001年始めに発覚した機密費横領の松尾事件のためである。
あの事件で外務省の中枢がすべて汚染されていた事が明らかになった。次官経験者、現役次官、将来の次官候補者、すべてが汚染されていた。
予定調和の次官人事がすべて狂ってしまったのだ。
幹部が大使を経験せずに次官になったり辞めて行くということはありえない。それは本人にとっても、外務省にとっても好ましくない。
そんな伝統的な人事を狂わすほど、あのスキャンダルは外務省にとって深刻であったという事だ。そしてその後遺症は今も続いている。
それからもう一つ。大使よりも本省幹部のポストに人材が集まり勝ちである、という事は事実である。
しかし、それは本省に優秀な人材が必要だからではない。
民間企業の事は知らないが、外務省に限って言えば、出世をしたい連中が、大使よりも本省勤務を好むからだ。大使よりも本省幹部のほうが圧倒的に権限があるからだ。
本来は大使というポストは外交官にとってこの上ない魅力あるポストである。
現地の情勢に精通し、現地の要人と人脈を構築した大使からの情報や意見は、本来ならば尊重され、日本外交の最強の武器として活用されるべきである。
それを出世主義、保身主義の官僚たちがぶち壊してしまった。権力者を喜ばすような情報しか取り入れず、権力者に都合の悪い情報は握りつぶす。
東京に優秀な人材が必要なのではない。出世万能主義の連中ばかりが東京に集まっただけの話だ。
大使職を軽視し、権力者の顔色ばかりをうかがうようになったから外務省は外交でまけるのだ。伊奈解説委員は、この単純な事実を国民に知らせるべきだ。
新聞記事は、常に読者のほうに顔を向けて書かれなければならない。
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