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高齢者に広がる万引き
「孤独感」「困窮」背景に
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/feature/hokkaido1197700157516_02/news/20080121-OYT8T00292.htm?from=nwlb
道内で65歳以上の高齢者による万引きが増えている。万引きはこれまで、少年非行と結びつけられやすかったが、孤独感や寂しさなどから犯行に及ぶケースが少なくない。社会構造の変化で、身寄りもなく地域社会から疎遠となったお年寄りが増えていることが背景にある。
■少年を逆転
札幌市中央区の大通地下街にある雑貨店で昨年6月、市内の無職女性(72)が、乳児用の靴(2940円相当)を万引きしたとして、札幌中央署に現行犯逮捕された。調べに対し、女性は「自宅のぬいぐるみに靴を履かせてあげたかった」と供述。生活保護受給者で身寄りもなく、逮捕時に所持金はほとんどなかった。
万引きは「最初に手がける犯罪(初発型犯罪)」と言われ、その後、再犯を重ね、本格的な犯罪に手を染める恐れがあるとされる。道警のまとめでは、2006年1年間に検挙された刑法犯の約4分の1が万引き犯だった。高橋清孝・道警本部長は今月18日の全道署長会議で、万引きなどの初発型犯罪取り締まりの重要性を訴えた。
万引きの摘発が特に重要なのは、道内では、高齢者の万引き犯の割合が増加傾向にあるからだ。06年には万引き犯に占める高齢者の割合が少年の割合を統計史上初めて逆転。07年も、11月末時点で、高齢者(995人)が少年(760人)を大きく上回った。
■生活必需品が8割
道警は昨年、少年や高齢者らを対象に、道内の1600人の犯行の動機などを調査。少年はコミック本や化粧品など趣味性の高い商品の万引きが目立つのに対し、高齢者は食料品、日用品、衣料品などといった生活必需品が8割程度を占めていた。
検挙された高齢者の万引き犯のほぼ半数が、「趣味や楽しみはない」と回答。万引きをした理由として、「孤独感」「失うものがない」「生きがいがない」などの答えが目立った。
何があれば万引きを思いとどまったかという問いに対しては、「収入保障」の答えが最も多かったものの、「家族とのつながり」と「人との付き合い」を挙げた高齢者は全体の約4割。社会的に孤立していることが犯罪の動機になっている背景が浮かび上がった。
■「声かけ」で抑止
店内に掲示された万引き防止のポスター(札幌市内のスーパーで)=原中直樹撮影
道警の「犯罪脆弱(ぜいじゃく)者対策研究委員会」で委員長を務める宇都宮輝夫・北海道大教授は、高齢者の万引きが増えている原因について「社会的な孤立、経済的な困窮といった要因が重なっている可能性がある」と指摘。万引き犯には「店員の声かけ」が大きな抑止力になるとし、「『元気ですか』『体の調子はどうですか』など店員が積極的に高齢者に声をかけ、人間的なつながりを持つべきだ」と提案する。
札幌市内のスーパーマーケットなどでは、昨年から万引きを見つけた場合、すべて警察に届け出るという全国的にもあまり例のない対策を取っており、万引き犯への対策を強化している。
宇都宮教授は、「万引きが『大した犯罪ではない』という誤った意識を横行させないためにも重要」として、摘発と抑止の両面から対策を進めるべきだと指摘している。
◇「警察に全件届け出」宣言
札幌市内のスーパーなど約4000店が加盟する「北海道万引き防止ウイーブネットワーク」は昨年6月、「万引き全件届出宣言」を採択。万引きを発見した場合、話し合いなどで解決せず、警察に届け出ることにしている。万引きが犯罪だという社会通念を確立し、少しでも万引きを減らそうとする、全国でも珍しい取り組みだ。
札幌市豊平区の大型スーパー「ビッグハウスエクストラ店」では月に10人前後の万引き犯を見つけている。大坂光克(みつよし)店長は、「万引き犯をそのまま帰してしまうと、後で『実は自分はやっていない』と主張され、事実関係があいまいになる」と語る。客を犯人扱いしたとして店側のイメージが悪くなる場合もあり、「警察にすべて届け出て、事実関係をはっきりさせることは大切」とする。
一方、道警は、店側が届け出をしやすい環境作りを進めている。これまでは、万引きを届け出るために、被害店の責任者が交番などに出向くのが一般的だったが、こうした手法を改め、警察官が店側に出向いて事件処理に当たり、店側の負担軽減を図るようにした。
万引き犯の多くは、書類送検などを伴わない「微罪処分」になり、面倒な事務手続きも必要ないことから、道警では、店側に積極的に届け出るよう呼びかけている。
【万引き】 店員のすきを見て店先から商品を盗む行為で、客が商品を勝手に「間引く」ことが転じて万引きになったという説もある。刑法では窃盗罪に該当、法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金。万引きした後、追いかけてきた店員などに暴行すると、より罪の重い、強盗罪(事後強盗)に問われることもある。
(2008年1月21日 読売新聞)
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