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こんな爆破は見え見えのデモンストレーションじゃないか と冷めた目で見ている人が多いだろう。
たしかにその通り、使っていない施設を爆破しただけのショーに過ぎない。
けれども、そんなものをわざわざアメリカが演出することの意味するところは、トンでもなく大きい。特に日本という国にとって。
それを、どれだけの人が(政治家も含めて)自覚しているだろうか。
(時事通信ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008062700633
一言で言って、今回のショーは「アジアは、中国の下で生きて行きなさい」 というアメリカの意思表示だ。
アメリカ国内でも、そんな現実を受け入れられない連中が多い。まだ完全に核の放棄をしていないとか文句をつけられる。それにたいして、わざわざこんなショーを行ってまで、強引に北朝鮮との緊張を無くし、中国との共存を宣言している。
もちろん、放っておけば中国がどこまでも覇権を拡大するから、日本を漬け物石に使ったり、インドと拮抗させて押さえることはするだろうけれども、それは大きな流れを変えるものではない。
そして、アジアは中国の下で生きていけということの、もうひとつの意味は、中東はアメリカ(とイスラエル)が絶対に押さえる、ということでもある。
だから、今回のショーは、イランには侵略するぞという宣言でもあることは、見逃せない。
■■
繰り返すけれども、アメリカの主導権は確保しつつも、アメリカと中国で世界を分割支配しようという意志表示が、今回の爆破ショーの意味するところだということだ。
では、この流れの中で、日本はどうなるか。
ひとつは、中国の勢いを押さえるために、アジアの鬼っ子として半ば予定調和的に中国と対立させられる。
アジアからどんどん引き上げていく米軍の代わりをやらせれて、国力を消耗していく。
もうひとつは、手放す前に徹底的に吸い取られる。
アメリカは、60年以上かけて太らせてきた日本という家畜を、骨までしゃぶってから中国に引き渡すだろう。
まるまる肥えたままくれてやるワケがない。
これまでのような、アメリカに忠誠を誓っていれば、それなりに安泰が保証されるという時代は終わった。
無慈悲に骨肉をむしられながら、一方でアメリカの撤退の時間を稼ぐための中国への重しを担わなくてはならない。
これが、本日以降の「対米従属」という意味だ。
言うことを聞かないと捨てるぞ と脅されて使い捨てられていくのだ。
この夏から秋に始まるであろうイラク侵略にも、ボロボロになるまで金も血も流させられるだろう。
■■
そんなバカな、と言いたい人は言っておけばいい。それは自由だ。
ただ、ターニングポイントになったのは、やはり中国の衛星撃墜だということは見ておきたい。
もちろん、それは大きな流れの中の一点に過ぎないが、しかし決定的な事件であった。
つまり、中国はアメリカに勝つことはできなくても、負けないということが可能になった。
アメリカにしてみれば、勝てる保証が無くなったということだ。
考えてみれば、アフガンでもイラクでも、ぜんぜん決着をつけられない米軍の実力で、中国に勝てるわけがないということは、簡単にわかる。
負けはしないだろうが、勝てもしない。
中国は、13億人の内の数億人が死んでも、平気で戦争を続けるだろう。
しかし、アメリカの2億のうち、数千万人が戦死して戦争を続けられるか? 無理だ。
だから、アメリカが勝つためには空中戦で圧倒するしかない。
その空中戦の命である衛星を撃墜されれば、肉弾戦に突入せざるを得ない。
いくら最新鋭の平気で、何十倍の中国人を殺しまくったとしても、自分たちも無傷ではいられない。
この時点で、もうアメリカは保たない。
この現実が明らかになったのが、あの衛星撃墜であったのだと、私は思っている。
冷戦後の一極支配の負担に耐えられなくなっていたアメリカをして、最終的に大きな方針転換を決断させたのは、やはりこの事実であったと思う。
■■
そして、本日、アメリカは広い意味での中国との共存方針を鮮明にした。
北朝鮮は、ほとんどその歴史的な意味を失い、粛々と中国の属国になるか、あるいはアメリカの手駒として、日本と同じく撤退時の時間稼ぎに使われるかのどちらかだろう。
これは、まったく、えらいことになった。
どうやって生きていこうかなあ・・・
★
中朝戦争を唱えている人がいたけれど、今回の報道をどうとらえているのだろう。
現時点で、日本にとって中国はアメリカと同じくらい重要な国になりつつある。
今後はますますそうなるだろう。
その時日本の立ち位置をどうするかは非常に難しい。
少なくとも対米従属一辺倒できた自民とその周辺の軍事、外交、経済研究者、評論家は役に立たなくなるだろう(反中ウヨはどうするのか、人ごとながら心配になる)。
産業界のトップクラスはどうだろうか。
よほど間抜けな経営者でない限り、そのあたりの準備は万全と思いたい。
製造業や文化のポテンシャルは中国に十分対抗できると思う。
あとは政治的舵取りだけだ。
それがいちばん心配なところなのだが。
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