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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008062702000105.html
2008年6月27日 朝刊
テロ支援国家指定解除で質問に答える横田早紀江さん(左)と家族会の飯塚繁雄代表=26日、東京都渋谷区で
米国が二十六日、解除を決めたテロ支援国家指定は、北朝鮮への圧力による拉致問題の進展と解決を期待する被害者家族にとって最大のカードだった。“心の支え”だった米国の翻意で、家族らに危機感が広がった。
「多くの人があの国でものも言えず苦しんでいる。言葉だけで本質を見誤らないでほしかった」
同日夜、会見した拉致被害者横田めぐみさん=失跡当時(13)=の母親早紀江さん(72)の声に、やるせなさがにじんだ。「少し早すぎた。とても残念です」
約三十年の間、娘の不在に耐え奪還のため戦ってきた。「心を一つにして頑張ろう」。二〇〇六年四月、ホワイトハウスを訪れた早紀江さんにブッシュ大統領が問題解決への協力を約束。「大きな成果」と訪米を振り返り、国際世論の盛り上がりに期待した。
「テロ支援国家指定がなければ日本の経済制裁の効果は半減する。二つはセット」と飯塚繁雄家族会代表(70)。米国の圧力を背景に日本政府が強硬姿勢で臨み、成果を引きだすことが家族会の共通した願いになった。
しかし、先の日朝協議で政府は再調査などの約束だけで、経済制裁の一部解除方針を決める。追い打ちをかけるように決まった指定解除。「残されたカードがあるのか」。無力感は大きい。
飯塚代表は指定解除の手続き開始の一報を聞いて「ああ、やっぱりか」と思ったという。「米国は日本と協議して解除を決めると言ったが、そうではなかった。一生懸命やってきたことにむなしさを感じる」と語った。淡々とした表情だったが、何度も「むなしい」という言葉が漏れた。
「こんなに長い間、国民を助けることができない国家とは何ですか」。声を絞り出した早紀江さん。家族会は福田康夫首相との面会を要請する方針だが、政府から今後の交渉について、いまだ明確な説明はない。
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