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参考までに   ジニ係数で驚いた
http://www.asyura2.com/08/senkyo51/msg/454.html
投稿者 hou 日時 2008 年 6 月 27 日 08:10:43: HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: ANo.2 あなたは統計のマジックにだまされています。 投稿者 hou 日時 2008 年 6 月 27 日 07:58:34)


ジニ係数で驚いた
日米両国で所帯ごとの所得格差の大きさを表すジニ係数がこのところ発表になっている。この両国の統計を見る限り、とうとう日本のほうがアメリカよりも所得格差の大きな社会であるという結果になっている。日米の社会を比較してみた時に、どう見てもアメリカのほうが所得格差は激しい社会という思い込みがある。アメリカのCEOの年俸は一般労働者の465倍だという。野球選手の年俸を見たってヤンキースのA・ロッドは毎年300億円を10年にわたってもらう。こうした印象からアメリカの所得格差ははるかに日本より大きいと思っていた。


しかしこのデータを見る限り、日本の方が所得格差は大きいと言う結果が出ている。驚きを禁じえない。


(日本:読売新聞8月25日から引用)


 厚生労働省は24日、世帯ごとの所得格差の大きさを表す2005年のジニ係数が0.5263で、過去最大になったとする「05年所得再分配調査」の結果を発表した。


 同省は、一般的に所得が少ない高齢者世帯の増加が主な要因と見ているが、「非正規社員と正社員の所得格差などが影響している可能性も否定できない」としており、次の臨時国会などで格差問題を巡る議論が活発化しそうだ。


 同調査は、3年ごとに実施されている。ジニ係数は0〜1の間の数字で表され、格差が大きいほど1に近づく。


 今回の調査では、ジニ係数が前回を0.028ポイント上回り、初めて0.5を超えた。例えば、全体の25%の世帯が所得総額の75%を占めた場合などに、ジニ係数は0.5となる。


 公的年金など、若い世代から保険料を徴収し、高齢者に配分する社会保障の効果を加えると、ジニ係数は0.3873で、前回を0.0061ポイント上回って過去最高だった。ただ、前々回や前回とほぼ同水準であることから、厚労省では「社会保障の効果も加味すれば、格差に大きな変化はないとも言える」としている。


 一方、世帯の所得額は465万8000円で、前回調査の510万8000円から約45万円減少した。


(アメリカ:国勢調査局データ)


 国勢調査局の発表で2005年のジニ係数が0.470であった。2002年では0.462、さらに10年前では0.455であり、国勢調査局の見方として、格差が拡大しているとしつつも、統計的にあまり有意な差ではないとしている。所帯の実質所得の中央値は$48,201(約554万円)である。


いくつか気になる点がある。


この数値は相対的なばらつきを示しているにしか過ぎない。この数値が低いほうが良いとか、簡単には言えない。極端な言い方をすれば、第二次大戦後、日本の所帯はみな貧しく、同じく低い所得で暮らしていた。この場合は、ジニ係数は低くなる。しかし、全所帯の平均所得が1億円である時に、一部の金持ちが1兆円である場合、ジニ係数は高くなる。しかしながら、後者のほうを歓迎するのは間違いないだろう。


しかしながら、いずれの国においても、問題の絞込みとそれに対して何を行うかと言う具体的な方策が論じられていないと言うことである。均質化させるのが良いという前提ならば、手段から見ると、ほとんど明快である。歴史的に見れば大きくは2つの方策がある。1つは武力によるやり方である。2つ目は国家権力による税金による所得の調整、移転である。


武力によるやり方は古今東西、いくつもある。限られた富を力により収奪し、再配分する。一つの例として、1066年のノルマンデイー公ウイリアムのノルマンコンクエストである。大陸からイングランドに攻め入ったウイリアムは、征服王としてすべての土地を自分のものにする。そして自分に忠誠を誓う諸侯に対して領土を分け与える。封建時代の統治そのものである。近代においても先進国による植民地支配がこれであったわけで、武力による経済支配だ。もちろん、こうしたやり方を私たちの所得のばらつき是正のために使うことはありえないわけだ。


現実的にこうした調整をするのは税金と言うことになる。そこで、どのような税金を目指すのかと言う話になるのだが、そもそも具体的なターゲットが見えにくい。そうなると、具体的に何をどこまでやれば良いのかも不透明になる。所得実質の中央値を上げること所得格差の是正と両方を一緒に実現できれば良いだろうが、一緒にできない場合何を優先するのか。


例えばトップの野球選手の所得が高いと言って所得を得ることに国が介入することはできない。また、世の中が容認している自由な市場での技術と所得の価値判断に、同じように介入することはできない。ならば、高額所得者に対しては、税金をたくさん払ってもらうのだろうが、何がフェアかと言うことも定義しにくい。累進課税ではなく、フラットタックスが良いとすれば、所得税ではなく消費税にシフトすることになる。


とにかく、わからない事だらけだ。日本にせよアメリカにせよ、ジニ係数という統計値を発表するが、残念ながら“だから何だ?”という思いを与えることができても、なかなか先に進まない。もちろん、個別現象的には痛ましい話が日々、ニュースに踊っているので、何とかしたいし、しなければならないということに異論はないだろう。しかし、仮に消費税を上げていくと言うことになれば、それはまた話は違うと言う総論賛成、各論反対になる。


ますます、少子高齢化する日本だ。年金・医療費など社会的なコストが増えるのは目に見えている。それを払うについて、具体的な目標値や方策がはっきりしないままに時間は過ぎる。自衛するしかないのかもしれない。でも、それもままならぬ人もいるわけで、弱者を救うのは政治だと言う。その負担は誰か他の人のお金でやっておいてほしいとなるといかがなものか。


ジニ係数から見る限り、アメリカよりも日本のほうが所得格差が大きい。その所得格差の小さいアメリカでさえ、民主党のナンシー・ペロシが富裕層の所得税最高税率を60%とか80%にすると主張する。一方で、低所得者層の税金は払わなくても良いようにするという。しかも、財政の均衡を目指すことも目指している。さらにマイノリティの生活水準をマジョリテイのアメリカの生活水準まで上げることも目指している。


こうしたやり方の是非については、個別に賛成・反対もあろうが、日本よりも所得格差の小さく、日本よりも財政赤字が相対的に小さなアメリカ社会でこうした議論が出される。その意味ではもっと状況が悪い日本で活発な議論があってしかるべきではないだろうか。日本は結局、無作為のまま流れてしまうのが伝統なのであろうか。


ジニ係数の記事を読んで思った。

Technorati タグ: ジニ係数, 税
 

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