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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080622-00000002-jct-sci
インターネット上の選挙運動について、自民党が結論先送りを決めた。議員の間に、ネットへの根深い不信感があるためだ。そんなにネット選挙はダメなものなのか。
■「誹謗・中傷問題は大丈夫なのか」
「ネット選挙解禁について、誹謗・中傷問題は大丈夫なのか、という声が強く上がりました。その結果、解禁は保留ということになり、今後さらに検討するということです」
自民党の選挙制度調査会が2008年6月18日にまとめた報告書について、同党政調会の職員は、J-CASTニュースの取材に対し、こう説明した。
党内のワーキングチームでは06年5月30日、ホームページに限って解禁を認める最終報告をまとめた。調査会では、これをたたき台にネット選挙全般について解禁すべきか議論したが、結局、慎重派に押された形となった。
日本では、公職選挙法上、選挙期間中にネットを利用して選挙運動を行うことは認められていない。しかし、ネット上では、現実が先行してしまっているのが実情だ。07年4月の都知事選では、マスコミで「泡沫」扱いされていた候補者の政見放送がユーチューブにアップされ、騒ぎになった。
「もはや政府転覆しかない」
「今はただ、スクラップ&スクラップ」
独特の風貌とパフォーマンスで、そんな過激な演説を繰り返す様子の動画は、約40万回も再生された。ところが、公平性を欠くことが問題になり、都選管がユーチューブにこの動画を削除するよう要請する事態にまでなった。結果として、この候補者は、選挙でも約1万5000票を獲得している。
こうしたネットの影響力も、自民党では認めているようだ。「郵政選挙」と言われた05年9月の総選挙では、同党幹部とブロガーらとの懇談会を計3回開き、党の政策スタンスを説明していた。しかし、選挙制度調査会での議論のように、未だに選挙でネットを利用しようという流れに至っていない。
■米国では、ユーチューブなど動画投稿サイト利用増える
海外を見ると、アメリカでは、ネット選挙の流れが加速している。
米CNETニュースの08年6月16日付日本語訳記事によると、同年の大統領選挙で、政治目的にネットを利用する米国民は、4年前の前回選挙時の3割から、5割にまでに拡大している。予備選でも、民主党なら、オバマ氏がトゥイッター、クリントン氏がフェイスブックといったソーシャルメディアを活用していた。
中でも利用増が目立つのが、ユーチューブなどの動画投稿サイトだ。そこで演説映像などを見ると回答した人が、前回の13%から35%にまで急上昇しているのだ。記事では、「若い有権者では、より年齢の高い成人に比べ、政治に関するオンラインビデオを見る割合が高く、投稿、電子メール、テキストメッセージ、ソーシャルネットワーキングサイトを使って自分なりの政治的なコメントを残す傾向にある」としている。
日本では、ネット選挙はどこまで認めるべきなのか。
ITジャーナリストの佐々木俊尚さんは、こう述べる。
「政治家はよく、テレビ、新聞は言いたいことを伝えていない、真意がねじ曲げられている、などと文句を言います。しかし、ネットでは、自分の声をダイレクトに伝えられるわけですから、むしろ積極的にネット選挙を進めるべきだと思います。誹謗・中傷を嫌がる声があるようですが、ネットが普及した今は、双方向性に耐えられない政治家はいられない時代になっています」
有権者にとってのネット選挙の意義も指摘する。
「共産党の志位和夫委員長が派遣労働について追及した国会の様子の動画は、何万回も再生されました。若者も、ワーキングプアなどの政治問題にはすごく反応しています。政治離れどころか、政治に強い関心を持っているんですよ。しかし、これまで若者の心に政治が届いていなかったので、政治家はネットなどでもっと有権者を触発すべきなんです」
ただ、ネット上の考え方の偏りに対しては、対策も必要だとする。
「今のIT技術なら電子投票も可能ですが、ネット世論に脊髄反射して、その方向にどんどん行ってしまう危険性があります。衆愚化しがちであるので、政策などをじっくり考えるようになる仕組みを考えなければいけないでしょう」
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