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http://www.amakiblog.com/archives/2008/06/22/#000953
2008年06月22日
韓国のデモの激しさと斉州島の悲劇
韓国の大衆デモは、とうとう米国政府までも譲歩させてしまった。
22日の各紙は、牛肉問題で米国が追加交渉を受け入れ、そこで米国は30カ月以上の牛肉の韓国への輸入を全面的に禁じることに合意したと報じている。
韓国との自由貿易協定と引き換えに米国産牛肉の輸入制限撤廃を李明博政権に飲ませ、それをテコに日本への米国産牛肉輸入圧力をかけようとしたブッシュ政権にとっては誤算であったに違いない。
それはまた、いずれ米国産牛肉の輸入解禁を行わざるを得ないと思っている対米従属の日本の政治家や官僚たちに、大きな衝撃を与えたに違いない。
なぜブッシュ政権はそこまで譲歩したのか。
それは、反米的なノムヒョン大統領のあとに登場した親米の李明博政権の崩壊を、見過ごすわけには行かなかったからだ。
米国といえども、いや、米国だからこそ、他国の国民を敵に回す事は出来なかったのだ。
他国の指導者については、それが気にくわなければ、脅迫や暗殺や軍事攻撃で変える事が出来る米国だが、その国の大衆を敵に回せば、米国に勝ち目はない。
それはベトナム戦争からイラク戦争に至るまで、歴史が証明している。米国は民衆の反米感情の高まりに驚くほど弱い。それを一番恐れているのだ。
翻って日本はどうだ。国民が反米デモに立ち上がった事があったか。
唯一、最大の反米デモが安保闘争であった。
しかしそれでも日米安保条約改定を阻止する事はできなかった。
そして、その後は、憲法9条を否定するような日米軍事協力の進展にもかかわらず、国民的デモは起こらなかった。
この違いはどこから来るのであろうか。
そう思っていたら、22日の朝日新聞で、斉州島の悲劇についての記事を見つけた。
読者の皆さんは1948年4月3日に起きた韓国、斉州島の民衆蜂起を知っているか。
米ソ対立が深まりつつあった中で、斉州島では米軍政が進める南朝鮮の単独選挙に反対し、共産主義の影響を受けた南朝鮮労働党の党員らが蜂起した事件だ。
犠牲者の遺骨発掘に立ち会った人の言葉である。
「骸骨が頭から足までそろっている。骨のそばに女性のパンティーのゴムが残っている。中学生の制服のボタンもそのまま出てきた。涙がとまらない。悲しみの涙じゃない。怒りだ・・・」。
武器を持たない住民までが虐殺された。犠牲者は2万人とも3万人とも言われている。
この事件は、韓国の教科書では、これまでは「共産主義者による反乱」とされ、「わが軍と警察がすばやく対処し鎮圧した」と教えてきたという。
しかし、いま韓国では事件の評価をめぐり「揺り戻し」が起きているという。
韓国には権力の圧制に対する民衆の蜂起の歴史が、確かにあった。
10年ぶりに保守の李明博政権が誕生しても、民主化の流れをくむ「進歩」と、「反共保守」の葛藤はなお鋭く対立しているという。
それにしても、22日の朝日新聞社説の次のくだりは印象的だ。
「・・・ある夜、大統領は公邸の裏山に登った。街を埋め尽くすろうそくの火を見て、『国民を安心させられなかった自分を責めた』。謝罪会見でそう語った・・・」
このような光景を目にする事のないこの国の首相は、世界一しあわせな首相であると思う。
軽口を叩く首相が5年半もつとめていられる国である。
福田首相が辞めたくない気持ちもわかる。
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