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http://www.amakiblog.com/archives/2008/06/18/#000942
2008年06月18日
もう一つの拉致被害者ー自由に帰国できない日本人妻の不幸
日朝問題が突如動き出してから一週間近くたった。
その間に報じられた関係者の発言や断片的な報道によって、どうやらその背景が見えてきた。
すべては周到に練られたシナリオであった。
実務者協議はそのアリバイ作りでしかなかった。
そのシナリオとはおおむね次のようなものに違いない。
ブッシュ政権と金正日政権はこれまでの紆余曲折を経た秘密交渉で、核問題とテロ指定解除の取引をして手打ちした。
それを6カ国協議で具体化するために、ブッシュ政権は北朝鮮と日本に拉致問題の進展を強く迫った。
二国間で話し合って早く解決しろ。米国は中身には口をはさまない。日朝が合意できるのそれでいいからとにかく合意点を早く見つけろ、と。
米国の命令には北朝鮮も日本も逆らえない。
しかも金正日政権も福田政権も、いつまで立っても拉致問題でにらみ合っているわけには行かないそれぞれの事情がある。
今度こそ進展させなければならないという意味で、北朝鮮側と日本側は、もはや同じ目標を追及する協力者、利害一致者となった。
その目的とは、どうして日本国民を説得させられる解決策を見つけるか、である。
まず再調査をすることにして、経済制裁の一部を解除する。
そして、いずれ北朝鮮側が新たな拉致被害者の日本帰国を発表する。
その帰国者は横田めぐみさんたちではなくても仕方がない。死んでしまっているものは返せない。要するにどうやってそれを説得するかだ。
あらたな被害者の帰国と引き換えに国交正常化と経済協力を実現し最終決着を図る。
この決断を福田首相がするということだ。私が14日のブログで「拉致被害者とその家族がかわいそうでならない」と書いた理由がここにある。
福田首相にはその非情な決断ができる強みがある。
まず、これ以上落ちる事はないという支持率の低さだ。怖いものはない。
それに「パフォーマンスをしない常識的な福田」というイメージが定着している事も大きい。あの福田ならしかたがない、というあきらめだ。
それに福田首相には、ぎらついた野心がない。いつでも辞めてやる、しかし、代わりの首相の誰がこの問題を解決できるのか、と開き直れる強みがある。
いいだろう。そうであるならば、せめて北朝鮮との交渉をもう少し公正に進めてもらいたい。そしてもう一つの拉致問題についても解決を北朝鮮に迫ってもらいたい、こう主張している人がいる。元東京入管局長の坂中英徳氏である。
坂中氏は18日の読売新聞「論点」のなかで、次のように述べている。
「 『地上の楽園』という宣伝文句に乗せられた北朝鮮帰国運動で、日本から北朝鮮に向けて出国した約1800人の日本人妻の多くは・・・当時は20歳代から30歳代だったが現在は70歳代から80歳代になっている。中には、自殺した人もいる。若くして処刑された人もいる。心労で早死にした人もいる。餓死した人もいる・・・最後まで日本へ帰ることを切望していたが、それがかなわないとわかると、せめて遺体は祖国の方角へ向けて埋めてほしいと願ったのである。
北朝鮮には、今も100人以上の日本人妻が生活していると推定される。生存者は全員、「生きていさえすれば日本政府が必ず助けてくれる」と信じている・・・
今日の世界では、自国民、外国人を問わず、すべての人の出国の自由は普遍的な権利であるとされている。しかし、北朝鮮は出国の自由を認めていない、世界で数少ない国の一つだ。
国交の正常化と人の交流の正常化は不可分のものである。わが国が北朝鮮との国交正常化交渉を進めるに当たっては、まず在北朝鮮のすべての日本人の出国自由の保障が前提条件である・・・
北朝鮮が万景峰号による在日朝鮮人の自由往来を求めるのであれば、日本政府は万景峰号による日本人妻の自由往来(永久帰国)を認めるべきだ。
日本人妻全員の帰国が実現しない限り、万景峰号の全面的な入港再開を認めるべきではない・・・」
坂中氏のこの要求は、これまでの北朝鮮との話し合いをめぐる報道の中では一切触れられる事はなかった。
しかし、こうして改めて考えてみると、この問題は拉致問題と並んで大きな原則的問題だ。いわば第二の拉致問題である。
日本人妻の話を日本政府が持ち出さないようでは北朝鮮との交渉は偽物に違いない。
この事をメディアはもっと書いてよい。
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