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http://www.amakiblog.com/archives/2008/06/14/#000933
2008年06月14日
誰のための商業捕鯨か(水産庁の大いなる欺瞞)
私が外務省にいた時から、捕鯨問題は日本外交の大きな頭痛の種であった。
外交一元化を主張する外務省であるが、最近の日本外交は、外務省の一存で決められるものは殆どない。
それどころか、多くの重要な外交案件は、それぞれを主管する国内官庁が主導権を握っている。
捕鯨外交もその典型だ。
捕鯨にこだわって日本は国際的に悪者にされてきた。こればかりは外務省と言うより農水省が全面的に主導権を握って行われてきた稚拙外交の結果である。
おまけに調査捕鯨と偽って、その実、商業捕鯨まがいの事を外務省は追認させられてきた。
なにしろ国際法を遵守すべき立場にある外務省の条約局長が、外務省の幹部会で、わが国は国際条約違反をしている、と認めているほどである。
断っておくが、私は日本の捕鯨を目の敵にする欧米の反捕鯨団体に加担しているのではない。
また、動物愛護の観点から、日本の捕鯨だけが特別の批判を受ける筋合いはないと思っている。
しかし、捕鯨問題は、単なる経済問題にとどまらず、政治的、文化的、さらには宗教的要素まで絡んだやっかいな問題である。
議論で片付く問題ではない。
だからこそ、商業捕鯨にこだわるあまり失う日本の国際的イメージの大きさを考えた時、農水省主導の捕鯨外交は、決して外交的に得策ではないと考えるのだ。
それよりもなによりも、捕鯨にこだわる真の理由が、農水省の省益、天下り利権の温存から来ている事を私は知っている。
だからどうしても日本の捕鯨外交を支持する気にはなれない。
そして、14日付の朝日新聞の記事を読んで、私はその思いを決定的に強くした。
捕鯨問題の不毛な論争はこれで終わりである。
朝日の記事によれば、商業捕鯨の中核企業であるマルハニチロホールディングス、日本水産、極洋の水産大手三社が、たとえ商業捕鯨が解禁されても再参入しない方針を明らかにしたという。
その背景には、「世界で魚を販売する企業として、鯨にかかわって良い事は全くない」(日水・小池邦彦取締役)と、欧米環境団体の強い反対に逆らって捕鯨する事への危惧がある。
しかし、より重要な事は、
「昔食べた人は懐かしいだろうが、他の肉のほうがおいしい」(日水・佐藤泰久専務)
「若い人は鯨肉を食べない」(極洋・多田久樹専務)
「捕鯨船は数十億円の投資がかかり、収支が合わない」(マルハニチロ・河添誠吾常務)
などと、民間企業の企業論理がもはや商業捕鯨に関心がないのである。
それでも水産庁は捕鯨にこだわるのだ。
水産庁遠洋課の言い分がふるっている。
「それぞれの企業判断だ。我々は捕鯨の技術を維持していく事を重視しているし、事業も採算はあうと思っている」
語るに落ちるとはこの事だ。自分達のためだけの捕鯨であるという事がばれた瞬間である。
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