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沖縄県議選与党惨敗と後期高齢者医療制度(植草一秀の『知られざる真実』)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 6 月 09 日 10:49:07: twUjz/PjYItws
 

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2008年6月 9日 (月)
沖縄県議選与党惨敗と後期高齢者医療制度


 「自由自在」様、「中米のそば放浪」様、「自公政権打倒のために集まろう」様、「階
級格差社会をなくそう」様、ブログでのご紹介ありがとうございました。また、これまでのご紹介のなかに、私の単純なケアレスミスで、ブログ名の表記に一部誤りがありましたことをお詫び申し上げます。

 多くの心あるみなさまの真理を追求する姿勢から大きなエネルギーをいただいております。これからもよろしくお願いたします。

  
 6月8日、沖縄で県議会選挙が実施され、即日開票された。与党である自民、公明両党などが過半数を割り込み、県議会の与野党が逆転した。県議会の定数は48で、中立を含む野党が26議席を獲得し、与党の22議席を大きく上回った。

  

 後期高齢者医療制度の見直しや米軍普天間基地の移設問題などが争点に浮上し、与野党とも幹部が現地入りする、県議会選挙としては異例の与野党激突の総力戦が展開された。

  
 自民党の古賀誠選挙対策委員長は、「国政上非常に重要な地域だ。できる限り支援しなければならない」と述べ、自民党として全力を挙げて選挙応援する方針を示した。一方、民主党の鳩山由紀夫幹事長は記者会見で「国民の声を代弁する大きな選挙で国政の将来を占うことができる」と指摘していた。

  

 4月27日の山口2区衆院補欠選挙に引き続いて、与野党激突の総力戦で与党が敗北し、野党が勝利を収めた意味をしっかりと受け止める必要がある。また、直近の全国規模の国政選挙であった昨年7月29日の第21回参議院議員通常選挙でも、自民党は大敗して民主党が第1党に躍進し、野党が参議院の過半数を制することになった。

  

 福田政権は2005年9月の郵政民営化選挙で小泉政権が獲得した衆議院での与党多数を活用して、参議院での意思決定を日本国憲法第59条の3分の2条項を濫用して相次いで否定、無視しているが、有権者の意思を無視した暴挙と言わざるを得ない。

  

 民主、共産、社民、国民新党の野党4党は後期高齢者医療制度廃止法案を参議院に提出し、参議院はこの法律案を可決した。自民、公明の与党は衆議院でこの法案を否決する方針を示しているが、そのなかで今回の沖縄県議選が実施された。

  
 福田政権は沖縄県議選直前の6月4日に、後期高齢者医療制度で7割の高齢者の保険料負担が減少したとする調査結果を発表し、また、テレビ映像に沖縄の夏季軽装である「かりゆしウェア」を着用した閣僚の姿を繰り返し登場させて沖縄県議選に臨んだが、与党惨敗の結果に終わった。

  

 参議院が可決した後期高齢者医療制度廃止法案を衆議院が否決した場合、野党は参議院で福田首相に対する問責決議案を可決する見通しである。問責決議に法的な拘束力はないが、「国権の最高機関」(日本国憲法第41条)である国会の一翼を担う参議院が、「首相として失格である」との意思を決議によって示す意味は重大である。

  

 1998年10月には当時の額賀福志郎防衛庁長官に対する問責決議案が野党の賛成多数で戦後初めて可決された。額賀長官は当初、問責決議に法的拘束力がないことを理由に辞任を拒んだが、野党による審議拒否が長引き、約1ヵ月後に額賀長官は辞任した。

  
 福田首相に対する問責決議が可決された場合、福田首相は直ちに総辞職ないし解散総選挙の決定を下すべきである。それが憲政の常道である。

  

 後期高齢者医療制度は、小泉政権の「弱者切り捨て・弱肉強食礼賛・市場原理主義」政策の一環として制定された制度である。法律制定時にも野党は強く反対したが、与党が強行採決によって成立させた経緯がある。

  

 後期高齢者医療制度の問題点を改めて整理しておきたい。

  
 第1の問題は、新制度を生み出した原点に「敬老・高齢者尊重の精神」が欠落していることだ。新制度のねらいを端的に示しているのが、厚生労働省国民健康保険課課長補佐(本年1月当時)土佐和男氏の次の言葉だ。

  
 土佐氏は本年1月に石川県後期高齢者医療広域連合が主催した「後期高齢者医療フォーラム」で講演し、そのなかで「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自ら自分の感覚で感じ取っていただくことにした」と新制度のねらいを説明した。

 政府は新制度について、@複数の病気にかかり、治療が長期化する、A認知症が多い、Bいずれ避けることのできない死を迎える、という「後期高齢者の心身の特性」をあげたうえで、それに「ふさわしい医療」を実現することを目的としていると説明している。

 日本が急速に高齢化社会に移行してゆくなかで、最も大切なことは、高齢者がいかに生きがいをもって日々を充実させて暮らしてゆけるかである。戦後の復興、経済発展期を支えてきてくれた高齢の方に対する敬意と愛情が、制度構築の根幹に置かれなければならないはずだ。

  
 第2の問題点は、今後の医療費増大の流れのなかで、高齢者の負担だけが突出して高くなる構造が新制度に組み込まれていることだ。保険が保険として機能するためには、リスクが分散されていなければならない。罹患率の高い人々と、罹患率の低い人々が同じ制度に組み込まれていなければ保険は機能しない。

 ところが、「後期高齢者医療制度」は高齢者のみによる医療制度であり、当初から制度の存続が困難であることが明白なのだ。政府は制度を維持するための高齢者の負担を1割に定めたと説明するが、その1割負担の絶対金額が若い人々と比較しても突出して激増することは間違いない。

  
 厚生労働省は、2015年時点での高齢者の保険料増加率が非高齢者の保険料増加率の約2倍に達するとの試算結果まで発表している。高齢者は制度を維持するための拠出金以外に医療窓口での負担を負う。どうしても病気にかかりがちの高齢者の負担は生活を困難にするほどに激増するだろう。

  
 第3の問題は、政府が真実を語らず、その場しのぎの取り繕いで制度持続を押し通そうとしていることだ。制度に対する国民の否定的な意思は、各種世論調査だけでなく、直近の国政選挙や今回の沖縄県議選の結果に如実に表れている。さらに参議院は後期高齢者医療制度廃止法案を賛成多数で可決したのである。

  
 「新制度で7割の高齢者の負担が減少」などの、誤解を招きやすい現実とかい離した説明を流布して、間違った制度定着をごり押しすることを国民は許してならないと思う。

  
 高齢化社会に急速に移行するなかで、すべての国民が安心して、そして幸福を感じながら生きてゆける社会を構築するために、医療、年金、介護を中心とする社会保障制度を再構築することは不可欠である。国民負担のあり方も再検討しなければならない。

  
 しかし、このことは高齢者の尊厳を踏みにじり、高齢者いじめを制度的に確立してしまう「後期高齢者医療制度」の存続を肯定する理由にはならない。国民多数の怒りと不信の声を謙虚に受け止めて、政府は後期高齢者医療制度の廃止を決断するべきだ。

 

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