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2008年05月28日
アフリカ開発会議は意味があるのですか
今日から始まったアフリカ開発会議について、私のところへ、メディアや読者から問い合わせが寄せられる。どういう評価をすればいいのか、と。
それに対する私の答えは単純、明快だ。
アフリカ開発会議にはそれなりの意味はある。しかし大騒ぎをして報道するほどの重要な外交ではない。
外務省はここ何ヶ月もの間、メディアや御用学者を使って、このアフリカ開発会議の宣伝に努めてきた。そこまでしなければ国民は理解できない、その程度の会議なのである。
およそ日本とは利害関係の少ないアフリカの大多数の国を、ここまで東京に集めて会議をする事は、外交というより、むしろ興行だ。ホテルや輸送業者などを喜ばす観光サービスに近い。
だからといって、それが悪いわけではない。悪いことをしているわけではない。迷惑をかけているわけではない。アフリカの首脳が喜んで訪日し、日本滞在を楽しめば、それだけで立派な外交だ。税金を使ってそこまでする必要があるのか、という批判はもちろん有りうるのだが、それでも日本とアフリカとの友好関係のためには役立つことであろう。
これだけ多くのアフリカの首脳の世話をする外務省職員にはごくろうさんと言いたい。外務官僚の言うなりになって、すべての首脳と短時間のマラソン会談をすることに応じた福田首相も、お役目ごくろうさん、と言いたい。
今度のアフリカ開発会議で日本は何を目指しているのか。
それについては、すでに多くの報道がなされている。
アフリカへの経済開発援助(ODA)を増やし国際貢献する日本の姿勢を示す、
アフリカの資源確保のための資源外交を行う、
国連安保理常任理事国入りを狙ってアフリカ票を獲得する、
環境サミットを控え議長国としてアフリカの協力を取り付ける、
中国に負けないよう日本もアフリカ外交を強化する、などである。
それらは嘘ではない。アフリカ外交を進めるための一般的な理屈づけである。
しかし、それらの多くは、すでに言い古されてきたアフリカ外交の位置づけだ。私がアフリカ課長をしていた80年代から、そういわれ続けていた。もっとも中国との競争や、アフリカ諸国との環境外交などは、当時は無かったけれど。
問題は、それらの目的が、なぜ今までのアフリカ外交で達成されていなかったのか、ということだ。
それを、今度のアフリカ開発会議ですべて達成される筈はない。
そもそもアフリカ諸国の窮状は、英仏をはじめとした欧州列強の植民地政策の落し物である。
そして今でもアフリカ諸国の大部分は旧宗主国との結びつきが大きい。
アフリカ問題の解決は、一義的には旧宗主国である彼らの責任なのである。
日本がそれに協力する事はもちろん結構なことだ。しかし、日本が単独でそれを行うには問題が大きすぎるし、また日本一国でなしうる事業ではない。
それに、アフリカ開発会議をいつも日本で行なわなければならない必然的理由はない。その巨額な予算を使って、アフリカのどこかの国で行ったほうが、アフリカのためにもなるし、日本の首相にとっても親近感を持たれるに違いない。
遠方より来日したアフリカの首脳と、わずか15分程度の会談を、官邸ではなくホテルで行う事を、非礼と思わないのであれば、それは援助供与国の思い上がりである。
中国と競い合うのはいい。しかし中国のまねをする必要はない。中国は日本とは異なる体制の国だ。外交目標もおのずから異なる。日本のやり方で競えばいいのだ。
アフリカ諸国はよく見ている。中国と日本とどちらが自国のために本当の協力をしてくれているのかと。アフリカの心をいかにつかむか、動かすか、ということで、中国と真剣に競いあえばいいのだ。
外務官僚は本気になってアフリカ外交をしているのか。それはわずか15分の首脳会談でも、その内容を見ればわかる。
28日の産経新聞はするどく指摘していた。福田首相が27日にルワンダのカガメ大統領と会談した際、両首脳とも、日本が派遣したルワンダ難民救援隊の人的貢献に一切触れなかったと、次のように日本外交の知恵の無さを嘆いているのだ。
日本政府は内戦で追われたルワンダ難民支援のため、国際平和協力法に基づき自衛隊を送り込んだ。日本主体の人道的な救援活動として最初の例だった。しかしこの日の首脳会談では福田首相は汗を流した自衛隊に関して言わずじまいだった。また、カガメ大統領からも、日本の支援への謝意表明はなかった。
アフリカへの外交攻勢をかける中国はアフリカでの国連平和維持活動(PKO)に約1300人派遣しているのに日本は現在ゼロ(ただでさえ影が薄くなりつつあるだけに)首脳会談で自衛隊の活動への言及がなかったのは残念だ。
その通りであると思う。
アフリカ要人の送迎で手一杯の外務省であろうが、少なくとも首脳会談の発言振りについては真剣に考えたほうがいい。外務官僚はこの産経新聞の指摘に謙虚に耳を傾けるべきであると思う。
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