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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080528ddm005010006000c.html
自民党社会保障制度調査会など三つの合同部会が27日、社会保障費の伸びを抑制する政府方針の撤回を決議したことで、09年度予算編成での社会保障費に関する攻防の幕が開いた。医師不足などを理由に、抑制方針撤回を訴える厚生労働省や厚生族議員に対し、財務当局は方針を貫く構えだ。6月末に固まる政府の基本方針「骨太の方針08」に、抑制方針の継続を盛り込むかどうかで、両者の対立は激しさを増している。【吉田啓志】
同調査会の決議文は、09年度に基礎年金の国庫負担割合を50%へ引き上げるため「税制抜本改革」を行う必要があるとし、「新たな国民負担をお願いしなければならない時に、更なる社会保障費の削減は理解が得られない」と指摘した。年末には消費税率のアップを決めなければならないのに、福祉サービスを削れるはずがない、というわけだ。舛添要一厚労相も閣議後会見で、「医療費の削減努力は限界に近い」と述べた。
高齢化に伴い、社会保障費は毎年7000億〜8000億円増えている。構造改革路線を掲げた小泉政権は02年度以降、診療報酬や生活保護費をカットし、ほぼ毎年伸び幅を2200億円抑えた。同政権で最後となった「骨太の方針06」では、07〜11年度の5年間でさらに1・1兆円(年平均2200億円)削る方針を打ち出した。
ただ、7年に及ぶ抑制策は、産科医不足による患者の搬送受け入れ拒否など、地域医療の崩壊を招いたとされる。警鐘を鳴らしてきた自民党の尾辻秀久参院議員会長は、25日の講演で「今年の骨太の方針で(抑制策に)触れさせてはいけない。命がけの勝負をする」と“宣戦布告”した。
それでも、額賀福志郎財務相は27日の会見で、「財政健全化の道筋が揺らぐことがあれば、日本の信頼を失う」と強調した。
具体的な抑制策として、財務省は介護保険の自己負担増などを挙げるが、メーンに想定するのは、失業給付に充てる雇用保険の国庫負担(08年度1600億円)の全廃だ。雇用情勢の改善で失業給付が減り、08年度の積立金は5兆円に達する見込み。国庫負担を廃止しても問題はない、と同省はみる。
厚労省は、07年度に国庫負担を半減したばかりとあって強く抵抗するが、雇用保険の国庫負担については06年7月、「07年度に廃止を含む見直しを行う」方針が閣議決定されている。このため財務省は「情勢に変化はない」と、全廃を迫る方針だ。
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■骨太の方針06に基づき、07年度予算以降伸び幅を削減してきた社会保障分野■
(09年度は検討項目)
07年度=2200億円 雇用保険への国庫負担削減(1800億円)▽生活保護の母子加算の段階的廃止(400億円)
08年度=2200億円 診療報酬(薬価)削減(660億円)▽後発医薬品の使用促進(220億円)▽政府管掌健康保険の国庫負担削減(1040億円)▽その他(280億円)
09年度= ?円 雇用保険の国庫負担廃止1600億円▽介護保険の自己負担割合引き上げ700億円
毎日新聞 2008年5月28日 東京朝刊
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