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「経済コラムマガジン08/5/26(528号)
・地球の寒冷化
・地球を覆う雲の量
世の中には、こと健康問題や環境問題に対して、異常に急進的(狂信的と言った方が適切かもしれない)になる人々がいる。彼等は、テーマとなっている事柄が科学的に証明されたとは言えない状況なのに、それしかないと断定するのである。このような議論が科学者の間に止まっているのなら何ら問題ではない。しかしそれが政治的な動きに結び付いた場合には、とんでもない結果になる可能性がある。
今週、問題にするのは「人間」が排出する二酸化炭素と地球温暖化の関係である。これについては本誌は10年前97/12/1(第44号)「京都会議と経済を考える」http://www.adpweb.com/eco/eco44.htmlで一度取上げたことがある。ここでの筆者の結論は、地球温暖化と「人間」が排出した二酸化炭素の関係は、決して科学的に証明されたものではないということであった。このような段階で政治やマスコミが先走りし、人々の生活や経済までにも影響を与えることこそ問題と指摘した。筆者の考えは10年前とほとんど変わっていない。「地球温暖化」は、科学的な研究がまだまだ不足している。地球の気候変動についてはもっと科学的な解明が求められると筆者は心底思っている。
それどころか温暖化ではなく、反対にこれから地球は寒冷化に向かうという論文を最近読んだ。文芸春秋5月号に東京工業大学教授丸山茂徳(まるやましげのり)氏が「地球はこれから寒冷化する」という文章を寄せている。筆者に言わせればこれがなかなか説得力がある。
ずっと筆者は、温暖化を「『人間』が排出した二酸化炭素」だけに結び付けるIPCC(地球の温暖化については専門家で構成する気候変動に関する政府間パネル)を胡散臭い科学者集団と見ていた。このIPCCの主張だけが絶対であるという国際的な認知がおかしいのである。だいたいここ数年の気温上昇は、IPCCの想定よりはるかに大きい。つまりこれだけでもIPCCの説明(地球温暖化の主因は「『人間』が排出した二酸化炭素」)は破綻している。この破綻している科学者の考えを基に、二酸化炭素排出権の売買などが議論されていることが「こっけい」なのである。
丸山教授の論文のポイントは、主に地表の温度を左右するものは地球を覆う雲の量という指摘である。地球は50%くらい雲に覆われている。この雲が1%増えると1度気温が下がり、1%減ると1度気温が上昇するという話である。
この雲の量が過去20年間の観測でプラスマイナス2%の範囲で変動している。つまりこの雲の量の変動で地球の気温はプラスマイナス2度の影響を受けている計算になる。一方、人為的二酸化炭素の排出量は、毎年1.0〜1.4ppm程度の増加であり、これを温度変動に換算すると0.004〜0.005度の上昇要因にすぎない。したがって雲による気候変化に比べれば、「『人間』が排出した二酸化炭素」の影響なんて無視できるくらい微々たるものである。
丸山教授は、この雲の量を左右するものは宇宙線(銀河宇宙線)の飛来量と指摘している。地球を暖かく保っているのは大気である(大気が薄かった時代には地球の全球凍結という時代が何億年も続いたことがある)。この大気で圧倒的に大きい主成分が水蒸気である。ところがこの水蒸気が雲になると太陽光を遮り、地表の気温を下げる。そして水蒸気が雲になるには核(凝縮核)が必要になる。この凝縮核になるのが銀河宇宙線という話である。つまり丸山教授は、銀河宇宙線の飛来量が増えれば雲の量が増え、気温が下がると主張している。
そして銀河宇宙線の飛来量を左右するのが地球の磁場の強さと教授は指摘している。ところが地球の磁場がどんどん弱くなっているというのである。磁場が弱くなれば、東京でもオーロラが見られるかもしれない。実際、4万年前には磁場の強さが3分の1になった事があるそうである。さらに250万年前には一時的に磁場がゼロになったことがあると主張する学者もいる(京都大学松山基範氏)。この時には磁石が示す北と南が逆になったという。
丸山教授は、磁場が弱くなれば銀河宇宙線の地表への飛来量が増え、これによって雲の量が増えると主張する。つまりこれから地球は寒冷化に向かうと結論づけている。そして教授は、寒冷化の徴候が見られるのは2035年頃と予想している。しかし教授は、この雲の量の他に、近年太陽の活動に減衰傾向が見られることや、地球公転の軌道要素も地球の気温変化に影響していると指摘する。
・世紀のから騒ぎ
今日、氷河に覆われているグリーンランドは、昔(10世紀から12世紀)、緑地があり農場もあった。まさにグリーンランド(緑の地)だったのである。このグリーンランドの逸話を知っている人は結構いる。その後、地球は16世紀から17世紀に寒冷化した。しかしそれからからまた温暖化して今日に到っている。このように数百年のサイクルで地球は寒暖を繰返しているのである。つまり「『人間』が排出した二酸化炭素」に関係なく、地球は寒くなったり暖かくなったりしていると考える方が理にかなう。
筆者がIPCCの意見を「まゆつば物」と感じたのは、地球上の化石燃料の埋蔵量からである。原油の確認されている埋蔵量は富士山一つにもならないという話である。世界中の埋蔵原油を全部集めても、富士山の五合目あたりから上部分の程度のものと推定されている(暇な人は計算して下さい)。つまり人工衛星から見えるかどうかの僅かな量である。その程度のものを燃やして地球の温度が左右されると考えるのがおかしい。地球の温度はもっと大きなメカニズムで動いていると見るのが正しいと筆者は考えてきた。
またIPCCには科学者集団としてあるまじき雰囲気がある。化石燃料の消費が飛躍的に伸びた1940年から1980年の40年間に、なんと地球の気温は反対に0.1度下がっている。しかし一般の人々は、産業革命以来「『人間』が排出した二酸化炭素」によって一貫して温暖化が進んだと思い込んでいる(思いこまされている)。このデータ(事実)はIPCCも持っている。ところがIPCCは、これに対してなんと「この間、産業活動が激しく、石炭・石油が燃やされエアロゾル(浮遊物質)が飛散し、雲ができ気温が下がった」とその場しのぎの言い訳を行っている。
またIPCCは二酸化炭素の10倍の温暖化効果を持つ水蒸気についての言及を、最新の報告書からカットした。さらに驚くことに地球温暖化の原因は「『人間』が排出した二酸化炭素」の可能性が高いとしかIPCCは言ってはいないのである。まさに逃げ場を作っているのである。
丸山教授によれば、地球科学分野には世界には40以上の科学者のグループがあるという話である。どうもその一つにすぎない研究グループの科学者ばかりがIPCCに集結したようだ。しかしその片寄った考えの科学者集団が唱えている「『人間』が排出した二酸化炭素」説に世界中が振り回されているのだ。
CO2の温暖化犯人説が一人歩きし、あらゆるところでばかげたことが言われ行われている。「ガソリンよりディーゼルの方がCO2の排出量が少なく環境にやさしい」「CO2の固定化の研究」「クールビズの着用やサマータイムの採用によってCO2の排出量が減る」など数限りなくある。筆者は二酸化炭素騒動を「世紀のから騒ぎ」と思っている。
しかし筆者がエネルギー問題を軽視していると考えると大間違いである。反対に筆者は省エネや代替エネルギーの開発に大変関心が高い。06/11/13(第459号)「将来のエネルギーの本筋」http://www.adpweb.com/eco/eco459.htmlから06/12/4(第462号)「高速増殖炉にまつわる誤解」http://www.adpweb.com/eco/eco462.htmlで取上げたように、筆者が考える代替エネルギーの本命は高速増殖炉である。しかしこの開発が暗礁に乗上げている。したがって高速増殖炉以外の代替エネルギーについても検討する必要がある。原油価格が異常に高騰しており、生産性が低い(EPRが低い)と思われる太陽光発電でも採算に合う可能性が出てきたのである。
省エネ推進と代替エネルギー開発は極めて重要な急務である。しかしこれはCO2排出削減とは関係がない。まず他国にエネルギーを依存すること自体が極めてまずいと考える。食料の輸出規制の動きを見れば、将来、これがエネルギー輸出の規制にまで及ぶことが容易に想像される。またなによりも今後、温暖化ではなくむしろ地球の寒冷化によってより多くのエネルギーが必要になると思われるのである。
来週は、もう一つの世紀のから騒ぎである日本の財政危機を取上げる。」
http://www.adpweb.com/eco/eco528.html
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