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2008年05月23日
異常な原油高がなぜ放置されるのか
ここにきて原油の高騰が異常なスピードで加速している。
その背景には、一方において中国をはじめとした新興国や米国の需要増加があり、他方において、サブプライムローン問題で行き場のなくなった投機マネーが流れ込んだという説がもっぱらだ。
しかし、理由はどうであれ、原油の高騰は世界経済に打撃を与える。特に開発途上国や中小企業、消費者など、いわゆる弱者に与える打撃は大きい。
なぜ、主要国の指導者は一致団結して対策を講じようとしないのか。対策を講じようにも、どうしていいか誰も分からないのか。それとも今の原油高で潤っているものたちが、意図的に原油高を図っているのか。
この点こそ追及し、真相を突き止め、情報公開されなければならない。誰かがそれを行わなければならない。
しかしながら、政府も、メディアも、有識者も、まるでひとごとのような受け身の姿勢に終始している。
政府は様子見を決め込み、企業は原油高を前提とした対策を講じざるを得ないという。メディアに至っては「省エネで活路を見出せ」と書く始末だ(23日読売社説)。
それと好対照なのが73年の第一次オイルショックの時の主要国の対応である。
当時は開発途上国の資源ナショナリズムが燃え盛り、産油国が結束して石油価格を1バレル3ドルから12ドルに急騰させた。
それにあわてた先進主要国は結束して対決姿勢を打ち出した。それがサミットが設立された本当の理由だったのだ。
時を同じくして主要消費国は国際エネルギー機関(IEA)を作って、節約・備蓄、相互融通スキームの作成、新エネルギーの開発を三本柱にして産油国と対決姿勢を示した。
主要国が本気でギャングアップすれば産油国のカルテルなどひとたまりもない。
その効果はてきめんにあらわれ、やがて石油がだぶつき一時は40ドル近くまで高騰した価格は15ドルぐらいまで下落し、低迷した。
その後78年には第二オイルショックがおきて再び原油は高騰したが、それでも、原油価格は変動を重ね、少なくとも2007年はじめの時点では1バレル50ドルを割り込んでいた。
それがわずか3年で130ドルだ。いくら投機であるといっても、いや投機であるからこそ、健全な経済活動の回復のためにも、そして世界の弱者救済のためにも、世界の指導者は結束して手を打つべきではないのか。
そうならないのは、それを望まない力が働いているからだ。原油高騰でぼろもうけしている勢力があるからだ。
サブプライムローン問題で明らかになったように、いまや世界の富は、金融工学と言う詐欺まがいの錬金術によって一極に集中し、その金が世界を動かすようになっている。
人の命もモラルも戦争も、なにもかも、巨大な富に目がくらんだ限りない人間の欲望に支配されようとしている。
誰かがそれに待ったをかけなければならない。弱者のために立ち上がる強者が現れなくてはならない。本当の事を人々に教え、導く指導者が現れなければならない。
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