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【RPE】マケインと民主主義連盟
↓
http://www.mag2.com/m/0000012950.htm
★マケインと民主主義連盟
「リベラルな民主主義が「人類のイデオロギー上の進歩の終点」お
よび「人類の統治の最終の形」になるかもしれないし、リベラルな
民主主義それ自体がすでに「歴史の終わり」なのだ」
(「歴史の終わり」フランシス・フクヤマ)
全世界のRPE読者の皆さまこんにちは!
いつもありがとうございます。
北野です。
読者の浅野さんから
「米共和党マケイン候補の提唱している「民主主義連盟」構想につ
いて、北野さんはどうお考えですか?」
との質問をいただきました。
今回はこの問題を考えてみましょう。
▼すばらしい民主主義
私たち日本人は、生まれたときから「民主主義国家」にすんでいま
す。
それで、「自由」とか「民主主義」は空気のごとし。
尊さを普段は気がつかないのですね。
私は、共産党一党独裁時代のソ連にすんでいましたから、両方を
比較することができます。
民主主義と独裁。
この二つを比較すると、圧倒的に「民主主義」のほうがいいのです。
たとえば私が90年、モスクワに来たとき。
ある人が二つ忠告してくれました。
1、人の大勢いる場で政治の話はしないこと(聞かれている)
2、電話で重要な話はしないこと(聞かれている)
私は90〜91年、モスクワ国際関係大学の寮に住んでいました。
ルームメイトは、ソ連人(ウクライナ人)。
ソ連崩壊後しばらくして、彼が酔っ払って告白しました。
「俺は、君との話、君の行動を定期的に寮長に報告していた。すま
ない。でも断ると退学にさせられるから仕方なかったんだ。許して
くれ」
ペレストロイカで自由化が進んだといわれた頃ですら、こんな感じ
です。
先日テレビで、あるロシア人作曲家のドキュメンタリー番組をやって
いました。
彼は、ソ連時代6年間刑務所にいた。
その理由がめちゃくちゃ。
なんと「ドイツ製のラジオはソ連製よりいい」と一言発言したから。
レーニン・スターリン時代までさかのぼれば、もっととんでもないは
なしがどんどん出てきます。
例えば、私が昔お世話になっていたカルムイキヤ人。
スターリンの鶴の一声で、民族全員シベリア送りにされた。
ナチ時代のドイツ、スターリン時代のソ連、毛沢東の中国、北朝鮮
等々、独裁国家では想像を絶することが起こります。
私は両方体験してみて自信をもっていいます。
「自由民主主義のほうがいいですよ」と。
さて、共和党のマケインさんは、「民主主義連盟」の創設を提唱し
ている。
▼民主主義連盟創設の理由
マケインさんはなぜ民主主義連盟をつくりたいのでしょうか?
「国連はダメ」ということでしょう。
なぜ国連はダメなのか。
国連は、とんでもなく「非民主主義」的組織。
真の民主主義組織であれば、全加盟国が参加する「総会」が決定
権をもつべきでしょう。
しかし、総会の決定には「拘束力」がないのです。
拘束力をもつのは、「安全保障理事会」のみ。
そして、安保理には拒否権をもつ「常任理事国」がいる。
アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国。
例えば、国連加盟国のうち99%が何かを望んでいる。
しかし、常任理事国一国が反対すれば、すべてダメになる。
全然民主的ではありません。
とはいえ、アメリカは常任理事国で、拒否権を持っていますね。
一体何が不満なのか?
常任理事国が分裂している。
具体的には、アメリカ・イギリス 対 中国・ロシアにわかれている。
フランスは、ケースバイケース。
さらに具体的な話をしましょう。
アメリカは、イラクを攻撃したかった。
ところが、フランス・中国・ロシアが反対した。
それで、安保理の決議なしでせめてしまった。
現在アメリカは、イランを攻撃したい。
(なんで攻撃したいかは、「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」
( http://tinyurl.com/yro8r7 )をご一読ください。)
しかし、中国・ロシアが邪魔をする。
アメリカとしては、イラク時のようにゴリ押しして開戦し、悪の帝国にな
りたくない。
でも、安保理で「攻撃へのゴーサイン」はでないだろう。
じゃあどうするか?
「民主主義連盟」をつくればいい。
そうすれば、独裁国の中国・ロシア抜きで、アメリカの外交政策をすす
めることができるだろう。
要するに、アメリカの直接の動機は、「イラン戦争のお墨付き」を国連
以外の機関から得ること、といえるでしょう。
▼レーニンとブッシュ
さて、マルクスは「世界は必然的に共産主義になる」と主張しました。
人類の歴史は、
奴隷制社会→封建社会→資本主義→社会主義→共産主義
と進んでいくのだと。
彼の理論によると、共産革命は資本主義がもっとも進んだイギリスあ
たりで起こるはずだった。
ところが、実際革命が起こったのは資本主義後進国ロシアでした。
レーニンはこの現象を、「帝国主義のくびきが弱かったから」と説明し
ます。
そう、レーニンは「歴史法則」ではなく、「人間の意志力」で歴史を前
進させようとした。
1991年、ソ連崩壊。
フランシス・フクヤマさんは、「リベラル民主主義こそ歴史の終わりで
ある!」と高らかに宣言します。
この本で展開されるお話は、マルクス理論のように美しいのでした。
(歴史的名著「歴史の終わり」は
(→ http://tinyurl.com/cnn5u )
彼の考えにしたがえば、「世界には『歴史の終わり』に到達した国と
到達していない国」がある。
この状況を、共産主義におけるレーニンのごとく、「意志の力」で変え
ようとしている人たちがいる。
そう、ブッシュとネオコンの人々。
彼らは「人類歴史を前進させるため」に民主主義を輸出する。
その方法は、革命と戦争です。
革命の例。
グルジア・バラ革命、ウクライナ・オレンジ革命、キルギス・チューリッ
プ革命等々。
戦争の例。
アフガニスタン、イラク。
↓本文後半へ
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↓後半
▼不純な動機
とはいえブッシュやネオコンの動機は本当に「世界を民主化し、人類
歴史を終わらせること」なのでしょうか?
(そもそも民主主義が歴史の終わりかわからないが。。。)
疑問点がいろいろあるのです。
第1に、アメリカは独裁国と仲良くする場合がある
例えば、サウジアラビア・クウェート・アラブ首長国連邦・カザフスタン
・アゼルバイジャン・トルクメニスタン等々、独裁国とも悪くない関係を
築いている。
これらの独裁国には二つの特徴があります。
アメリカに逆らわず、石油・ガス大国であること。
~~~~~~~~~~~~~~~~
「民主主義」より実は「石油」のほうが大事なんちゃうの。
第2に、アメリカは独裁国を放置することがある
例えば、イランは核兵器をもたない。
北朝鮮はちゃっかり核兵器を作り、実験までした。
しかしアメリカは北朝鮮を放置し、イラン攻撃の準備をしている。
どう考えても、公平とは思えません。
第3に、イラク戦争の目的が「民主化」というのは「後付」である。
そもそもの理由は、「フセインがアルカイダを支援している」「大量破
壊兵器を保有している」というものでした。
それが大ウソであることがバレタので、後から「民主化」という理由を
つけたのです。
↓
<米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定
【ワシントン=貞広貴志】米上院情報特別委員会は8日、イラク戦争の
開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、
国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告
書を発表した。>
(読売新聞) -06年 9月9日」
<報告書は「フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラー
ディンと関係を築こうとした証拠はない」と断定、大量破壊兵器計画
についても、少なくとも1996年以降、存在しなかったと結論付けた。>
(同上)
▼世界はアメリカの欺瞞に気づいている
このようにアメリカの「民主化」「歴史の終わり」は建前で、本音は別の
ところにある。
イラク戦争に関していえば、
・ドル基軸通貨体制を守ること(フセインは原油をユーロで売っていた)
・イラクの石油利権を確保すること(フセインは、石油利権を中ロ仏に
与えていた)
・イスラエル防衛
・軍産複合体の利益
・復興利権の独占
・ITバブル崩壊後きびしい状況にあった経済を立て直すための公共
事業(アフガン・イラク戦争でアメリカの景気は回復)
等々。
そして、世界の人々はブッシュ政権の欺瞞に気がついている。
↓
<「ブッシュ大統領は世界の脅威2位 英紙の世論調査
【ロンドン=本間圭一】ブッシュ米大統領が、北朝鮮の金正日総書記
やイランのアフマディネジャド大統領よりも、世界平和の脅威だ――。
3日付の英紙ガーディアンは、世界の指導者で誰が平和への脅威に
なっているかに関して聞いた世論調査でこうした結果が出たと1面ト
ップで報じた。
調査は、英国、カナダ、イスラエル、メキシコの4か国でそれぞれ約
1000人を対象に世論調査機関が実施した。
英国民を対象とした調査によると、最大の脅威とされたのは国際テ
ロ組織アル・カーイダ指導者、ウサマ・ビンラーディンで87%。
これに続いてブッシュ大統領が75%で2位につけ、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
金総書記69%、アフマディネジャド大統領62%を上回った。
ビンラーディンは他の3国でもトップとなった」
(読売新聞06年11月4日) >
↑
親米国でこれですからね。
他の国だったらもっとひどい結果だったでしょう。
さて、日本政府は「『自由』や『民主主義』など『普遍的価値』をひろ
げる外交」を展開している。
要するに、アメリカ政府高官がいっているのがカッコいいのでマネし
ているのでしょう?
是非やめていただきたい。
世界の人々から「日本は今まで誠実だったが、ウソツキの仲間入り
した」と軽蔑されるだけです。
▼とはいえ・・・
ここまで世界的観点で見てきました。
たとえマケインさんの動機がピュアであっても、アメリカの誠実さを
信じる国は日本くらいしかいない状況なのです。
しかし、それでも私は「民主主義連盟」の創設を支持します。
なぜか?
いつも書いているように、日本唯一の仮想敵は中国である。
アメリカは敵ではなく、日本の同盟国です。(しかも世界最強の)
ところが、近年アメリカは金儲けのために中国に接近し、台湾・北朝
鮮・チベット問題などで強い態度がとれなくなっている。
クリントン一家が中国から金をもらっていたことは、よく知られた事
実。
オバマさんは若すぎて、狡猾な中国の老指導者たちにだまくらかさ
れるのではないか。(理想主義者だし)
マケインさんが大統領になり、民主主義連盟を立ち上げれば、中国
とロシアは確実にはずされる。
(マケインさんは常々、「G8からロシアをはずせ!」と主張している)
すると、中国・ロシアは上海協力機構を発展させる形で、反米同盟
を拡大させていくことでしょう。
世界は、「民主主義」対「独裁」の新冷戦状態になる。
しかし、独裁国家は自国を「独裁」とは呼ばない。
世界の対立構造は、
一極主義 対 多極主義
と呼ばれるようになるでしょう。
日本は当然、民主主義連盟のメンバーということになる。
そうなれば、米中は決定的に分裂し、アメリカは「民主主義連盟」の
メンバーである日本の安全を保証することになります。
(マケインさんは日米同盟の強化も主張している)
もう一度。
今の構造は、
米中が金儲けで接近し、
日本は無視されている。
将来中国が尖閣を侵略しても、アメリカが動かない素地ができあが
りつつある。(台湾も同様)
民主主義連盟ができれば、
中国は独裁国家なので、連盟に参加できない。
米中は決定的に分裂。
アメリカは、連盟メンバー日本の安全を保証する。
中国は、日本を侵略できない
となります。
もちろん、この構図の不安要因もある。
最大の不安要因は、
アメリカに民主主義連盟をたちあげ、中ロと対峙するだけの
力が残っているのだろうか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ということ。
(おわり)
↓
↓世界情勢の裏側を
●資料つきで全部知りたい欲張りな方はこちら。
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●え”〜中ロ同盟が米幕府を滅ぼす???
仮想敵同士だった中国とロシア。
アメリカの執拗ないじめとカラー革命に激怒したプーチンは、ついに東の
ジャイアントパンダ(中共)と提携することを決意します。
日本人が知らないうちに(悪の?)薩長同盟は成立し、米幕府体制は崩
壊にむかいます。
素人目にもアメリカの覇権後退が明らかになってきました。
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例
●朝日新聞07年11月18日
「ロシアの揺さぶり策から、アメリカの世界戦略に改めて気づくことができ
る本だ」
●産経新聞07年11月27日
「混迷する世界情勢についてユニークな視座を提供する書物が登場した。」
●読売新聞07年12月17日
「「日本は、いわば米国の天領。米国がしっかりしているうちはいいが、
中国やロシアが台頭したらどうなるか・・・。」
憂国の情に根ざしたロシア発の言論活動を今後も続けていく構えだ。」
▼
「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日-一極主義vs多極主義」(草思社)
(詳細は→ http://tinyurl.com/yro8r7 )
PS2 「あとがき」からお読みください。
【RPE】マケインと民主主義連盟
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