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2008年05月22日
宇宙基本法の成立に思う
消費者庁設立の素案が一斉に大きく報じられた22日の各紙において、もう一つ一斉に報じられた法案があった。しかもそれは素案ではなく、成立した法律として。
それは宇宙の軍事競争を解禁する宇宙基本法である。
「宇宙の平和的利用」については、私には個人的な思い入れがある。
法学部の学生の時、始めて手にした田畑茂二郎の「国際法」の教科書の中に、これまでの国際法の対象は国家と領土であったが、これからは個人と宇宙も対象となっていく、というくだりがあった。
その中でも、宇宙について触れたくだりでは、宇宙は南極と同様に領土という概念が凍結され、すべての国家に平和的に開放されなければならなくなる、と書かれていた。
正確な記述はあらかた忘れたが、宇宙という無限の広がりと、その宇宙を平和と結びつけるこの考え方に、漠然としたロマンを感じたものであった。
それから40年以上たった今日、平和憲法9条を誇る日本が、宇宙を軍事目的で利用する法律を堂々と成立させるようになったのだ。残念でならない。
この宇宙基本法の是非について、ここで論ずるつもりはない。しかし、次の点だけは強調しておきたい。
まず、この宇宙基本法の成立は重大な憲法違反の法律であるという点だ。
すべての法律がそうであるように、字面を読む限りでは本当の事は何も分からない。第一条に「憲法の平和主義の理念を踏まえて」と謳っているから問題はないと強弁はできる。実際のところ、直嶋民主党政調会長などは、「憲法の平和理念に基づき取り組む事(が法案に入った事)も民主党の要請だ(22日読売)と成果を強調している。
しかし、これは言い逃れだ。高度に攻撃的なミサイル兵器を宇宙に配備する事を認めるこの基本法は、専守防衛の憲法原則に正面から反する。
次に、このように明確な憲法違反の法律が、衆参両院合わせてたった4時間の国会審議で成立したという事実である。
この国の国会は、そして護憲政治家たちは一体何をやっていたのか。
たしかに、平和や護憲を叫ぶ共産党や社民党は票決に反対した。国会審議でも反対の意見を述べていたに違いない。
しかし、どこまで本気になってこの法律の成立阻止を国民に見える形で訴えてきたかの疑問は残る。その訴えはまったく国民の目には見えないのだ。
加えて、メディアがこの基本法の危険性を殆ど報道しなかった。今回の法律成立にさしても、わずかに22日の朝日新聞がその社説で違憲性を指摘し、宇宙にまでミサイル防衛システムを広げることへの経済負担の大きさを書いているだけだ。
それどころか、メディアは、これ以上宇宙における世界的軍需拡大競争に遅れてはならない、とする日本企業の論理ばかりを強調している。
私は憂える。平和を願う護憲的な市民運動の動きとは裏腹に、政府の憲法9条否定の政策が静かに、しかし着実に推し進められている事を。
それを防ぎとめるためにも、護憲政党、政治家に期待される責任は大きい。護憲政党と護憲市民の一致団結が望まれる。
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