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(回答先: あたご衝突事故の捜査がまだ続いていたとは(天木直人のブログ) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 5 月 19 日 17:28:32)
http://www.amakiblog.com/archives/2008/05/19/#000884
2008年05月19日
医療でお金儲けをしてはならない
凡百の評論やおためごかしの言説よりも、一つの真実がはるかにそれに優る、というのが私の基本姿勢である。
私はその事をブログで繰り返し書いてきた。
しかし、真実に基づいて、目の前の現象やそれを生み出す政策の誤りを、私心なく正しく指摘してくれる言説は、その真実の意味をさらに大きく高めてくれる。
凡百の評論の中から、そのような秀逸な評論を見つけ出して読者に紹介するのも、このブログの目的である。
18日の読売新聞「地球を読む」において、国立がんセンター名誉総長である垣添忠生という人の、医療制度改革の見直しを求める秀逸な評論があった。
その前文を紹介したいところであるが、長くなるので、私の勝手な要約を以下のとおり書いてみる。
垣添名誉総長におかれては、私の善意に免じてご容赦願いたい。
・・・米国では1983年、当時のレーガン大統領が規制改革を進め、医療の世界でも「健康維持機構(HMO)」と呼ばれる民間保険が林立し、市場化が一気に進んだ。その結果は、患者と医療従事者の犠牲の上に、利益追求と患者に対する医療へのアクセス制限であった。
英国では、70年代までは「ゆりかごから墓場まで」と表現される充実した社会保障が実施されていた。マーガレット・サッチャー首相は、財政危機の建て直しのために、思い切った市場原理政策を採った。その結果、財源確保のため医療抑制政策が強力に展開され、英国の医療制度は崩壊した。入院手術待ちが1年以上といった事態が常態化し、医師は国外に逃げ出し、患者の不満も頂点に達した。医療従事者に対する患者や家族の暴力行為も頻発した。
これに少し遅れて、わが国では2001年に小泉首相が誕生し、米国、英国と同様に、小さな政府、規制緩和、市場原理などを推し進めた。その結果、これまで世界の頂点にあったわが国の医療制度は今、すさまじい勢いで崩壊を続けている。
市場原理の導入は、「競争によってサービスの質が上がり、国民生活はより豊かになる」、という謳い文句だった。しかし、実際の結果は散々である。
それにもかかわらず、政府の規制改革会議は、経済界と一体となって、市場原理主義の規制緩和をさらに進めようとしている。
たとえば混合診療の解禁、つまり保険診療と保険外診療の混在を全面的に認めるということは、「公的保障をできるだけ切り詰め、その欠落部分を民間保険で穴埋めせよ」ということである。民間保険のビジネスチャンスを拡大せよ、といっているのに等しい。
競争も規制緩和も必要だが、医療の世界に市場原理を導入してはいけない。何が起こるかは、1980年代の米国と英国で実証済みである。米国や英国で失敗した医療政策を何のために、この国に今更導入しようとするのか。
医療でお金儲けをしてはならない。医療は社会の公共財である。そこに民間保険を導入し、公的保障を切り詰めたら、株式会社は儲かる医療しか展開しないから、大量の医療難民を生み出すことは火を見るより明らかである。
この国のために懸命に働き続けてきた人たちが年をとり、病気になった際、その面倒を国家が見ないとしたら、これは棄民そのものである。
一度崩壊した医療を立ち直らせるには、巨額の費用と長い歳月を要する。わが国のすぐれた医療政策を守るために、いまこそ医療人は患者・家族、国民の理解を得て、この愚挙に徹底的に抵抗する必要がある。
医療における市場原理主義を排し、病気になっても安心な国に向かってもう一度一歩を踏み出すことが、この国の将来を大きく変える・・・
この明瞭かつ的確なすばらしい評論はどうだ。
それにしても小泉似非改革の罪はあまりにも大きい。その謙虚な反省なくしては日本の蘇生はおぼつかない。
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