道路特例法案の三分の二再議決 兵庫県には「ドングリ残地」が五月一三日。またまた三分の二再議決。これが今までよりタチが悪い。与党は、両院協議会すら開かずに、一気に道路特例法案処理へ。 国会法には、衆参の議決が異なった場合には、両院協議会の規定がある。五六年前、吉田内閣の「三分の二再議決」では両院協議会でえんえんと議論。今年の二回の再議決、新テロ特措法と暫定税率でも、形式的とはいえ両院協議会は開かれた。今回はそれすら拒否! しかも自民党・大島理森国会対策委員長は、「参院は必要ない」「三分の二でなく、過半数で再議決できるよう国会法を変えよう」などと発言したらしい。選挙をやらずに自分たちの都合で議会のルール=国会法まで変える。むちゃくちゃだ。 議院運営委員会で保坂展人議員が、この動きにマッタをかけた。「再議決前に野党側から両院協議会を開く動議を」と訴えた。 先週、政治学者のジェラルド=カーティスさんと意見交換したとき、「アメリカでは『ねじれ』なんて当たり前」と力説されていた。そのアメリカでは、両院間の意見が違えば両院協議会が数カ月かけて議論し、実質的な調査報告書を出しているようだ。 「協議の場をつくってくれなかった」と福田総理は泣き言ばかり。それなら、両院協議会で衆参全党参加で実質的な議論をすればいい。民主党もこの社民提案に賛成、本会議での動議が決まった。 が、この両院協議会開催動議を自民・公明はヤジと怒号の中で否決。すぐさま参議院で否決された道路特例法案を「三分の二」でゴリ押し採決。 驚くことに今日の午前、政府与党は道路財源の「一般財源化」を閣議決定した。「一〇年間、五九兆円を道路に使いますよ」という法案を通した直前にその法案を打ち消す閣議決定。だれがこんな政権を信用するのか。 実は私は前日、保坂展人議員とともに、兵庫県の阪神国道事務所を訪れた。通されたのは「監視カメラ」付き部屋。そして事前に出していた質問にすら、「担当していなかったから判らない」と「のらりくらり職員」が対応。その後国交省が道路特定財源一億円を投じた事業「ドングリ残地」視察。民家もない、高速道路の真下にポツンと、駐車場一五台分程度の荒れた土地。これが国民の「憩いの土地」? どこで憩うの?「緑の中で・・・」と担当者。まばらに植樹されたドングリよりも、雑草の方が目立つ。道路予算を「消化」するための企画? こんな無駄遣いは日本中にあるのでは。それでも道路特定財源の再議決。 道路か福祉か。決着をつけるのは、有権者の選択しかない。「自民党は(総選挙を)いつまで逃げるの?」という私の問いに、自民党某幹部が静かな声で「やる。問題はタイミング」と強気発言。森内閣の末期、数%だった支持率が、小泉総理人気で八〇%になった。民意とはそういうものだ、と言い放つ。総理の首をすげかえればOKなんて、ナメられた有権者とナメ切った与党。どっちが勝つか、勝負は近い。
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